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ウィッチクラフト・サムライズ  作者: みるくるみ
4/7

第4話 模擬戦『リーグ』―午前―

模擬戦当日。空は雲ひとつなく快晴だった。

俺──若井正義は四葉志郎と共に校内に張り出された200組あるリーグ表を見ていた。

「おい、志郎。これって、同じリーグじゃないか?」

俺の言葉に苦笑しつつ志郎が言った。

「そうだね。まさか同じリーグになっちゃうなんてね。でも、トーナメントにも出れるか分からなかったから、正義と確実に戦えて嬉しいよ。」

この模擬戦は最初に上位200人の生徒の中から1人と201位以下の生徒の中から4人の合計5人で構成されている。その構成は決まっていて、1位の生徒がいるリーグは1位、201位、401位、601位、801位というような構成で、200位のいるリーグは200位、400位、600位、800位、1000位というようになっている。そして、各リーグで1番多く勝利した生徒200人、2番目に多く勝利した生徒200人など同じ順位でトーナメントを組んでトーナメントを行う。そして、トーナメントの結果から順位を決める。

ちなみに、各リーグで1番多く勝利した生徒200人で上位クラスは構成される。

「まぁ、そうだな。俺も志郎と戦えて嬉しいよ。どっちがリーグを抜けれるか勝負だな。」

「うん。容赦しないからね!お互い頑張ろう!」

「ああ。じゃ、演習場に向かうか。そろそろ始まるしな。」

俺達が移動を始める頃には周りの人達はぞろぞろと演習場に向かっていた。俺達はその流れに乗るように演習場に向かった。



昨日と一昨日に俺と志郎が自主練していた時にはほとんど人がいなく静かだった演習場に、今は溢れんばかりの生徒が集まり、周りは春めいているが、ここだけ真夏のように気温が高くなっている。

俺達のあとに何人か来た後、それで全員揃ったらしく教官が挨拶を兼ねた説明をし始めた。

「えー、今日は模擬戦だ。後悔がないように全力で取り組んでくれ。そして、リーグやトーナメントは校内の壁に貼ってあるのを見てくれた生徒はわかると思うが、今回もいつも通りリーグを1日かけて行ってからトーナメントを1日かけて行う。分け方もいつも通りだ。この2日間、皆の実力が向上することを願っている。以上だ。」

教官が一礼すると皆がそれぞれに拍手をした。

「次に、開会宣言。代表──天城刹那、前へ。」

司会の声が響くと、生徒の集団の中から1人の女生徒が出てきた。目鼻立ちがはっきりとしていて、髪が栗色のロングヘア、細い脚、慎ましい胸も魅力だと感じる目を引くような美しさを持っていた。

