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大好き  作者: 春月桜
9/12

大好き9

「剣?」


 女の子はすごい目力で私を睨みつけてきた。


 私は一瞬金縛りにあったような気がした。


「何か変なこと言った?」


 私は怖い女の子に汗をたらしながら尋ねた。


 怖いー。


「剣のことなんで名前で呼んでんの?」


 女の子はもっと迫力を出しながら私に尋ねてきた。


 何か圧力かかってますけど???!!!


「え?それは…」


「幼馴染だから。」


 私が言おうとしたときに剣がさえぎって言ってくれた。


 でも、ちょっとショック受けたかも。


「え?幼馴染なの?」


 女の子は私に尋ねてきて私が言う前に。


「なら、いいや。」


 女の子はくるっと違うほうを向きながらつぶやいた。


 え?


 どういう意味?


「なんで?」


 私は疑問に思ったので尋ねた。


 女の子をよく見たら茶髪でふんわりカールをしている髪の毛で。


 まるで違う国の子みたい。


「彼女じゃないならいいや。剣まだ彼女いないよね?」


 女の子は剣の腕にしがみつきながら尋ねた。


 女の子は両方の耳にピアスの穴が一つずつあいている。


 目の色は黒色なのに…


 何でかな?


 私は首を傾げながら女の子のことを見つめていた。


「え、い、いないけど…。」


 剣はちょっと困りながら私のほうを見てきた。


 何で私のほう見んのよ??


 私は目を点にさせながら剣を見つめた。


「何?」


 私は訳が解らず戸惑いながら尋ねた。


「なら、いいや。いないよ。」


 剣はため息をつきながらつぶやいた。


 今のため息なんですか??!!


 私は一人で突っ込んでいた。


「よかった。じゃあ、今日から私が剣の彼女。」


 女の子は剣の頬に軽くキスをして言い放った。


 は??!!!


 いきなりすぎでしょ?


「え???!!!」


 私は思わず怒鳴ってしまった。


 あまりにも突然すぎるので。


 それに…


「何?あなたはただの幼馴染でしょ?」


 女の子は「やったわ」というような顔で私に尋ねてきた。


 ニヤつきがすごくムカつき。


 私はムスッとした。


 下唇を悔しいのでかみ締めた。


 私はうつむきながら落ち込んだ。


 こんな土壇場で負けるなんて。


「さ、学校へ行こう?剣。私今日から剣と一緒の学校だから。」


 女の子は剣にそう言い。


 剣の腕を掴みながら歩いていってしまった。


 


 なんだろ?この気持ち。


 何か、モヤモヤする。


 何か、剣を遠くに行ってしまったように感じる。


 私はこの気持ちのまま学校に向かうことになった。


 昨日のことは夢だったのかな?


 そう信じるしか私にはできなかった。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


 学校…


 キーンコーンカーンコーン…


 ホームルームが始まった。


「今日はアメリカから転入生が来たぞ。」


 担任の先生がちょっと嬉しそうに言い放った。


 私はその言葉にちょっと嫌な気持ちを抱いた。


 体が反応してしまう。


 きっとあの子だ。


 ガラッ


 古い引き戸を開けてきたのは…


 やっぱりあの白い女の子だった。


 私はため息をついた。


「今日からお世話になる。秋沢あきざわ 明日香あすかです。明日香って呼んで下さい。どうぞよろしくお願いします。」


 明日香は自分の名前を名乗り、先生に指示された席に着席した。


  ↑もう名前呼びしている。


 私は気になったので明日香のほうを見た。


 そしたら、明日香も私のほうを見て「勝った」っと言っているかのようにニヤッと笑った。


 グッ


 私は拳を握った。


 何か悔しい。


 周りの男子達は鼻の下を伸ばしている。


 女子達はちょっと警戒の目で見ている。


 私はうつむいて落ち込んでいた。


 何しろ朝からいろんなことが重なってしまい。


 よくわからない状態になっているため。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


 休み時間には大人数の生徒が明日香に質問攻めをした。


 でも、明日香は慣れているのか質問のをされて一言、「また今度ね。」と言って剣に抱きついていた。


 私はちょっと悲しくなった。


 剣が人のものになるような気がして。


 私は明日香と剣のほうを眺めて、ため息を一つついた。


「大丈夫?」


 逸美が私の顔を覗き込んできた。


 心配そうな顔。


 ごめんね。


 私、逸美のこと心配させてばっかりだね。


「あ、うん。大丈夫。」


 私は苦笑いしながら言い放った。


 これ以上心配させたくない。


「本当に?ちょっと顔色が悪いよ?」


 逸美は心配そう言い放った。


 逸美、ありがとね心配してくれて。


「大丈夫。ちょっとトイレ行ってくるね。」


 私はそう言って席から立った瞬間。


 グラッ


 視界がおかしくなり変な感じがして次の瞬間…


 バタッ


 私は、倒れた。


「杏??!!!杏!!!!ちょっと!!!どうしたの…。」


 私はそして気を失ってしまった。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


 剣


 杏が…倒れた??!!


