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自殺転生〜死そして生へ〜  作者: 月山
訓練そして始まりへ
31/69

〜王国王国となるモノ〜

ルウンとアリスは、デイダ国王が示した、ルウンの領土となるハーチラス王国北部にある、通称憩いの場と呼ばれるアリス公園(名前の由来はアリスが幼少の頃遊びまわり周囲の国民から天使=アリスが舞い降りる公園とされたためだが、アリスはただ単に自分の名前が使われただけだと思っている)の近くにある場所だったのだが…そこにはなぜか既に2階建ての豪邸と、これまた広い平屋が1つ建てられていた。もちろんと言っていいのかハーチラス王国に似合うように作られているのか、庭と言える部分には花々が咲き誇っており、小規模ながらも城壁内の庭園のようであった。


「なぁアリス…国王陛下は確かに空き地だって言ってたよな?それにどう見たってあの平屋には”道場”って書かれてる気がするんだが…」

「勘違いではありませんね、それにあの文字が書かれてる看板、あれはお父様が営んでた道場にあった看板と同じですね」


そうルウンとアリスの想像を確信に変えるように、道場の方からガインがねじり鉢巻をした状態で汗をかきながら、爽やかな笑顔で出迎えてきた。


「おお!ルウン君、やっときたか。」

「が、ガインさん!!?どうしてここに…」

「ん?俺か、俺はなルウン君に爵位と土地が与えらえるっつうんで、その祝いにってことで家を建ててやろうかと思ってな」

ニカっと笑うガインは、どこか幼げでとてもではないが国内最強の戦士には到底見えなのだが、実際戦闘中の集中力は凄まじく、文字通り一騎当千を体現できる実力を備えている。

「お父様?確かにこちらの家はわかりますがm、その道場と書かれているのは間違いなくお父様のための建物ですよね?」

とアリスがちょっち低いトーンで問い詰めると、一瞬ガインの顔が引き()ったように見えたが、すぐにキリッとした表情に直して

「そろそろな、訓練所を私用で使い続けていることに後ろめたさを感じていたんでな、ちょうどいいと思って場所を借りたのだ」

そんなの勝手に別なところに作っとけよと思わなくもないが、正直土地だけもらっても家やその他水回りの配慮やらをどうすればいいのか考えもつかないルウンにとっては今回のガインの好意に甘えようかと思っていた。しかし

「ガインさん、ありがとうございます。当然あの道場の所有権などは全部ガインさんへお譲りします、しかしあんなに広くて立派なおうち、俺一人じゃもったいないですね。」

と笑いを込めながら喋ると、突然素の表情に戻ったガインは、とても驚いた声で

「何を言ってるんだ?二人で暮らすんだろう?」

「「え?」」

ガインの爆弾発言にルウンとアリスは同時に答えを返す。

「いやいや、まさかそんな、だってアリスは俺のことなんて何とも思っちゃいないだろ?」

慌てながら、アリスにも何か弁解の言葉を言ってもらおうとちらりと目を配ると

「う、ううん私、ルウンとなら…いや、ルウンと一緒にいたい」

(ちょっと待て、冷静になろう、確かに俺はアリスに少なからず異性として好意を抱いている、これに間違いはない。だがアリスはどうだ?これまでそんな素振りはあったか?いや、ない。ならそういった要因はあったか?まずライビットから助け、デスラインとの時もデスラの時も結局はアリスの命を救ったことになるのか?うーん…アニメや漫画のヒーローのような存在だな…やべぇ…いつの間にかアリスの好感度を上げていたのか俺は…)

(うるせぇな、さっさと食っちまえって言ってただろう?あの女はいい女だぜ?何せ俺の本体である悪魔でさえも一目で欲したくなるほどの美貌の持ち主だ、ただもんじゃねぇ。そんな女をいただけるチャンスなんてそうそうないぞ?確か人間界では据え膳食わぬは男の恥っつー言葉があんだろ?食っちまえよ)

「食わねーよ!」

デスラインとの心話に興奮してしまった、ルウンは心話ではなく実際の声を上げてしまう。そしてその”食べる”という言葉のニュアンスを一瞬で理解したアリスは、ボンっという効果音を上げてしまいそうになる程顔を真っ赤に染め上げる。

「た、たたた、たたしかに、私もそういった行為ができる(よわい)ではありますが…少しばかりお時間をいただきたいのですが」

「ちょ!アリスさん?待ってください、俺にはそんなつも「男がそんなこと言ってはいけないぞ、それに転生者なんだろ?夢にまで見た美少女じゃないか、我が娘のことよろしく頼んだぞ?」が、ガインさんまで、そんなんでいいんですか!?実の娘なんでしょ?」

突然ガインとアリスの表情が暗くなる。それにルウンが気づき全員が黙り込んでしまう。そして少しの間を空けてガインが口を開く。


「実はな、アリスを嫁として迎えるという話が来ているんだ」


「え?」

ルウンは一瞬ガインの言葉を理解することができなかった。アリスを嫁に?つまり結婚ということだ、それではいまさっきの言葉と繋がらない

「ど、どういうことですか、ガインさん!?先ほど一緒に暮らせとか言っていたじゃないですか。もしアリスに婚約などの話が来ているんならそんなこと…」

「俺もアリスも望んでいなんだよ、そいつとの結婚はな…」

「…ハーチラス王国は相当な力を持つ国なんだろ?そこの次期国王の娘を嫁にとろうっていうのを拒めないってことは、ハーチラス王国よりもずっと強い力を持つ国ってことか…?」

ルウンの疑問にはアリスがすこし怯えたような不安そうな表情で答えた

「はい、ルウンの言った通り我がハーチラス王国の隣国に…とは言っても30キロ以上離れている、キングダム王国の次期国王…現在の王子からの申し出なのです」

「キングダム…王国!?」

「ルウン君、言いたいことはわかるが、この世界では割とよくあることなのだ。それよりもその国の王子に問題があるのだ。」

「問題?まさか………プリンス王子とか言わないよな?」

「キングダム王国プリンス王子をご存知なんですか!?」

ルウンとまさかという感情を込めた発言はアリスによって即肯定される。その結果に笑い転げたくなるルウンではあったが、わずかに漏れ出ているガインの苛立ちを感じて表情を真剣なものでキープしてみせる

「それも問題といえば問題だが、まぁそれは王子が国王になればなんら問題あるまい。だがそれよりも、奴の性格に問題があるのだ」

その先は、ルウンにもなんとなく予想がついていた、問題がある大国の王子とえば、フィクション界では有名で傍若無人(ぼうじゃくぶじん)で乱暴、気にくわないものはすぐ処刑、金遣いは荒く、女好き、それでいて多少頭の中身は残念だが、その不足分を補う戦闘能力の持ち主、その実力がガインと同レベルらしいが…

「だが、俺が戦ってもおそらく負けるだろうな。奴には金剛ダイヤという翠硬砕石(ハーチエルド)の数倍以上の硬度を誇る鉱石が存在してな、つまるところ武器のスペックで劣るのだ」


そういってニコリと笑みを見せたガインは、突然ルウンの腹部を殴った。気をぬいていた上スキルをオフにしていたルウンの意識は簡単い消え去り、その間際に


「既成事実を作ってしまえば、いいのだ」


ととても正気とは思えない言葉を聞いた。

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