「只今より、第10回模擬戦を開会します。」

宣言が終わると同時に割れんばかりの拍手が響いた。その中には歓声を上げる者、口笛を吹く者などもいた。

歓声が止むと、それぞれ自分のリーグの場所まで歩いていった。

「さて、俺達も行くか。」

「うん。場所はどこだったかな。あ、E-40エリアだね。えっと、Eだからトレーニング場かな。よし、正義行こう!」

俺は意気揚々と歩く志郎の後ろについて歩きながら、早速準備に取り掛かっている生徒達を見て言った。

「それにしても、1000人となるとかなり迫力があるな。」

「まぁね。僕も最初は驚いたよ。だけど、今は1人じゃないからね。大丈夫だよ。」

志郎は本当に俺を友達だと思ってくれているんだなと少し感動し、言った。

「そうだな、俺もだ。志郎が色々教えたりしてくれるから安心できる。」

そう言うと、志郎は少し照れくさそうに言った。

「えへへ、ありがとう。でもこちらこそ色々教えてくれてありがとね。」

「どういたしまして。お、あそこがE-40か?」

少し前に『E-40』と書かれた看板が立てられている。

「そうだよ。あ、もう集まってるみたいだね。急ごう。」

小走りで向かう志郎に続いて俺も向かった。

エリアは教室より少し広いぐらいだった。既に俺達以外の3人が刀を受け取り、待機していた。

俺と志郎もこのエリア担当の教師から刀をやっと来たかと言わんばかりに刀を渡された。

担当の教師が全員揃ったのを改めて確認し、言った。

「それでは、只今よりE-40リーグを始める。まず、200位の若井正義、400位の東花凛、前へ。」

「お、早速だな。」

「正義、頑張って!」

志郎の声援を背に受け、エリアの中心に出た。既に東花凛は出て待っていた。

「800位の志郎さんと仲がいいんですね。この成り上がりが。」

東花凛は俺を睨みつつ、威圧を感じるような声音で言った。

「模擬戦もなしに上位組だなんてふざけてる。お前はここで倒されるべきだ。」

「それは無理だな。恩師にいい面を見せたいんでね。負けられない。」

「ああ、そう。じゃあ、ここで負けて屈辱を味わいなさい!」

言い合いが終わったのを見計らい、担当の教師が言った。

「時間は無制限、魔術は身体強化のみ、それでは──始め!」

「はぁぁぁ!」

開始の宣言と同時に東花凛が身体強化の魔術をかけ、飛び出してきた。

それを見て俺も身体強化の魔術をかけ、東花凛との間合いを詰めた。

「ふっ!」

東花凛がうっすらと残像が見えるような速さで横から、上からと斬り込んできた。

俺はそれを軽く流し、斬りかかって来るタイミングに合わせ、東花凛の刀に向かって思いっ切り斬りあげた。

ギィン!という鈍い音がした後、東花凛の手から刀が消え、宙を舞った。

刀が地面に刺さったと同時に刀を東花凛に突きつけた。

それを見て、担当の教師が言った。

「止め!勝者──若井正義!」

リーグの皆が唖然とする中、志郎が駆け寄ってきて言った。

「す、すごいよ正義!速すぎて刀が見えなかったもん。」

それに若干照れくさくなり、少し顔を背けながら言った。

「あ、ありがとう。」

俺と志郎が話しているこの和やかな空気を東花凛がぶち壊した。

「ち、ちょっと!あの速さは何なの!?あなたどんな練習したらそうなるのよ!?」

それに少し苦笑し、言った。

「少し前はお前呼びだったのに今はあなた呼びか。」

その言葉に東花凛が後ろめたそうに顔を背け、言った。

「そ、それは、成り上がりのずるいやつだと思ったら憤りを感じて、普段ならそんなことはないのよ!……ごめんなさい。」

しゅん、と小さくなる東花凛を見て慌てて言った。

「い、いや、それならいいんだ。うん。」

(やばい。女子となんて話したことないぞ。どう話せばいいんだ?全く分からない。)

緊張で汗が一滴背中を伝うのを感じた。

「次、600位の三田英人、800位の四葉志郎、前へ。」

担当の教師に声をかけられ、志郎はハッとして慌てて中心に向かった。

その様子を見て、東花凛が言った。

「あなたが強いのは分かったけど、あの四葉志郎は強いの?」

その言葉に、俺はやはり緊張しつつ答えた。

「ああ。少なくとも、800位のレベルは楽に越してると思う。え、えっと」

「花凛でいいわ。」

「あ、ああ。分かった。」

「でも、あなたが強いと言うのなら少しは強いのね。」

そう言い、花凛は試合の始まりを待ち始めた。俺も習って待った。

「ルールは先程と同じ。それでは──始め!」

三田英人と志郎が同時に身体強化をかけ、お互いに走り出した。そして、志郎が上から斬りかかったのを三田英人が受け止め、弾き返した。

志郎は刀を弾き返された勢いを利用し後ろに下がった。

そこへ三田英人が迫り、左から、右からと斬り込んだ。志郎はそれを受け止めたが防戦一方となってしまった。

しかし、志郎がこの2日間で鍛えた防御は簡単に破れるものではなかった。徐々に三田英人の刀を振るスピードが落ちていった。志郎はその状況を理解し、三田英人の刀を受け止め、それを最初にやられたように弾き返した。

