表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大好き  作者: 春月桜
6/12

大好き6

 スキー合宿二日目


 スケート場。


 私は朝からニコニコしていた。


「何でそんなにニヤついてんの?」


 剣が白い目で見つめながら言い放った。


 何気に怪しそうな目をしている。


「私スケートすっごく得意なの!!!」


 私はすっごく嬉しくて大声で言ってしまった。


 張り切ってしまい胸を張った。


「えー。俺の立場ねぇじゃん。」


 剣はすっごく嫌そうな顔をして言い放った。


 反対方向に顔を向けて困っていた。


「何で?」


 私は首を傾げながら尋ねた。


 ちょっとからかいたかった。


「俺、スケート苦手なの。」


 剣は落ち込みながらつぶやいた。


 ため息をついた。


「そうなんだ。ダサッ。」


 私は意地悪な顔をして言い放った。


 いつのまにか笑っていた。


「うるせー。」


 剣は落ち込みながらつぶやいた。


 うつむいていた剣は可愛かった。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


 靴はぬれていて、ちょっと冷たくなっていた。


 この感触が懐かしくて、嬉しくなったりしちゃうのもきっと得意って思っているから。


 スケートリングに上がった途端、懐かしい思い出がよみがえってきた。


 確か、小さいときにも、スケートを滑った。


 あのときも剣が隣にいた。


 私は思い出しながらゆっくりと滑った。


「イデッ!!!!」


 いきなり声が聞こえて体がビクッと跳ねた。


 やっぱり。


 そう感じて向いた先には…


「もう。剣ったら、うるさいわよ。」


 私は剣に注意した。


 剣が転びながらため息をついていた。


「しょうがねぇだろ!!俺だって好きでこけねぇよ。」


 剣は逆ギレし出した。


 私は意地悪な顔をして。


「はいはい。じゃあ、教えようか?」


 私は剣に呆れながら尋ねた。


 手を差し伸べて。


「いいのか?」


 剣は目をウルウルさせながら尋ねてきた。


 わざとしている為か、私には可愛いとは思えなかった。


「いいよ。教えてあげる。」


 私は白い目でそう答えた。


 剣と重なった手のひらは少しだけあたたかかった。


 そして、私と剣の特訓をして。


「こうして、こう。はい、それで進む。」


 面白い。


 楽しい。


 そう思えるのは、きっと君だから。


「こうか?」


 剣は息を切らせながら尋ねてきた。


「そう、いいよ。これで滑れるでしょ?」


 私は笑って剣の手を離した。


 ちょっと残念で風が通るのを感じる。


「サンキュウ!!」


 剣は笑顔でお礼を言って、滑って行ってしまった。


 剣、楽しそう。


 私は剣のことを見てそう思った。


 まるで雪を始めて見る子犬みたい。


 そういえば、小さい頃は手を繋いで、一緒に滑ったっけ。


 懐かしい。


 私は、何故だか胸が締め付けられた。


 私…


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


 しばらく滑っていると。


「なあ、なあ。」


 いきなり肩を軽く叩かれ、体がビクッと反応した。


 ちょっとムカッときた。


「何?」


 私が眉間にしわを寄せながらそのほうに振り返ったら、剣が何か言いたそうに立っていた。


 頬が微かに赤い。


「手。」


 いきなり剣が言い放って。


 手を差し伸べてきた。


「は???!!!!」


 私は驚きを隠せずに大声を出してしまった。


 驚きの顔がもっと険しくなったような気がした。


「そんなに驚かなくても…」


 剣は耳をおさえながらつぶやいた。


 目を細めた。


「だって…。」


 私は目をそらしながらつぶやいた。


 きっと今顔が赤い。


 すごく熱く感じる。


「なんか昔を思い出しちゃってさ。小さい頃俺の家族と杏の家族とさ、スケート行ったときにさ、俺が全然滑れなくて、杏が手を繋いで一緒に滑ってたなーって。」


 剣は懐かしそうにぼやいていた。


 何かを思い出すように。


「私もそれ思い出してた。懐かしいね。」


 私は切なくなりながらつぶやいた。


 胸が締め付けられる感触を覚えた。


「できるだろ。お前が俺と付き合えば。」


 剣は真剣に私のことを見つめてきた。


 剣の姿が強くなったように感じる。


「え。」


 私は戸惑った。


 言えない。


 だって、この関係が崩れるような気がして。


 怖い。


 その時だった。


 ドンッッ!!!


 後ろを滑ってきた人が剣にあたり…


「うわっ!!」


 剣がそう叫んだ瞬間に…


「キャッ!!!」


 私の剣の顔が目の前に近づいた。


 ドン


 チュッ


 私と剣は倒れた。


 その瞬間、何か唇にあたった。


 私はゆっくり目を開けた。


「いてて。」


 剣が私の上にまたがっている状態だったので。


 私は顔が真っ赤になってしまった。


 何か期待をしているみたいで。


「ん?杏?どうした?顔すごく赤いぞ?どっか打ったか?」


 剣は心配しながら尋ねてきた。


 その前にこの状況見なさいよ!!!


