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自殺転生〜死そして生へ〜  作者: 月山
勇者そして魔王へ
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〜OFA・AFOというモノ〜

特訓4日目

アリスの動きはかなり洗練されていた。アネルからは戦闘の術を叩き込まれており、今ではエネルギーの物理干渉を利用した空中戦も可能となっていた。アリスはエネルギーの98%を制限されているにもかかわらず、緑に白を混ぜたエネルギーに全身をまとわせていた。実際に稼働したデータを取っていなかったため、確実に今現在も能力を2%まで制限できているかどうか定かではないが、確実に能力は大幅に制限されている中で全身に纏わせるには相当量のエネルギーが必要であり、現時点ですでにアリスのエネルギー量は、グガルディンとディベルバン二人のエネルギーを足したものよりも上回っていると予測できた。


「いきます!」

パァンと地を蹴りアリスの体は空気の塊を押しながら、アネルに迫っていくパンチとキックを瞬間的に数十発ほど放つがそれを上回る速さで的確に手のひらで受け止める、最初のうちはそれだけでダメージなど与えられなかったのだけれども、いまでは当たった瞬間にさらに加速させることでわずかずつに手のひらが焦げる程度のダメージを与えられていた。だが、アネルの膨大なエネルギーはその程度の怪我は瞬時に治ってしまう。しかし、ダメージを与えられたことでアリスに自信を与える、そしてさらに一層エネルギーの密度が増す。

「単純なやつだな、それならこれはどうだ?」

アネルのゲンコツがアリスの頭部を狙う、目に見えない速度で放たれた拳を反射と勘で防いで見せるが、圧倒的力量の差で地面に向かって一直線に落ちていった。

「推測でしかないが、これはルウンの全盛期の一撃だ、これに耐えられっ!!?」

今度はアネルが地面に向かって落ちる、途中で体勢を立て直したことで、衝突は避けられたが、顔は驚いていた

「ふふ、どうやら私のスピードをとらえられなかったようね。お母様!」

「そ、その翼あなた」

「翼?」

アリスが自分の背中を見るとそこには小さいながらも真っ白な翼が生えており、意識すれば自在に羽ばたかせることができて、その度に10センチくらいの羽が舞う。いままではエネルギーの物理干渉で空中に足場を作る感覚で空中に滞在していたのだが、それを解除しても翼を利用すれば自在に空中にとどまれるようになった。しかも翼を利用すればいちいち静止して方向変換する必要がないため大幅に隙をなくせるだろう。しかしそんなことよりもアネルは、翼が生えたことに驚いているようだった。

「これがどうかしたの?お母様が驚くところなんて初めて見ました」

「天使のなかで翼が生えていたのは、初代と二代目天使だけだったのよ、それがまさか15代目の私のしかも人間との間にできたあなたに…?」

アネルの言葉が途中で止まり、表情には一層の驚きを表す。そしてアネルが手をかざすと、ルウンをどこかに送ったときと同じ魔法陣がアネルの足元に出現したと思った直後、視界を山頂からの絶景が埋めた…ただ一部を除いて。

「こ、これは」

「お、やっぱり聞こえてたんだな。どうだ、言われた通りここら一帯の魔物全部狩ったぞ」

「ぜ、ぜんぶとはいってなかったんだけど、で、でもこの天気はどうなってるの?ここは1年中雪が止まない地域のはずだし、100年に1日あるとされる晴天日でもないはずよ」

「おう、煩わしかったから、雲を吹き飛ばしてみた。まぁそれができたのは魔物をぜんぶ倒した後だったんだけどな」

「まさか、あなたどれだけレベルがあがったの!?」

「ん?いやたしか最後に聞いたのがあのでかい人型の魔物を倒したときだから多分5だな」

ルウンが指差したでかい人型は、真っ白な毛に包まれた、ゴリラのような魔物であとでアネルに聞いたところ、人型の魔物のなかで寒い地域特有の進化をしており、名前は雪人間(イエティ)。強さ的にはSランクに近いAランクであり実質この元雪山の主クラスであったそうだ。

「たった5でこれ?いえ、それよりそれだけの魔物を倒せば少なくとも30は上がるはずなのに…ましてや強靭な魂を持つ雪人間(イエティ)を5体も倒しているのに…それだけエネルギへの変換が大きいというの?いえそれより、急いで戻りましょう、これだけ天候を変化させたのなら、魔王が気付いてなにか仕掛けてくる可能性もあるわ」

アネルは早々に魔法陣を展開し、もとの草原に戻ってくると、なぜか全員揃っていた。しかしその顔つきはこの特訓が始まるときよりも凛としており、それぞれの目には覚悟が宿っていた。

「まだ4日目なのに随分早く、ここまで成長しましたね。一人一人がSランク相当の魔物十数体分の能力を有しているようですね」

それぞれの能力値をアバウトではあるが数値化してみることができるアネルは、全員の異常とまで言える能力の上昇具合をみて頷きながら話す。そうやら落ち着きを取り戻したのか、口調がいつもの丁寧なものに変わっていた。

「あ、たぶんそれ俺のスキルのせいじゃね?」

「「「「え?」」」」

全員の言葉がかぶり、その視線は一斉にルウンを捉える。全員が思っていたことだが、三日目を過ぎたあたりから、体に異常なほど力が溢れていることを感じていた、しかしそれは過酷な特訓の成果であり、よもや誰かの影響が与えられているなど思いもしていなかったからだ。

「で、でもルウンって一回全部のスキルがなくなったっていってたよね?」

「そうなんだけど、魔物を200体くらい手当たり次第に倒してたら、魔物の群れが連携をとるようになってな、まぁ結構苦戦したんだけど、その時仲間の力を借りるってのは、本当に戦略としてありだなって思って、頭のなかで俺がディータだたら、俺がガインだったらと趣味レーションをしてたら、いつの間にか、声が聞こえて獲得してたんだ。たぶんこれが俺が望んでたことなんだろうと思うけどな」

そういって、ルウンが空を見上げながら、

「このスキルは『|O F A A F O 《ワンフォアオール・オールフォアワン》』だ。みんなの力を俺だけじゃなく俺の仲間全員に共有できる能力だ。まぁ上限はなんとなく感覚でしかないが、俺を含めて10人ぐらいだろうけどな」

なんていう規格外のスキル…そうは誰もが思ったが。それぞれが規格のな簡易いない人間やら魔物やらであり、とてもじゃないが、ルウンに突っ込める立場ではなかった。それよりも、そのルウンの能力のおかげで、全体的なレベルアップを図ることができたわけだ。


そしてついにその日を迎えた。


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