体が前に傾いていた三田英人は踏ん張りきれず、よろめいた。

「せやぁぁぁ!」

そこを狙い、志郎が思いっ切り上から刀を振り下ろした。当然、防御が間に合わず斬られる──寸前に担当の教師が防御魔術を三田英人にかけて、志郎の刀を止めてから言った。

「止め!勝者──四葉志郎!」

俺は褒めるために志郎に駆け寄った。

「上手かったな志郎!あそこで相手をよろめかせたのは良かった。」

俺が褒めると志郎は照れたように笑い言った。

「ありがとう。全部正義が教えてくれたおかげだよ!」

「どういたしまして。次も頑張ろうな。」

「うん!」

600位に勝てたことが本当に嬉しいのか、若干落ち着きがなくなるほど喜んでいる。

志郎と共に喜んでいると、担当の教師が1つ咳払いして言った。

「次、200位の若井正義、1000位の真壁隼人、前へ。」

呼ばれ、エリアの中心に向かうと、遅れて真壁隼人が怯えた表情で出て来た。

「ど、どうか御手柔らかにた、頼みます。」

真壁隼人は、声が震え、膝も震えていた。

「大丈夫だ。あくまで模擬戦だからな。そこにいる花凛みたいに脅したりしないから大丈夫だ。」

そう言うと、花凛は苛立ちを全面に出し、言った。

「さっき、誰が何をしたって言いました?」

「いえ、何でもないです。」

「よろしい。」

少し落ち着きかけていた真壁隼人が再び怯え始めた。やはり花凛は怖いのだろうか。

「まぁ、なんだ。怪我とかはないから安心してくれ。そんでもって──全力で戦おう。」

その言葉に少し安心したのか、真壁隼人の膝の震えが少しおさまった。そして1つ頷き、刀を構えた。俺も同じように構えた。

「ルールは先程と同じ。それでは──始め!」

宣言と同時に俺は身体強化の魔術をかけ、走り出した。一方、真壁隼人は身体強化の魔術をかけようとしていたが俺の方が速かったため間に合わず、身体強化が中途半端な状態での防戦一方となってしまった。

俺は左から思いっ切り斬りかかり、真壁隼人の防御を誘った。真壁隼人が防御したところでその勢いを刀に乗せ、真壁隼人をぶっ飛ばした。

少しは身体強化をかけていたため、完全に浮かなかったが、崩れた体勢を立て直そうとしたその時に俺が刀を突きつけた。

それを見て、担当の教師が言った。

「止め!勝者──若井正義!」

俺はそれと同時に刀をしまい、真壁隼人に手を差し出した。

「そ、その、ぶっ飛ばして悪かった。」

真壁隼人は俺の手を取り、立ち上がった。

「いや、大丈夫だよ。それよりも、強いね、君。凄かったよ。あ、俺のことは隼人って呼んでくれていいからね。」

「分かった。じゃ、俺も正義でいい。」

「了解。じゃ、とりあえず退こうか。ここにいると邪魔だしね。」

隼人とエリアの端まで移動すると、志郎が駆け寄ってきた。

「凄かったね正義!えっと、隼人先輩。お疲れ様です!」

志郎がそう言うと、隼人は苦笑しながら言った。

「先輩だなんてとんでもない。1年も離れてないんだし、同年代みたいなものだよ。気軽に隼人って呼んで。あと敬語もなしね。むしろそうじゃないとなんか落ち着かないんだよね。」

「分かった。じゃ、隼人。これからもよろしくね。」

(なんか戦った人とある程度仲良くなれてる気がする。でも……友達ってどこからが友達なんだ?分からないな。

そういえば、この中じゃ三田英人とはまだ話してないな。戦った時に話すか。自分から用が無いのに話しかけるなんて無理だしな。)

そう思いつつも、少し三田英人の様子が気になったのでチラッと三田英人を見ると、次に試合があるらしく準備を整えていた。しかし、三田英人からは隠そうともしない殺気が溢れていた。

