〜立ちふさがるモノ〜
先頭を走っていたルウンが突然動きを止め、腕を横に突き出すことで後ろをついてくる全員の動きを止めた。ここはまだ魔王がいるだろう場所から離れた森の中、本来なら足を止める理由な土ないのだが
「また…誰かいるぞ?さっきのカノンって奴が天使だっていうなら、こいつらも天使だ」
視線のさきにはゆっくり近づく2つの影。ルウンがいうよりも前から気付いていたのは龍の二人とアリスだったが、感じ取れたのは微弱なエネルギーで3人は魔物程度だろうと予測していたのだが、ルウンが自信を持って天使だと言ったため、全員がもともと臨戦体勢ではあったのだが、より一層エネルギーを充実させる。
「あら?私たちの擬態に騙されなかったみたいね?」
「そうね?わたしたちは完璧のはずなのに」
ゆっくり近づいていた影は2匹の蛇であった。表面が絹織物のような上品な光沢を放っている。薄桃色と銀のような白の蛇は、しっかりとこちらを見据え言葉を発する
「きっと彼らが完璧でないからバレてしまったんだわ?」
「そうねきっとそうね、では完璧でない美しくない物はさっさと処分いたしましょう」
そのセリフを最後に美しい白と薄い桃色の蛇はその色の派手でふわふわとしたドレスを纏ったグラビアアイドル顔負けのボディーを有した美女が出現した、ガインがほんのわずかに気を緩ませたのは全員気付いたが、それをつっこめずにいる。
それほどの強敵だからだ。しかしアリスは絶対後でぶっ飛ばすという違う方向の殺気を放ち、ガインはそれに瞬時に気付いて再び戦闘モードに切り替える。
「俺の名はディータ=アゲイン。魔王に用事があってきたんだそこを通してもらいたい。力づくで…と言うのなら俺が相手になろう」
「あらあら、妙な気配の殿方が、私たちに喧嘩を売っている…というの?」
「私ラティシアと」
「私サティシアの」
「「双子天使に勝てるというの?」」
おそらく彼女たちにとってはささやかな怒りを示しただけであろう、しかし、それだけで弱者を萎縮させるには十分な威圧であった。しかし、その程度今のディータにはそよ風も等しいものであり、特訓の最中に色黒短髪イケメン姿に変わったディータは、鋭い目つきで彼女らを見つめる。
「ああん、人間の殿方の熱い視線…私にとって初体験」
「ああん、私も初体験よ。からだが興奮で熱くなっていくわ」
何ふざけたこと言ってんだ、と思ったルウンだったがどうやら、熱くなっている原因は彼女らの底知れぬエネルギーが体を包んでいるからだろう。ラティシアとサティシア、二人の区別のつけ方は服装と目のすぐ下にある涙ホクロくらいだろうか。ピンクっぽい服装で、右側にホクロがあるのがラティシア、白くて左側なのがサティシアらしい。
「相手が二人なのに一人で挑むとは分が悪いかろう、破壊の竜を冠する俺様も戦ってやろう。」
「いいわよ、本当は全員の足止めを頼まれたけど、少しずつ削っていけば結果は同じよ」
「そうね、私たちの力なら竜だって瞬殺だもの」
「それに…まだハーブ姉様が控えてますもの」
ラティシアとサティシアは二人揃った動きで、礼をしたあと、今までの上品なオーラを一体どこへ?と思えるほど底冷えした声色で
「1秒でも長く生き残れるよう努力しなさい」
「どうせ死ぬのだから」
すでにメンバーは3人割かれルウンを先頭にアリス、ガイン、ベル、リリナ、そして聖魔混合破創刀を持ったバガスとバイラはついに魔王がいるだろうところまで近づいた。途中途中方向をバイラに確認させていたので迷わず来れたが、明らかに妙な作りの地形になっておりバイラがいなければ相当時間を使ったことだろう。そしてやはりというべきか、魔王が居ると示した場所にはこの天界の30%近くを占めていそうなほど巨大な城が建っていた。ここにアネルがいれば、これが既存のものなのか、それとも魔王が新たに作ったのか伺えたのだろうが…まぁ魔王を倒すことには変わりはないルウンはそう判断して、魔王の城に乗り込もうとする…しかし
「待ってください、ルウンさん」
今度はバイラが全員を止める。その瞳は金色ではなく黄色に光っていた
「どうやら、この力はみなさんに共有されてないみたいですね…見えないと思いますが見てください!イメージであれば『究極超五感』のおかげで正確に伝わるかと思います」
そう言われ、じっと魔王の城の城門をみると、ぼんやりと人型の輪郭が見えたかと思うとその明確さは徐々に増していき、最終的には銀色の髪の毛をストレートに腰まで伸ばし、前髪は眉毛あたりでパツンと揃えれている、これまた美女が直立不動でそこにいた。胸の方は先ほどのラティシアたちと比べれば、若干劣るが、むしろ男性好みのサイズであろう。しかしその銀髪美女の足元にはとても場の雰囲気をぶち壊す、重々しく黒光りするトゲ付き鉄球が地割れを起こしながらそこに置いてあった。
「しかし、透明化か…やっかいだな」
ルウンの言葉にリリナが反応し、
「それな透明化している今なら油断しいてるでしょ!」
リリナがごそごそとスカートのようなものをめくり上げ、美しく白い太ももにバンドで留めておいた如意棒を取り出し、最小限のエネルギーで最速の攻撃を放った。それは、雷の如き速さでもって、銀髪美女の首に突き刺さった。
「みんな!!逃げろ!!」
突然、バイラがスキル『情報伝達』と『究極超五感』の合わせ技で強制光速伝達でこの場から逃げろと指示をした。なんのことか分からないが体は、ほとんど反射による速度でその場を飛び退いた。
瞬間の爆音と何かが砕ける音。
「あぁあああああ!!」
「仕留めたのはひとり…でしたか。随分と早く気づかれましたね。見えていたのは…あなたですね?その瞳の色でわかります。ですが他の方と比べると随分ステータスが低いですね。この結果は当然…ですか」
静かに丁寧にゆっくり話す、銀髪美女。しかし、彼女は直前まで城門にいたのに、全く気配も物音も立てずに一瞬でルウンたちを攻撃して見せた上、一番能力値は低いといっても、ルウンの『OFAOFA』の影響で強化されているはずなのに、避けきれなかった。
カノンやサティシア、ラティシアのことを強敵だ、といったことを撤回したい。目の前にいる、ただひとりの銀髪美女こそが強者であると確信をもって言える。それほどまでのエネルギーを有していた。当然表に出しているのはごくわずかだが、全身を覆っているため、相当量であるにもかかわらず、単純計算で0.001%ほどしか使っていななかった。
「他の天使はあなた方を先に行かせたみたいですが、私はそのようなことを致しません。全員でかかってきなさい。
どうせ私が勝つのだから」




