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自殺転生〜死そして生へ〜  作者: 月山
訓練そして始まりへ
34/69

〜竜の名を語るモノ〜

それからのことは早かった、テクレシア王女はその場であっという間にルウンをキングダム王国の王子にしてしまい、たった1時間で様々な手続きを済ましてしまった。

「あなたは、これでキングダム王国の王子となったわけですが、別にこのプリンスを追い出すためにしたことです。あなたが望めばキングダム王国内にあなたの領地をつくってあげることも可能ですが…」

と周囲を見回し、テクレシア王女はアリスと目が合うとわずかに微笑み頷いて

「それは不要ですね。ですが、一応あなたはキングダム王国に属していることになりますので、もしもの時は招集がかかりますので宜しくお願いします」

そう言葉を残して、兵士を率いて去ってしまった。

「その…改めてごめん」

ルウンは、静まり返ったこの場でアリスに向かって頭を下げて謝罪した。

「どうしてルウンが謝るの?私の思った通りルウンが助けてくれたじゃない!」

「でも、俺は逃げることを選択したんだ、君を見捨てて。ただ、自分が迫害されるかもしれない可能性を考えて自分を守ったんだ」

「それでも…だよ。ルウン。それでも私はあなたに救われたの…ありがとうルウン」

されるはずのない感謝、ルウンは感じたことのない気持ちに襲われた、心が罪の意識で空いていくそれと同時に満たされていく感覚。そしてルウンが何か言葉を話す前にその口はアリスの口によってふさがれてしまう。

一瞬ガインの猛烈な殺気とディータ博士のニヤニヤとして気持ち悪い笑を感じたが、それもアリスの唇の柔らかさに意識を持って行かれてしまい、頭がそれ以上考えることを放棄した。

「私には、ルウンが必要です!それはあなたの力が必要なんじゃない、ハーチラス王国のためなんかじゃない、私自身がルウン=ローレンを必要としているのです!」


一気に満たされいく心、転生前も転生後も感じたことのない自分の居場所が確かにある実感、その居場所も誰かに用意されたものではなく、自分が(おこな)ったことにより生まれた居場所。


「俺も…アリスが必要だ。あれから何度も考えた、俺は何もできないただの人間だ、確かに力はあるかもしれない、けれど俺自身が強くない、覚悟ない。でもアリス…君がいてくれれば俺は強くなれる気がするんだ。だから俺と一緒にいてくれないか?」


ルウンにとって精一杯の告白だった。当然ルウンの中で初めての告白、嘘偽りがない正直な気持ちを述べた言葉はアリスに伝わり。二人は周りの目を気にせず少しの間抱き締めあった。


ゴオオオォォォオオオォオオォオオオォオォオオォォオオン


鼓膜が破けてしまうのではないかというほどの爆音、ルウンですら感じた命の危機。とっさに直感だけで拳をふるって見せたルウンの選択は正しく、知覚速度ギリギリの速度で莫大なエネルギーを持った衝撃波が周囲の木々をなぎ倒しながらルウンたちに迫っており、それはルウンの拳と衝突して弾けた。その余波で守っていたアリス以外の二人、ガインとディータ博士は吹き飛び遥か後方の木にぶつかった。


「く…なんだ…これ」


そう言いながらルウンは非常に焦っていた、確かに不意打ちであり全力ではなかったにせよ、スキルを全開放した一撃をもってしても返せなかったどころか、余波であのガインとディータ博士が吹き飛んだのだ。


そして目の前に現れた存在にルウンは息を呑む。権力者を前にしても特に気構えることのないルウンだが、この時ばかりは緊張が走った。冗談ではなく本気で命の危機を感じた。生まれたての時に感じたトラクアの脅威などとは比べ物にならないほどの恐怖。

逃げ出したくなる…正直今すぐ逃げ出せば、目の前の存在であっても追いつかれることはないだろうが、それは間違いなく他の三人の死を意味する。


「まさか…僕の一撃に対抗できる存在が人間にいたなんて…でも少し神の力を感じますし…不思議な人間だな」


体の一部が爬虫類のような鱗に覆われている。両手両足の爪なんかも分厚く若干赤みがかって瞳は、すべてを見通すような、あの神と名乗ったキイラスと同じような金色の目をしていた。格好は黒い道義のようなものを羽織っただけ。一人称が僕にもかかわらず、見た目は薄いタイプの女性でよく言えばスレンダーというものでかがめば、大きく開いている胸元から色々と見えてしまいそうであった、髪の毛は燃えるような赤色でショートヘアーよりは若干長い程度に揃えられていた。


「な、なにものだ…」


かろうじて声を出せたルウンは目の前の脅威に声をかける。あのいつでも平気そうだったアリスですら、ルウンの陰で震えいていた。その様子をみてルウンは早くも戦いの意思を固めるが、相手にはまだその気はないようで、ただつまらなそうにルウンに視線を合わせた。


