〜神の力を持つモノ〜
「お前…いま…アリスを…殺すって言ったのか?」
ルウンの瞳が薄く金色に輝く。強靭な肉体を誇り足首という細い箇所であってもデスラの場合は鋼鉄以上の硬度を持つ。
しかし、それは割り箸のように容易く折れ曲がった。
「ぐぁっっ!!貴様…どこにそんな…ちかっぁぁぁ!!!!???」
デスラが話している間に、下から上に顎を殴り飛ばす。天高く飛ぶデスラの体を先回りしていたルウンが殴り落とす。
「これ以上喋んなよ、楽に死ねなくなるぞ」
デスラを殴りながらルウン自身も地面に落ちる。先ほどデスラが作った陥没とは比較にならない大きさのクレーターが出来た。
「アリスを傷つけようとするなら、俺は絶対に許しはしない」
中学生にありがちな支配欲、独占欲のようなもの…それがルウンの苛立ちの原因だった。しかし、本来なら然程の力を持たない中学生であれば大事になることは少ない思春期特有の事象…しかし、ルウンは強大な力を持っていた、ゆえに実際に己の手でアリスを護ることが出来たのだった。
「その力…貴様…俺の力の他にも持ってやがるな…そうか…敵わねぇわけだ…」
腹部に大きな穴を開けたデスラは、あっけなくその意識を手放した。
デスラが逝く直前。なにか俺の中にある事を確認していた気がするがそれがなんなのか、ルウンにはわからなかった。
「ルウン、ごめんなさい。」
アリスはデスラを見つめていたが、それを通り過ぎて近づいてきているルウンに気づき顔を上げ、バツが悪そうにか細く言った。
「いや、寧ろ逆だ、アリスが来なかったら俺はあの場で死んでた。俺の命を救ったのはお前だよ」
ルウンはボロボロになって、あちこち痛みを訴える体を動かし、アリスの頭をゆっくり撫でた。
その時の表情は少し憂いを帯びており、状況的に上目遣いになってしまう。
ただでさえ、女性耐性など持っていないルウンからすれば、心拍数的にさっきのデスラ戦を超える数値を容易く飛び越える。
しかし、ちょっと雑に撫で回すことで、理性の壁を強固なものにしていた。
「あ…ルウンまた瞳の色が」
アリスがルウンの瞳の色を指摘する
「ん?目の色がどうしたんだ?」
当然前のデスラインの時も今のデスラの時も戦闘中に自分の顔など見なかったルウンは、自身の目の色…性格には瞳の色が変化していることなど知る由もなかった
「うわっ、ホントに金色だ…」
アリスに渡された豪華な手かがみで自らの顔をまちルウンはまじまじと見ながらため息をついた。
黄色とかならまだ、現実的な気もするが、ルウンの瞳は本当に金色に輝いており、正直キモかった。
「しかし…なんなんだろうなこれ…」
(多分だがこいつの影響じゃないのか?)
デスラインが頭に直接語りかけた直後
トラクアと一緒に具現化し空いている右手の平の上に乗っかる。
「この蜘蛛、もう外殻だけで魂って言うもんは0.1%も残っちゃいないが、ただの蜘蛛が吸収されてなお、外殻だけ残すなんてことはないはずだ」
デスラインが視線でトラクアを指しながら言う
「確か…トラクアは亜神とか言ってた気がするな…神蜘蛛って」
「なるほどなるほど」
デスラインがひとりで納得して頷く素振りを見せる。
「なんだよ、なにがなるほどなんだ?教えないと焼くぞ」
ルウンは、手に持ってる鏡で太陽を反射させてデスラインに当てる
「ちょっ、あっつ!!わかったよ!わかったよ!今のお前には亜神とは言え神の力が宿ってんだそれが、お前の体に馴染んできてるんだ、だから人外な能力もスキル以上の力も発揮できるし、俺が乗っ取れなかった理由の一端でもあんだろうよ」
早口に言われるデスラインの言葉はいまいち実感がわかないが理解してもどうしようもないことなので、スルーすることにした。




