表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自殺転生〜死そして生へ〜  作者: 月山
勇者そして魔王へ
65/69

〜魔王城内部に居るモノ〜

ハーブの体から魂が空中に浮き霧散した。


「終わったな…」


ルウンがそう呟くと非難していたアリスやガイン、バイラが木陰から顔を出し、魔王城の扉前に歩きだす。それと同時にアネルとディータが集合する。これがベルとゲイルを除いた全員となる。ゲイルは先行隊として魔王城内部に潜んでいる。侍というよりは忍者のようなゲイルに向いてると直感したため適当に送ったのだが、発見された様子もない。そしてベルは、周辺の森の中に潜んでいる。ベルには最後の勝負のために色々と準備してもらっているのだ。


「それじゃあ、行きますか…っ」


ルウンの体はふらつく、当然体の限界を超える力を使ったのだから、いわゆる筋肉痛的な症状が出ているのだ。まぁその痛みは筋肉痛など比ではないほどである。それでも倒れるわけにはいかないルウンは刀を杖代わりにするという、刀を悪くする使い方をするが、今はそれに気を回す気力もないし、その程度でガタがくるような代物なら、ハーブとの打ち合いなどもできなかっただろう。


「気にするな」

誰も心配の声をかけてなどいないのにも関わらず、ルウンはそう言った。

「俺は魔王を倒しに来たのだから」

そう続けて、今度はしっかりとした歩みで、扉を押し開けた。


その扉の中に入った全員は、上の方で聞こえる爆音を聞き逃さなかった。どうやら扉は完全防音…

「この扉…まさか、完全隔離…それじゃまさか…急げ!!おそらくゲイルが戦闘中だ」

アネルが荒い口調で叫び、駆け出す、それに従って各々も走り出す。天へと続く螺旋階段を登り、その途中途中にある扉を開けることなくただ登り続ける。ゲイルの気配それと凶悪な気配と、それを上回りしかし悪意など欠片も持たない莫大な気配を有してる何かがそれよりも上にあった。


ある程度登った先は行き止まりだった。


階段が途切れている…まるで作りかけにように途中から何も無くなっていた。確かに上にゲイルの気配がするのだが視界の先は城の壁があるだけでぽっかりと何も無くなっていた。


「ここを開けるよ!おそらくあたしよりも高レベルの空間支配能力…隔絶の天使ナルミがいると思う。そいつとあと気配しないが、戦いに秀でたハルフェンという天使が残っている。どちらも敵対しているが、ハーブほどの力は持っていないはずだ」


アネルは、言葉を叫びながら、空間に亀裂を作るそしてそれに体当たりをするように突っ込んでいくと、瞬間的に景色が暗転した。



周囲は完全に黒であり、しかし闇ではない。それは敵とゲイルの姿がはっきり見えるからだ。ルウンは思い当たる場所がある、初めてあの神…たしかキイラスと会った場所だ、しかしそれとは異なるものだと思っていた。なぜならこの空間は、魔法によって作られた空間だったから、あれはあそこに初めから存在するものなのだから。そしてそこに存在したゲイルはすでにボロボロで、刀を杖代わりに膝をついて力が続く限り立ち上がろうとしている。その目の前にいる存在は、天使と名乗るにふさわしい頭にきらめく輪と巨大な6対の翼を生やし、手には僧侶が持つような錫杖が握られ、全身を1枚の本当に真っ白いローブを裸の上からきているようで、深くかぶったフードからは白い髪の毛と真っ赤な瞳がのぞいていた。ローブの前を閉じていないため、大事な部分が見えそうで見えない謎の作りだ。この明らかに天使だと思えるこの女性がさっきアネルが言っていたナルミもしくはハルフィンという天使なのだろう。

「だれだ…あいつ」

唯一残りの天使の顔を知っているアネルが、予想外の言葉を発した。

「どういうことだ!アネル」

ガインが質問をぶつける、それは全員の思いの代弁でもある。

「あの天使…いやもはや天使なんてくくりじゃない。あの存在からは間違いなくナルミと微弱ではあるがハルフィンの気配がある。だがあの姿はどちらでもない。それに天使の輪をその身に宿していたのは、後にも先にも初代天使だけだったはず…」

「んなことより、ゲイルを助けるぞ!」

衝撃を受けたアネルとまだ敵が魔王ではないためガインを残して、駆け出す。バイラの怪我は全て完治しており、ディータとアリス、ルウンはゲイルと並ぶようにして各々の武器や拳を構える。


「ゲイル!大丈夫?」

アリスは声をかけるのと同時に回復魔法をかけて治癒する。アリスは未だに制限の腕輪を装着しているが、これも作戦の一つであった。相手の油断を誘い、不意打ちの一撃を与えるためであるが、ちなみに回復魔法の効果にはほとんど影響がない。ほとんど完治に近しくなる。


