〜デブハゲガリのうざいモノ〜
「ちょっ!!突然なんだよ」
「そうだ、ルウン君を離すんだ、俺はガイン=ハーチラスだ」
ルウンが複数の兵隊に囲まれ混乱の中、ちょっとゴツめの青い色が混じった黒い手錠をかけられ、連れて行かれようとした時ガインが、兵隊の一人を捕まえて自らの名を叫んだ。しかし、その兵隊のきている鎧がハーチラス王国の兵隊の物とは違った。
「申し訳ございません、ハーチラス王国ガイン王子」
「王子とは呼ばないでくれ、ガイン次期国王で頼む」
「了解致しました。ガイン次期国王様申し訳有りませんが、このルウン=ローレンは国連の方で捕縛せよとの通達がございましたので、いくらハーチラス王国の次期国王といえども、それを取り消すことはできません」
「国連・・・だと?」
ガインがつぶやき、兵士を掴んでいた手を離す
「国連だかなんだか知りませんけどね、ルウン様に危害を加えようとするなら、私…怒りますよ」
リリナが異常なほどの殺気と威圧を周囲に放ち、それを合図にベルもディオスも体にエネルギーをめぐらせ、臨戦態勢に入る。この場にいる兵士は30名を超えている、ルウン一人には圧倒的に多い人数ではあるが、正直戦力的に見れば、全く足りてないのだ。
「お前ら、ここで暴れたら、その国連ってのに喧嘩売ることになっちまう。ここはおとなしく、ついてく…あ」
今まさに飛びかからんとする者を引かせるために、ルウンは軽く手を振って、大丈夫だと伝えるつもりが、その動作だけで手錠があっさりと壊れてしまった。
「ば…ばかな、国連支給の金剛ダイヤ製の手錠だぞ」
そう言いつつも先ほどと同じ手錠をルウンに掛けようとすると、それを今度はそっとガインが止めた
「やめとけ、国連の予算の無駄になるだけだ、さっきの手錠、決して劣化で壊れたわけじゃないからな」
「そ、そうだな。暴れる気がないのなら、ついてきてくれると助かる」
軽く頭を下げられて、断る理由は少しはあるが、まぁここで暴れていいことなんかないため、黙ってついていく。そしてハーチラス王国にある冒険者集会所と対の位置にある建物、国連軍ハーチラス王国支部。ちなみに本部はキングダム王国にあるらしいが…
「ルウン=ローレンを連れてまいりました。また、その仲間も一緒についてきました」
無駄に大きくゴツく、豪華な扉の上には、大広間とだけ書かれたプレートの様な物があり、ルウンの前を歩いて先導していた、藍色の鎧を身にまとい、ワインレッドとも言える様なマントを付けた、兵士が、3度ノックし返答を待たずに少し声を大きくして叫ぶと
「構わぬ入れ」
と端的な返事が返ってきた、重厚な扉を開けると、そこには面接会場のようにどっぷりと椅子に座るジジイが3人居て、左からデブ、ハゲ、ガリと見た目で区別がつくような、いかにも貴族って感じの服装だった。
扉の中に入ると、まず先にルウンが口を開いた
「で?なんのようだよ、急に捕まえてさ」
「口を慎め、貴様が他国を壊滅させた、という情報を掴んでいるのだ」
「そ、それは、あの破壊の竜グガルディンの仕業です!」
デブの発言に真っ先に食いついたのはベルだった
「偽りを述べるのは、国連に対し反逆をする、ということと同義になります。言葉を選んで発言したまえ」
ハゲが、いやらしい目つきでベルを見ながら、ネチネチとした言い方で言葉を遮ってしまう。まずい…明らかに怒っていらっしゃる。ベルの体からは、怒りの籠ったオーラが漏れている。
「これを見て欲しい。写真…とはわかるな、そちらのディータ博士が作り出したカメラとかいう機械で、その場所を保存することができるのだが、これは壊滅した国だ。これと同じようになっているイグニア王国で君がいるのを国連に連なる兵士が目撃した。これは動かぬ証拠…というものではないか?」
ガリガリの男が顎に生えている短い髭を撫でながら、どこが証拠なのかわからないものを突きつけてきた。
「俺にそれをする動機はないが、そこまで頑固な考えに固執しているお前らに何を言っても無駄だろう?要求は一体なんだ?」
「口が悪いのは育ちが悪い証拠…まぁ、私は寛大だ。それに要求などはない、ただ事実を確認しそれが真実ならば、死刑に処するだけだ」
ガリが再び口を開くと、ルウンを処刑するといってきた
「だから、ルウン様は何もしてないし、それにグガルディンのせいだって言ってるでしょ!!」
リリナがベルを抑え先に口を開く
「まったく、世間を知らぬガキはこれだから、破壊の竜と呼ばれるグガルディンは、あの海を境に100キロ先にある悪魔の世界でのみ生息するといわれているのだ、そこから出ることはできないというのは常識であるぞ」
「それが出てきたと言っているの!それにはおそらく魔王の出現にも関わってる。」
「魔王とはまた随分物騒な名前をだしてきましたな。しかしそんな話は、我々の耳には届いていない。国連の幹部にいる我々が知らぬことはない、特に魔王が出現したとなれば…特にな。つまりその話も偽りだということになる。」
デブが腹をさすりながらいうと、顎をつかって、ルウンたちを案内した藍色の兵士に連れられ、地下の牢獄に放り込まれた。当然といえば当然なのかディータ博士とガイン、アリス以外の全員が放り込まれた。
石で囲まれた牢、扉も全て石で作られており、開けるのにも兵士二人掛かりなのだ。
「なんですかあいつら、人の話をまったく聞かないで!」
ベルが苛立ちを晴らそうと、八つ当たりを壁にしようとしたが、ベルの力では軽くであっても壁を破壊してしまうのは、目に見えており、ルウンは手を軽く引くことで抑えた。
「まぁ、死刑っていてもさすがにすぐってわけじゃないだろうし、そうなった時は逃げればいいもんな。どうせ人間がいくらたばになっても俺の力ならどうとでもなるからな」
「そう…ですね」
「俺もこちらでなにか手を打ってみる。少し待っててくれ」
ガインがそう言うと、名残惜しそうにこちらをみていたアリスを率いて、上へと上がっていった。ディータ博士はルウンに丸い1円玉を4枚重ねたくらいの大きさの黒い機械を渡し、耳を指差した。




