〜破壊の竜というモノ〜
その突進に全員が反応でき。ベルが両手で肩を押さえ動きを止めると、両手にエネルギーを収束していたディオスと右手にオーラを集めたリリナがローブ男の顔面を狙う。そしてガインは深緑に輝く剣というよりは刀に近いフォルムの大剣を構え薄くではあるが、全身に緑色のオーラを纏っていた。ディータ博士も白衣のポケットから湾曲した割とぶ厚めの金属の板のようなものを取り出すと、それを首に装着し少し操作すると全身が赤っぽい鱗に覆われ、目が爬虫類のそれに近しいものに変化する。ディータ博士だとわかるほどには、面影は残っているがどう見たって 蜥 蜴 男 だった。
「ベルちゃんの細胞を少し採取してたからね、実験は成功だったみたいだね」
ベルちゃんね。ローブ男に攻撃していたベルだったが、ディータ博士の声は聞こえていたようで、少し殺気混じりの視線をディータ博士に送っていた。
ディオスとリリナが近接技でローブ男に攻撃している間で器用にタイミングを見計らって遠距離攻撃をしていたベルはあることに気づく。
二人と自分の攻撃のほとんどが躱されており、当たったとしてもローブの効力なのか、はたまた男が持つスキルによるものか、または…信じたくはないことだが男の防御力による無効化のどれかによってダメージといったダメージは与えられていなかった。
「出来損ないの悪魔と亜神にしては、いい動きをするようだが、竜であるディベルバン貴様はなんだ、その程度であったのか!?」
「言ってくれるじゃないですか!!!!」
一気に拳をオーラで赤く染め上げディオスとリリナの攻撃に合わせて殴りつける。がローブ男の両手でベルとリリナの攻撃は受け止められ、ディオスに至っては攻撃が当たる前に繰り出されたルウンですらギリギリで反応できるような速度の蹴りによって吹き飛ばされていた。
「な!!」
声をあげたのはベルだけではなく、ローブ男も同じように驚いた声をあげてた。その原因としては、はるか上空からのアリスの剣撃によるものだった。
ただ単純に全体重を乗せた一撃!しかしその剣にはガインはもちろん、ベルのものと比較しても明らかに濃密な緑色のオーラが纏われておりローブ男はとっさに両手を離し交差させ防御体勢をとった
「くらえぇええええええええぇぇぇぇえええ!!!!」
アリスの叫びとともにローブ男の腕に激突し、轟音が響く。その中に金属音が混じっていた。四方八方に緑の閃光が伸びる。それに一瞬眩みかけるが、視線を逸らした瞬間に頭と体が生き別れということもある、戦いの最中で全員が閃光の中心を睨みつけていた。
「はぁーっ!はぁーっ!」
アリスが刀身が砕けた剣を握りしめながら、肩で息をしていた。その体には先ほどまであった緑のオーラはなく、普段のアリスの姿があった。そしてその視線の先には、無傷とはいかないみたいだが、それでも然程ダメージは受けていないようだったが、ローブの方は使い物にならないくらいボロボロになっていた、そのローブを右手で掴み無造作に脱ぎ捨てる。
「おいおい、冗談だろ?人間だよな?この俺様が傷つけられるとは…」
ローブが無くなって素顔が晒された男の顔は少し面長で鼻は高く、開いた口からは鋭い犬歯が伸びていた。そしてその左目の下には渦巻き状の文様があった
「そ、その文様は…まさか、破壊の竜!!!?でも奴は魔界から出てこれないはずなのに…」
「やはり、これをみればわかるか、ディベルバンよ!俺様は魔王様の慈悲によって自由を手にしたのだ!!あのような狭き土地の全てを喰らい巨大な力を得た。それでなおあのお方の足元にも及ばぬ俺様の力だが、人間界を葬るには十分であろう!!」
「魔界を滅ぼしたの!?でもそれなら…この強さに説明が着く…」
グガルディンの放つ青いオーラは通常時ですら相当濃厚で、ただ立っているだけでは、吹き飛ばされそうになるほどの圧力を感じる。
「まさか、貴様の方からやってきてくれるとは嬉しい限りだが、随分と拍子抜けだな。ここまで力を持たずとも容易く撚れたようだな。そしてどうやらこの小娘がお前らの切り札のようだったが、これでそれも潰えるわけだな」
左手に青いオーラを集め、うごめくような紫色に変化すると、先細りになった杭状のエネルギーの塊に収束されていき、それは素早く疲れ切ったアリスの首を襲った。
キィイン!!!
「突然女性を殺そうとするとは、どこの通り魔だよ!!」
「貴様!!!何者だ!!」
ルウンがグガルディンの紫杭を左手に装着している黒装魔壊とオーラの収束によって防いで見せる。そしてグガルディンの質問に答えることなく、右拳に力を収束し腹部めがけて殴りかかる、殴るのとほぼ同時に左手を引いたことで、バランスをくずしたグガルディンにそれを交わす余裕などなく、人体で言えば急所の鳩尾に拳が当たり、衝撃が背中にまで届いた。
「がはっ!!」
一瞬遅れてグガルディンのうめき声が聞こえ、その声をその場に残しながら吹き飛んで地面にぶつかると、そのままモグラのように地面の中へと進んでいった
「お!意外と飛んだな」
のんきなトーンでルウンがつぶやいていると、ベルとガインは唖然とした表情をして、なにこいつ、みたいな顔をしていた。
「ひどいな、人を化け物を見るような目で見るなよ」
「いや、わるいと思うが、まだ化け物ののほうが可愛らしい気がする」
「ルウンには申し訳ないですが同意いたします」
「あら、ルウン様にしてはだいぶ手加減されていたと思いますよ?7割ぐらいの力しか出していませんでしょう?ですよねルウン様」
「まさか、そんな…」
リリナの発言に対して、さすがにそれは言い過ぎであろうと思ったガインが、言葉を漏らす
「そうだぞ、リリナそれは言い過ぎだ」
「そうですよね!」
「まだ3割も出してないぞ」
一瞬明るい表情になったベルが一気に青くなる。それは、リリナ以外の全員に感染し、まじお前なんなの!?みたいな顔をしていた。リリナだけはキラキラとしつつうっとりした表情でルウンを見つめていた。
「流石ルウンだな、思ったより奴の攻撃が強くて、油断してしまった」
だいぶ吹き飛ばされいたようで、戻ってきたディオスが現場をみてルウンに賛辞を送る。あれだけの蹴りを直撃していたというのに、ディオスの体にはすでに傷など一つもなく、回復したのかそれとも本当に無傷だったのかわからないが、随分タフだなとルウンは考えていた。
いつ、グガルディンが戻ってくるか様子を見ていたが、一向に姿を見せることなく、死体もなかったことから逃げ出したことが分かったのは、それから20分ほど経ってからだった。
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「まさか、あんな奴がいたなんて…」
「あれは、すでに人間から逸脱した存在です…しかし安心してください。私の力を君に貸せば楽勝でしょう。ですが僅かばかり思考に制限をかけますよ?」
「かまわない。俺様に二度目の負けは存在しない」