そこで担当の教師が次の試合について言った。

「次、400位の東花凛、600位の三田英人、前へ。」

その言葉と同時に花凛が前に出る前に一言言った。

「花凛。あいつ異常な程殺気が出ている。何してくるか分からない。気をつけろよ。」

そう言うと花凛はクスッと笑い、言った。

「ご忠告ありがとう。でも、大丈夫よ。あいつの殺気が異常なのは私も分かっているわ。それほど落ちぶれてはいませんわよ。」

「そ、そうか。ならいいんだが。」

「安心して見ていてください。」

そう言い、花凛はエリアの中心に向かった。三田英人は相変わらず殺気を出し立っている。

「ルールは先程と同じ。それでは──始め!」

2人が同時に身体強化の魔術をかけて、刀を構えた。

「はぁぁぁ!」

先に花凛が走り出し、その勢いを刀に乗せて三田英人に思いっ切り刀を振り下ろした。三田英人はそれを手で受け止めた。

「なっ!?」

花凛の対応は速く、刀から手を離し三田英人から距離をとった。

「ふっ、はははははは!東花凛!これでお前はもう戦えまい!汚名返上のために叩き潰してやる!」

「手に防御魔術…ですか。ふふっ。素晴らしいですわ。でも、あなたは負けですわ、三田英人。」

「今更何を。刀がない武士などゴミも同然。さっさとくたばれ!」

そう言われた花凛はクスッと笑い言った。

「それが原因ですわ。武士といえば刀、この基本概念がある事です。さぁ、かかってきなさい。」

挑発された三田英人はさらに殺気が増し、鬼の形相で花凛に襲いかかった。

「おりゃぁぁぁ!」

三田英人は花凛に向かって刀を振り下ろした。その刀が振り下ろされる──その前に花凛が三田英人を殴った。

「ぐっ…」

防御魔術を殴られる箇所にかけたものの勢いが殺せず吹っ飛んだ。

10メートル程吹っ飛び何とか体勢を立て直した時には花凛の拳が眼前に迫っていた。

その光景を見て、担当の教師が言った。

「止め!勝者──東花凛!」

その宣言を聞き、ふぅ、と1つ息を吐き踵を返した。

花凛が俺達のところまで来て、笑顔でVサインをした。

「花凛、お前殴り合いのが強いんじゃないか?」

俺の言葉に左右の2人も確かにというように頷いた。

「なっ、そ、そんなことはありませんわ!……多分。」

自信なさげな花凛の答えに男3人が揃って笑い出した。

「な、なななにを笑ってるのよ!いいじゃない!殴り合いが少し強くたって!……それ以上笑ったら殴りますわよ?」

沸点を超えたのか、笑顔で脅してきた。

「あ、すみませんでした。」

「よろしい。」

そんな会話をしていると担当の教師が割り込むように言った。

「次、800位の四葉志郎、1000位の真壁隼人、前へ。」

「あ、次は僕達だね。隼人、行こう。」

「ああ、どうか御手柔らかにね。」

花凛の時とは違い、優しい言い方だった。

「花凛って、やっぱ知らない人から見ると怖いんじゃないか?」

そう言うと花凛はキッと俺を睨みつけて言った。

「そんなことは…ないわよ!」

「若干自信なさげだな。」

笑いながら言うと、しゅん、と小さくなった気がした。

「だ、だって、色んな人に言われてきたんですのよ?……出会った人全員に。」

そう言われ、なんとも言えない罪悪感を感じた。

「それは…悪かった。無神経…だったな。」

半べそで涙目になっている花凛を見て、今はそっとしておこう、と思った。


「隼人、全力で戦おうね。」

「ああ、もちろんだ。手加減はなしだ。」

志郎は隼人に向かい合った。会話が終わったのを見計らい、担当の教師が言った。

「ルールは先程と同じ。それでは──始め!」

その宣言と同時に2人が身体強化をかけ、走り出した。志郎が先に刀を左から勢いのままに斬り込んだ。それを隼人が防いだが、志郎の切り替えは早く、隼人が防御を解いた時には既に右から斬り込んでいた。

隼人はそれを刀で払って体勢を立て直そうとするが、既に志郎の刀が振り上げられている。それを横に飛んで避けた──と思ったのに、横から刀が来ていた。飛んでいたために防げず、担当の防御魔術によって志郎の刀の勢いは止まった。

それを見て、担当の教師が言った。

「止め!勝者──四葉志郎!」

その宣言と同時に刀をしまい、隼人に手を差し出した。

「強いね、志郎。」

「まだまだだよ。もっと強くなりたいんだ。」

隼人は志郎の手を取り立ち上がって言った。

「なんで?君は充分強いと思うけどな。」

隼人がそう言うと、志郎は少し恥ずかしそうにして言った。

「正義の、隣に立ちたいんだ。欲張りかもしれないけど友達として助け合えるようになりたいんだ。だからそれだけの力が欲しい。」

そう言われ、隼人は苦笑して言った。

「なるほど…確かに、もっと強くならないとだね。」

「でしょ?」

そう言い、2人で笑いあった。その最中に、

「全エリアでリーグが5試合終わったので、これより昼休憩としたいと思います。続きは午後に行いますので各自準備をお願いします。」

と、アナウンスが入った。そのアナウンスを皮切りに生徒達が移動を始めた。

「さて、僕達も行こうか。」

志郎はそう隼人に言って、正義達の元に移動をした。

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