〜腕相撲をするモノ〜
ベルは、突然地面に向けていた手のひらにエネルギーを集中させると、ちょうどその真下が隆起し始め、ルウンの腰ぐらいの高さまであがると隆起が止まり、てっぺん部分が平べっくなってテーブルのような形になった。
「この場は穏便に、腕相撲で決着をつけましょう!」
ベルがテーブルに肘をつけて、ルウンを誘う。
「それこそエネルギーの無駄じゃないのか?こんなテーブルまで準備してさ」
「いやいや、僕はこれでも創造の名を持つ竜です、これくらいの変化に使うエネルギーなんて微々たるものです。それにこの腕相撲にだって意味はあるんです。あなたの持つ膨大なエネルギーを少しは頂けますからね」
「それで俺が了承するとでも思ってるのか?」
ルウンが戦いに参加しない素振りを見せると、肘をつけたままベルは自分の手越しにルウンを睨んで
「たしかにあなたと戦うのには、得られるであろうエネルギーを計算しても収支がわずかにプラスに傾くくらいですが、これを受けてくれないのであれば、そうせざるを得ませんが、それはあなたも望むところではないのでしょう?」
視線をずらし、アリスを見ていることを、ルウンへと伝える。ルウンの思惑的には、このまま何もせずにベルにはいなくなってほしいと考えており、戦い倒せるかどうかは不明なうえ、戦えば、その余波でどちらにせよこの森がなくなってしまうのではないかと考えていた。実際、この彫りがどうなろうがルウには知ったことではないが、今現在この森ににいるのはルウンだけではないことが、決断を鈍らせる最大の要因となっていた。
「たしかに…そうだな。それで俺が勝てばお前は、何もしないでいてくれるのか?」
「そうですね、しっかり決めておかないと、後々面倒ですからね。いいでしょう、もしあなたが勝てば僕はこの森から手を引きましょう。そしてあなたとは敵対しないと誓います、ただしこれには、あなたも僕に敵対しないことが前提条件とします。それで僕が勝った時の条件ですが、そうですね、あなたが持つエネルギーの半分をください。」
「負ける気はさらさらないが、一応聞く、もし俺のエネルギーを半分お前に渡した場合、俺はどうなるんだ?」
「どうも、ただ1週間くらいステータスが下がるだけですかね?」
それほどメリットはないが、デメリットも大きいわけではない…か
「仕方ない、その勝負うけよう!」
ルウンはテーブルの前に着き、少し威嚇するつもりで、ドンっと肘をテーブルに当てて見せる。正直壊すつもりで叩いたのだが、土でできたテーブルはまるで鋼鉄…いや鋼鉄くらいなら簡単に砕けるはずだ…
「安心していいですよ、この土のテーブルは、僕が作ったのだから、ちょっとやそっとじゃ壊れないよ。だから全力で来てください」
「いいだろう!」
ルウンとベルが手を掴み合い、じりじりとにらみ合う…二人をまとっていたエネルギーが嵐の前の静けさのごとく穏やかに収まっていく…………
「「あ」」
ルウンもベルもあることに気づき、同時にちょっと間の抜けた声を上げ、ルウンだけがその二人の問題を解消する手を持っていたために声を上げる。
「ディータ!ここにきて開始の合図だけやってくれないか?」
大きな声を上げて、遠くの方で観戦していたディータ博士を呼びつける。ちょっとビビりながらではあったが、近づいてきたディータ博士は、状況を察したのか、目的の行動をする前にせっせと、テーブルの横にカメラを設置した。
「最後にはビデオ判定何てこともありえるかもだしね」
絶対お前。あとで研究するためだろう。とルウンは思ったが、もしかしたらそれでベルの弱点とかが判明するかもと、考えついたためディータ博士を止めようとはしなかった。そして設置が完了し、向かい合う両者が再び気を高め、集中力を最大限まで上げたタイミングで、互いの手を握り合った
「それでは、両者準備はいいですか、Rady FIGHT!!」
あえて英語で言って見せたのは雰囲気のためなのか、それともこの世界に英語という言語がないために生まれる、ベルの混乱を狙ってなのかわからないが。たしかにベルの反応が一瞬遅れた。瞬間的に全力を加えたルウンの方へと傾いていき半分まで行ったところで、ピタリと止まった
「ぐぐぐぐぐっ!」
ルウンが歯を食いしばって呻き声を上げるが、どんなに力を加えても、動こうとしないどころか、わずかずつ、中心に引き戻されていく
「さ、さすがですね…それにあれがスタートの合図だとは思いま…せんでしたっよ!!」
今度はベルの方に傾き始まる
「うっおおおおぉおおおおおお!!」
叫んでみるものののルウンの出力が変わることはなく、ただただ少しずつ敗北へと向かっていた。
つむっていた目を開く…ベルのほうもかなり限界まで力を入れてるのか、美人な顔にたくさんのシワがよっていた
「ぶはっ」
少しだけ笑ってしまったせいでわずかに力が抜けてしまうが、すぐに立て直す、しかし押し返せるわけではなくテーブルにルウンの手がつくまであと5センチもないところだった。しかし、一度笑ったことで生まれた心の余裕はルウンの視野を広げた。このギリギリの場面で戦いに集中できないのは致命的とも思えたが、今回はそれが寧ろ活路を見出した。
ベルの体には本来まとっているエネルギーがなく、今ルウンの手を握っている右手に薄く、だがはっきりと赤いエネルギーがまとわれていた。それに気づいたルウンは見よう見まねだが、同じように右手にエネルギーを集めるイメージをしてみると、ほんのわずかであったが灰色のエネルギー…というよりルウンの感覚ではオーラのようなものが右手い纏うと、明らかに力強さが増し、押され気味だったルウンが中心部分にまで押し返す
「な…長年かけて極める技を見ただけで…それにその薄さで…」
ルウンは腕相撲への集中力を、オーラを纏わせることに注ぐ。どんどんとルウンが纏わせるオーラの色が灰色から黒へと変わっていき。完全に黒へと変わった時にはベルの手はほとんどテーブルに触れるかどうかというところだった。
「く…負けたくない!!人間に…いいえあなたに負けたくない!!」
ベルの手もオーラで真っ赤に染まる。
「俺だって負けるわけにはいかないんだ!!何かを失うわけじゃない!でも負けてしまえばアリスに見限られてしまうかもしれない、いいやそんなことはしないってわかってる!だからこれは俺の問題なんだ!俺自身が負けたことでアリスを守りきるっていう自信が持てなくなってしまうんだ!」
「その程度のことと世界を天秤にかけるつもりか!」
「俺にとってはそれが全てなんだ!もしその魔王が俺らに…アリスに危害を加えるようなら、俺が魔王をぶっ飛ばしてやる!」
「何をたわけたことを!人間ごときが敵うわけがないだろ!!」
「俺にすら勝てないお前が言うんじゃねぇええええ!!!」
ダァアアアアアアンという弾ける音とともに、あんなに硬かったテーブルが粉々に砕け散り、残ったのは息を荒くしたルウンと、驚きのあまり固まっているベルの姿と、近場で巨大なエネルギーを浴びて気絶したディータ博士だった。
更新が始まってはや1ヶ月!ここまでほぼ毎日…一日休んでしまいましたが、精勤賞といったところですかね…ですか、この短い期間で2000PV突破です!他の方々からしてみればしょぼいでしょうが!自分にとってはめちゃくちゃ嬉しいです!この調子でどんどんアップしていくのでよろしければこの後もおつきあいください!
最近1日のPV数が100を超えててテンションアップアップな月山です!




