人間の力2
続いて第二回戦、が始まろうとしていた。
隣のアミはいつの間にかホットドックを手にしていた。
「それでは青色の代表対カンギラス対黄色の代表フロシノの試合を始めます。それではハジメ!」
審判の掛け声と同時にフロシノがカンギラスに向かって動いた。
両手で大きなハンマーを持ちカンギラスに向かって叩きつけた。
カンギラスこれを後ろにひきながら躱したがなんとフロシノが砕いた地盤の破片が次々にカンギラスに向かって飛んでいった。
これをカンギラス咄嗟に両手に持っていた双剣で捌こうとするも破片の数が多くそのまま後ろに吹き飛ばされそのままエリア外になってしまった。
なんと、わずか数秒の出来事で二回戦が終了してしまった。
「カンギラスのエリア場外により二回戦の勝者黄色の代表フロシノ。」
会場が驚きの歓声に包まれ、それにカンギラスはとても悔しそうな表情で地面に拳を殴っていた。
「あれはまさしく所見殺しですね。あの大きなハンマーを受け流すのはまずほとんどの人はやらないでしょう。しかし、彼はカンギラスに攻撃したのではなく、地面に当てることを目的としていたでしょう。武器に纏わせるのではなく、武器で攻撃した地面を己の魔法で纏わせそれを破片となってカンギラスに攻撃するよう仕掛けた。大胆に見えて計算した戦い方です。」
かなり饒舌に解説してくれたアミで俺も大体わかることができた。
「カンギラスにとって不運だったのは後方に回避してしまったことくらいかな、左右に回避するだけでも結果はだいぶ変わっていただろうに。攻撃をする前に終わってしまったのだから、カンギラス超悔しいだろうな。」
そして続いて第三回戦が始まった。
緑色の代表ルッコウ対、黄色の代表ガノウクトとの組み合わせになった。
どちらもほぼ同時に動き刀と剣とのぶつかり合いになった。
両者ともにまずは単純な武器同士の対決になった。
金属の音が大きく反響し合いどちらも譲らない攻防が続いた。
そしてまず初めにルッコウが動いた。
刀を右から左へと振り、それをガノウクトは剣で受け止めたが、右腹に切り傷ができていた。
ガノウクトは少し驚きルッコウから距離を置こうとしたが、ルッコウはそれを逃さず距離を詰め続けざまに刀で攻撃し始めた。
刀を一本も喰らっていないにも関わらずガノウクトはどんどん切り傷が増えていった。
傷からは血を流しており、長く戦うことも時間の問題になってきた。
そして、ガノウクトは場外の一歩手前まで追い詰められ、逃げ場をなくなっていた。
ルッコウが最後の攻撃と言わんばかりの大振りでガノウクトに攻撃したが、ルッコウが踏みつく地面が突如消えてしまった。
それによって体勢を崩してしまったルッコウに向かって今度はガノウクトが思いっきり大剣で振りかざし大剣と地面の板挟みになってしまったルッコウはその衝撃で気絶してしまった。
「三回戦の勝者黄色の代表ガノウクト。」
と大逆転となった試合に会場はさらに大盛り上がりになった。
「見ましたか先程の攻撃。どちらも面白い戦いをしましたね。」
と、アミが何故か俺に自慢するように話しかけてき、少しイラッとなってしまった。
「で、一体何が凄かったんだよ。」
「まずはルッコウの戦い方ですね。彼は刀に自分の魔法を纏わせて目に見えな風を圧縮させそれを先端にかけていました。しかも自由自在に操作できるので一見攻撃を止めたと思っても、魔法だけはガノウクトの護りをすり抜け攻撃することができたわけです。」
なるほど、自由自在に操作できる魔法が目で見えない以上攻撃を受ければそりゃ驚くわな。
「続いてガノウクトの戦い方です。彼は最後に見せた魔法だけでなく、彼が移動していた所々に同じ罠をいくつも設置しながら戦っておりました。しかし、彼は思った以上にルッコウの攻撃が脅威になると踏んで彼を一本道に誘い込み彼を罠に嵌めたのです。まさに追い詰められた獲物ほど手強いものはない、といった感じです。」
見えない攻撃に対して冷静に対処したガノウクトの作戦勝ちだったな。
攻撃自体のタネを見破るではなく自分が追い詰められたように見せかけ相手が単調になった所を一気に突く何ともカッコイイ戦い方をして見せた。
ルッコウの敗北は自分が敵を追い詰めたと、錯覚してしまったことだな。
相手を出血多量で動きが鈍くなったところを攻撃するといった感じの方が勝率としてはかなり高かっただろうに相手の演技にまんまと嵌ってしまった。
そして四回戦が始まる前に、一時休憩となった。
なんとも面白い戦いをするもんだなと俺は少し興奮してしまった。