 俺はすぐに杏に近寄った。


 貧血だな。


「俺が運ぶ。」


 俺はそう一言教室に残して歩き始めた。


 昔からこうだ。


 何か心配ごとがあるとすぐに具合を悪くする。


 ストレスからくるもの。


 ガラッ


 俺は保健室に入って、杏をベットに寝かせた。


「あら、貧血ね。」


 保健の先生は慣れているため、すぐにそうつぶやいた。


 一年生からよく顔を合わす保健の先生。


「はい。少し休ませてやってください。」


 俺はそう言って、保健室を出た。


 わかっているからあまり心配はしない。


「剣。」


 保健室の白い引き戸の隣のコンクリートの壁に明日香が立っていた。


 明日香は悲しそうな顔をしていた。


「明日香?何でここにいるんだよ。」


 俺は驚きながら言い放った。


 心配にさせるその顔。


 やめろよな。


 いい加減。


「剣はあの子のこと好きなんでしょ?」


 明日香は悲しそうにつぶやいた。


 わかってたんだな。


 やっぱり。


「え?ま、まあな。」


 俺はちょっと目をそらしながらつぶやいた。


 ここで言うか?普通。


 呆れながらそう応えた。


「私は諦めないから。諦めたら…」


 タッタッタッタッタッタ…


 明日香は苦しそうな顔をしながら何かを言いかけ、走っていってしまった。


 意味がわからない。


 俺はちょっと焦った。


「明日香?」


 俺は首を傾げながらつぶやいた。


 何しろあの明日香だからな。


 本当に意味がわからん。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


 私は夢を見た。


 どんな夢かって?


 じゃあ、特別に教えるよ。


 幼い頃の思い出。


 私がまだ、十歳くらいの時。


 私の家の近くに公園があるの。


 私と剣はよくそこで遊んでいた。


 その日は秋だというのに真夏ぐらい暑かった。


 私と剣の二人で遊んでいるときに、いきなり剣が木登りをし始め。


 それに連れられて私も木登りをし始めた。


 そして、大きな木の天辺につきそこから顔を出して、風景を眺めた。


 その風景がどんなに綺麗な宝石よりも綺麗だと思った。


 キラキラしていた。


 見るものすべてが小さくて、まるで空を飛んでいるように見えた。


 その時だった。


「エッ!!!!!」


 私はその言葉と共に、その木から落ちた。


 そして、目を開けたときにはみんなが泣いていた。


 起き上がったら、みんながまた泣きながら喜んだ。


 右足と左腕を骨折。


 私は二ヶ月入院した。


 その時に剣が私の父母を驚かすようなことを言ったらしい。


 それは…どんな言葉よりも嬉しく感じた。


 でも、まだ内緒ね。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


 私は目をゆっくり開けた。


 そのとき、手に何かあたたかくて重いのがあるのを感じた。


 それは剣が私の手を握りながら、寝ていた。


 私は剣の髪の毛に触れた。


 ちょっと茶色と黒色の中間ぐらいの綺麗な髪の毛。


 まつげは長くて、鼻がちょっと高くて、唇は薄っすら桃色で。


 一見普通の男子なのに、何故かじっくり見ると美形なんだよね。


 こんなにかっこよくなったの?剣。


 私は剣の髪の毛に軽くキスをした。


 内緒だよ。


「?あ、杏。起きたのか?」


 剣が寝ぼけながら私に尋ねてきた。


 気づいてないよね?


「うん。」


 私は微笑みながらうなずいた。


 心が弾んだ。


 そのときだった。


 ギュッ


 剣が私のことをいきなり抱きしめてきた。


 私はたじたじになりながら。


「ちょっ…剣?」


 私はちょっともがきながらつぶやいた。


 大きく脈が打っている。


 剣に気づかれちゃう。


「あ、ご、ごめん。」


 剣は謝りながら私を離した。


 ビミョーな雰囲気が私と剣を包み込んでいる。


 どうしよう…。


 そんなときだった。


 ガラッ


 いきなり保健室の引き戸が開いた。


 そこから入ってきたのは…


「明日香?」


 剣がそうつぶやいた。


 微かに震えた声が私にしみた。


「何でここに?」


 剣は驚きながら尋ねた。


 私はそのほうを見つめた。


「杏。」


 明日香は私に真剣な目を向けた。


「はい?」


 私は声を裏返しながら反応した。


「私と対決よ。」


 明日香はまっすぐに私を見た。


 え?


 今なんと?


「え?」


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


 私と明日香は対決をすることになる。


 でも、私は…


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


 次に続く…













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