「人間の礼儀としては、名を尋ねるならばまずは自分からではないのでしょうか?……まぁいいでしょう、どうせ名前を聞いても忘れてしまうだけですし。僕の名は”創造の竜”(ディベルバン)呼びたければベルとでも呼んでください。すこし人間にしては強い力を持っていると思いましたが、所詮は人間といったところですか、だが価値はありますね。この地を狙っていましたがそれにプラスで大きなエネルギーを得られそうです」


ベルが一歩ずつゆっくりとルウンへと近づいていく、圧倒的強者の前に立たされている現状、逃げることすら許されないこの場面、構えて握っていた手が汗ばむ。圧倒的威圧、ルウンのレベル自体もトラクアを倒した時から3しか上がっておらず、現在15。ゲームなんかに照らし合わせてみれば序盤もいいところだが、ステータスだけ見れば、修行の成果とスキルの影響で防御力もそこそこに上がっており、魔法は当然『脳筋』の称号により0のまま。だが、筋力は上限いっぱいなのだ、それでも先ほどの攻撃を返すことは(おろ)か打ち消すことができなかったのだ。そのことがルウンに勝てないと印象を与えていた。


「な、なにが目的なんだよ!お前竜なんだろ?」

「人間にお前呼ばわりされるのは大変(しゃく)ですが、仕方ありません、なにも知らずに死んでしまっては可哀想…というものでしょうから。つい30時間ほど前、この世界に魔王が生まれました。それも過去最強の力の持った。ゆえに我々世界を統治する3体の竜は、魔王に対抗するべく力を得るために、各地にある星の核や生物のエネルギーを得ているのです。これ以上は言わなくてもわかるでしょう」

「魔王ってのは本来勇者が討伐するもんじゃないのかよ、それじゃあ何のために勇者なんているんだよ」

「質問に答える気はないのですが…今回の魔王は人間の手に負えるものじゃない、魔王を倒すためならば、多少の犠牲も(いと)わないと言えばわかりますか…それではそろそろ、いただくとしましょう」

ベルが軽く腰を落として、ルウンへと手のひらを向ける、力を溜めている…と表現するのは間違っていると思うほど、エネルギーの収束は一瞬で終わり、

火竜咆核撃(ベルフレクション)

叫びとともに亜光速でルウンへ向かっていく、ルウンは今度は全力でそれに対抗する。直撃と同時にエネルギー量をさらに増やし、力をもってルウンを消し去ろうとしたが、今回はルウンに軍配が上がり、エネルギーを消し去って見せた。

「うわっ…本気でやって相殺か…まじでバケモンだな」

ルウンは驚きに声を上げたが、この一撃のおかげで、緊張が幾分か消え、普段通りのルウンへと戻る。ガインとディータ博士はすでに復活していたが、手を出せる状況ではないのは見ての通りで何か手はないのかと考えてはいるが、結局のところ傍観しているのと変わりはなかった。

「まさか…正直驚きました…それにあなたのエネルギー量…ふふふふふ…この森を食べるよりもずっと強くなれそうです!」

今度は全身にエネルギーを収束させる、いわゆる身体能力向上か、ルウンがその結論に至るよりも早く、ルウンの顔面に拳を打ち込み、吹き飛んだ体が何かにぶつかる前に蹴り、ルウンの体はゴム紐をつけたボールのように四方八方に弾かれていった。

激しい火花を上げるが、先に根を上げたのは

「なんです…この痛みは」

ベルの方だった。素手、素足でもって攻撃していたために、それを全てグローブで防御していたルウンは、自分の攻撃力による衝撃でベル自身がダメージを負っていた。本来であれば、防御魔法を一部展開することで、自分の攻撃によるダメージを受けないようにしているが、ルウンの装備しているブラックグローブは、魔法を全て構築から破壊する。それは防御魔法も例外ではないため、ベルは自身の攻撃でダメージを負っていた。

「余裕ぶっこいてると、足元すくわれるぜ」

唐突な一撃!ルウンの性格からしてみれば、女性の顔など殴れないはずだが、今はアリスが後ろにいる、どんな手を使っても、アリスを助けなければならないのだから。


一点に集中させたルウンの一撃は、いくら竜とは言っても耐えられるものではなく、たやすく木を6本ほど根元からへし折ったうで止まった。ベルはすぐに立ち上がると、血は出ていないのだが、雰囲気のためか口元を拭って見せた。

「なるほど…たしかにこれは不味いですね。無駄にエネルギーを消費されてしまえば元も子もないのでしょうから。」

「なら、立ち去ってくれるか?」

ベルの反応は、とても静かで分析をしているようだったが、その目に退避の文字はなく、なにかしでかしそうではあった。

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