 パニック状態に陥っている私は心の中でそう叫んでいた。


「はやく…どいて。」


 私は小声で言い放った。


 私は顔を真っ赤に染めた。


 剣はこの状態を眺めて、顔を真っ赤にし…


「ごめん!!!!!!」


 剣はすごく焦りながらそう言って私から離れた。


 私と剣は目を合わせられずに立った。


「大丈夫。」


 私は顔を真っ赤に染めながら応えた。


 目が泳いでしまう。


「俺、頭冷やしてくる!!!」


 剣はそう言って焦って、滑っていってしまった。


 ああー、びっくりした。


 私は胸を撫でおろしながら心の中でホッとした。


 でも、何か唇にあたったような気がするんだけど。


 何があたったんだろう。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


 剣


 ヤベェー。


 やっちまった。


 しかも、みんながいる前でー!!!


 だから杏が真っ赤だったんだ。


 うわー恥ずかしいー!!!!


 どんな顔してあいつに逢えばいいんだよ。


 それに。


 杏にキスしちまった。


 ああーどうしよう。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


 スキー合宿三日目


 1:30分…


 私はバスの中に首を回しながら入った。


 何しろ色々ありずぎて疲れたから。


 剣がもうバスの中に乗っていた。


 どうしよう。


 顔が熱くなってきた。


 きっと顔が赤いんだろうな。


 私は一人で舞い上がっていた。


 剣もそれを見てなのか頬が少し赤い。


 ちょっと緊張してきたかも。


 私は胸をドキドキさせながら席についた。


 胸が大きく脈を打っている。


 剣にまで伝わりそう。


『……。』


 私と剣はバスが発車しても、何もしゃべれなかった。


 気まずいかも。


 私は一人でそんなことを考えていた。


「昨日は、いきなりごめん。」


 やっと、口を開いたと思ったら、いきなり謝ってきた。


 私は一瞬びっくりしたものの…


「ううん。大丈夫。」


 私は目をそらしながら応えられたのでちょっとホッとした。


 会話終了…


 何かしゃべってよ。


 何でもいいから。


 気まずいこの空気を誰か変えて!!!!!


 私はそう一人で泣きそうになりながら心の中で叫んでいたら…


 思っても見ないことになってしまった。


「昨日はラブかったねー。」


 いきなり後ろから逸美が禁句を言い放った。


 私は目が大きく開き冷や汗がでてきた。


「いいムガッ!!」


 私は逸美が言おうとした言葉を口をおさえてさえぎった。


「その話出さないで!!!」


 私は逸美の耳元で小声で言い放った。


 お願いだからその話やめて。


 私はそう願っていた。


「何で??!!まさか、もっと進んじゃったの???!!!」


 逸美は大声で驚いた。


 私は焦りながら逸美に怒鳴って落ち着かせることにした。


「うるさい!!!!!そんなこと無いから!!!!!」


 私はこの世に生まれて初めてこんなに大きい声を出したような気がする。


 こんなふうに、色々あったけど、スキー合宿は無事に終わった。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


 7、突然の再開


 キーンコーンカーンコーン…


 帰りのチャイムが学校中に鳴り響く。


 走る音が聞こえる。


 ザッザッ…


 この音の正体はサッカー部の人たちの。


 私はサッカー部を見ていた。


 でも何故か、剣の姿しか見ていなかった。


 剣は一生懸命で、ボールしか見ていないのに。


 剣、かっこよくなったな。


 小さい頃はただのバカだったのに。


 私はそう思いながら、サッカー部を見ていた。


 すると…


「あれ?杏ちゃん?」


 いきなり、聞いたことのない声が私を呼んだ。


 私は驚きながらそのほうに向いた。


「え?」


 私は驚き顔でつぶやいた。


 だって…


 全然知らない人なんだもん。


「やっぱりー、杏ちゃんだ!!」


 その男の人は笑顔で私に近寄ってきて私の名前を言い放った。


 全然知らない。


「え?」


 私は戸惑いながら首を傾げた。


 知らない人と話すのはちょっと勇気がいることだと思う。


「あれ?覚えてない?」


 その男の人はちょっと苦笑いしながら尋ねてきた。


 その男の人は黒髪でちょっと長くて前髪が目にかかりそうなくらい長くて。少し癖があった。


 色が白くてスラッとした体型、まさに大人な感じがした。


「すみません。」


 私は目をうつむきながら謝った。


 だって全然知らないんだもん!


 私は心の中で泣いていた。


「そっかー。まあ、全然会ってないからね。俺は浅岡あさおか 太一たいちだよ。君の従兄の。」


 その男の人は自己紹介をした。


 ん?


 何か聞いたことあるぞ?


 何か懐かしい。


「えーーー太兄たいにい???!!!」


 やっと思い出せた。


 私の従兄で遊んでいてくれていたお兄さん。


 私は驚きを隠せなかった。


「懐かしいなーその呼び方。」


 太兄は嬉しそうに笑った。


 あの懐かしい笑顔で。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


 この太兄にあったことはきっと何かの縁だったんだよね?


 まさか、あんなことになるなんて。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


 次に続く…













評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