「あれれ?他の天使たちは負けちゃったのか!全く使えないな。取り込まれて力を与えちゃってるし。全部僕が倒しちゃえばよかったんだよね」

見た目からは想像できないほどあどけない声で喋る。口はほとんど動かさないのに、はっきりと響いた。

「お前…何者だ!」

アネルとガインがわずかに離れた場所でローブの女性を見据え、、アネルが叫ぶように声を張る。

「おやおや、天使にしては随分野蛮な言葉使いだね、それに自分から名乗らないなんて失礼だよ。でもいいよ、教えてあげる。」

錫杖を目の前に構え、ローブのフードを外し、美しく流れる白い髪を開いている左手で後ろに流し

「僕の名前は”虚無の竜”ゼディグ。全てを虚言とし全てを無に帰す者なり。なんて謳い文句がついてるけど、今の僕は2体の天使を取り込んだ大天使”ゼディウス”といったところかな」

「天使を取り込んだ!?どういうことだ」

「どういうことってそのまんまだよ、それに君たちだって同じことしてるでしょ?ただ僕は2体の天使の魂を自分の魂を進化させるために生贄(いけにえ)にしたの、まぁそれのおかげかな、天使の力も最大限まで進化できて、竜としていた時よりも圧倒的な力を得られたよ」

ゼディウスと名乗った天使のエネルギーは『分析者』をもってしても把握できない、つまり魂の力をそのまま使っているということだ。しかしそんなことはわからなくても感じる。圧倒的強者絶対無敵の存在とも言える。

「さてと、おしゃべりも終わりにしよう?僕は魔王様の右腕だよ、僕は魔王様の望みを全て叶えたいんだ。他の天使と違って無理やりじゃないよ。本気で魔王様に使えているんだ。だから、君たちを殺すよ」

静かにあっけらかんと口から出した言葉に殺意はない、だが背筋が凍りつくような絶対零度の冷たさを持っていた。敵とは認識していない、ただ潰すだけの存在ルウン達はただ潰されるだけの存在ということなのだろう。

「なるほど、俺様たちを虫けら扱いしてるってわけだな…甘く見てんなら痛い目みしてやろう!!」

ディータが直剣を作り出し、ゼディウスに迫る、ルウンも通常の状態ではあるが刀を構え斬りかかる、バイラは聖魔混合破創刀(カオスソード)をガインから受け取っており、意識を渡すことなく構える。

「アリス…もう無駄だよ隠してる意味なんてなかったんだ。戦うなら手加減なんてしてたら一瞬で死んでしまう、腕輪を外せ」

アネルの叫びにアリスが頷き、力を込めるとアリスの力を制限していた腕輪があっさりと破壊され、アリス本来の力が…力が…解放…され

「ええええええ!!?」

まず驚いたのは、ゼディウスのほうだった。正直ルウンも驚いたが、戦いをの途中でよそ見などできない。しかしルウンの後方でアリスの気配が爆発的に膨れ上がりそしてエネルギーが消失した。

「まさか、これほどまで成長してるなんてね。嬉しい誤算ってやつかな」

アネルがアリスを見て驚きの声をあげるそれも当然と言えよう、アリスの姿が目の前のゼディウスと同様の大天使となっていたのだから。

「おそらくそれはエネルギーやその他の流出を腕輪が止めてたことによる余剰分(オーバーフロー)による一時的な成長、限界突破よ!!だからあまり長くは持たないはず!一気にたたみかけるわ!」

アネルもカノンを吸収したことで、天使の翼を4対生やた天使となり、アリスを先導するようにすぐに飛び出し、手から細剣(レイピア)を出現させ、それを構え突き刺すように飛ぶ、その速さは空気を切り裂くことでマッハを軽く追い越し光輝く刀身を残像として、、一直線に進むその切っ先がゼディウスに当たる直前、ゼディウスの口角がニヤリ持ち上がる。その瞬間察する死、しかしゼディウスの視界を遮る白い翼から離れた白い羽。そして向かってくるわ閃光のごとき速さで繰り出された大剣による突き。直撃を避けたゼディウスの前髪が浅く切れた。

「っく…僕を傷つけるなんて…許さないよ君!!」

「私の名前はアリス=ハーチラス、許す必要はありません。私が永遠の眠りに(いざな)ってあげます」

アリスとゼディウスは他の存在を無視して戦闘を始める、あまりに異次元の戦いに参戦を放棄しようとしたが、ルウンだけはその戦いに目を向けていた、そしてその手に握る刀は少しずつ、周囲の闇を喰らっていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