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人間の力

闘技場は大きな広場を中心に周りを観客の席で埋めている形だった。


そして一部のところだけVIPルームがあり、そこには五つの席が用意されていた。


「あの席には各四つの学校の校長とそれを全て統治している理事長の計5人があそこの席に座り訓練生の評価を決めるようです。」


片手にハンバーガーを持ちながらアミがそう俺に説明をしてくれた。


アミはとにかく食いしん坊なんだなと、そちらの方に興味を惹かれてしまったが、確かに他の席よりも高い位置にあり椅子もかなり豪華に作られているようだ。


「ちなみにこの模擬戦のルールは知っているのか?」


「はい、この模擬戦は一対一の戦闘で、時間指定なしのどちらかが負けを認めたり、失神するまで続きます。戦闘方法は訓練生の各々で異なりどんな武器を使用してもよく、人数は四つの訓練学校から4人ずつ代表として出場し計十六人でトーナメント形式で優勝を争います。」


そして、訓練学校の四つはそれぞれ四つの属性の分類に分けられるそうだ。


それぞれ違う属性持ちの訓練生が戦うこともあれば組み合わせでは同じ学校同士で当たることもあると。


まあ最後には優勝できればその訓練学校の評価は上がるみたいだし、この代表に選ばれるだけでも十分凄いのだろう。


「色分けとしてその属性の色によって名前を呼ばれたりします。火ならば赤色、水ならば青色、風ならば緑色、土ならば黄色と分けられます。」


アミから色々と説明を受けていたらその訓練学校の校長達が入場してきた。


そしてそれと同時に訓練生達の代表者が入場してきた。


会場内は大きな拍手喝采が起こり観客も大盛り上がりになった。


そして理事長が開会式の演説に入った。


「ええ、この度お集まりいただいた皆様誠にありがとうございます。今年も無事この栄誉ある行事を行えることができ私もとても嬉しく思います。今日は日々努力を重ねた訓練生の戦いを応援しそして大いに楽しんでください。ではこれより大百六十三回王国騎士選抜試験を開催いたします。」


理事長の言葉で開催の合図となった。


そして一回戦の訓練生以外は皆退場しいよいよ始まることになった。


「それでは第一試合赤色の代表スコックス対緑色の代表ウルウヌ両者前へ」


審判が選手の紹介をし両者がステージに上った。


「ではお互いに正々堂々戦うように、それではハジメ!」


そしてようやく戦いが開始された。


すると、スコックスという選手がいきなり仕掛けた。


彼が持っている武器はよく見かける剣だがそこに炎を纏いアルウヌに向かって剣を振りかざした。


それを、アルウヌは自然な動作でその攻撃を横に動き回避をした。


そして今度はアルウヌが右手に持ったナイフのようなものでスコックスの脚の太腿に斬りつけようと身をかがみ込みながら攻撃した。


しかし、スコックスはそれをジャンプしながら後方に移動し互いに傷を負わせることなく最小の攻撃が終わった。


俺はそんな攻撃を見てかなりレベルが高い戦いをしていることに驚いた。


今の訓練生をみるに十六歳から十九歳だろう、そんなにまだ若々しさがあるのに戦闘においてはまるで隙を見せない大人が戦っても真似できないような実に見応えのある戦いをしていることに驚いた。


「こんなにレベルの高い戦い方をしているんだな。」


「はい、訓練学校に通う訓練生は生まれてからすぐに訓練学校が経営している保護施設から軍事教科などを学び、成長してから実戦訓練をしたりと中々厳しい日々を送っているそうです。」


なんともこの国の前線に立つ人々は早いうちから国のために働くことを約束されている感じなのか。


少し関心したがやはり俺としては苦手意識を持ってしまったのはここだけの話。


「いや本当に戦いがお手本みたいに綺麗だよな。」


「それは戦い方によってそうなっているかと。人間の主な戦い方は武器に自分の魔法を纏いそれで戦うようなものです。または身体の攻撃するところに纏わせたりと纏いを得意としています。」


なんでも、肉体が魔族と違い弱い人間は自分の周りにある物質などに影響を及ぼしそれを武器などに纏わせることで威力を上げているのだと。


逆に魔族は魔法を全身に巡らせ身体の状態変化を得意としているようだ。


肉体性能の違いからそれぞれの種族も戦い方が異なるようになったと。


と、またアミからの説明を聞いていると最初の戦いが終わりそうだった。


アルウヌはスコックスの攻撃を幾度と回避行動を繰り返していた。


しかもそれは普通のスピードよりも速く、歩幅の感覚から見てもそれ以上の距離を移動していた。


そしてカウンターを狙ったのか、再びナイフでスコックスの左腹めがけて斬りかかろうとしたが、スコックスはそれを叩き落とす形で剣を振り下ろした。


しかしアルウヌはまたスピードに変化が生じ一気にスコックスの懐に侵入しガラ空きの右腹に思いっきりパンチを打ち込んだ。


「ドボン!」


と鈍い音が起き、スコックスはそのばに蹲るように倒れてしまった。


「勝負あり。勝者緑色代表アルウヌ」


ワアアアアと観客席からも大きな歓声が巻き起こった。


これにて第一回戦が終了した。


「あのアルウヌは面白い魔法の使い方をしています。」


と横でアミが嬉しそうに話していた。


「アルウヌは一見ナイフを主に使う戦いをするかと思いましたが、実際はナイフに武器を纏わせていません。彼は脚のほうに魔法を纏わせていたようです。しかも彼は風の属性を得意としていたのでよく適した使い方です。」


さらにアミが言うにはナイフはフェイクで本命はナイフに注力していたスコックスのガラ空きとなる身体に攻撃をすることが彼の目的だったと。


「よく自分の魔法をよく知っている戦い方でしたね。しかも魔法を発動していたのは回避していた時と、懐に侵入する時の瞬間しか使っていなかったので魔法使用のコストを著しく削減しているのも彼の強さの秘訣です。」


この戦いでは攻撃の緩急と、裏をかいた攻撃手段をしたアルウヌの勝利となったのだった。


そして第二回戦がすぐに始まろうとしていた。







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