〜旧友というモノ〜
ディータ博士が放り投げた布袋の中には金貨が十数枚はいっており、ルウンの感覚的に300万円相当くらいか…と考え、どんだけだよ!という表情でディータ博士を見るとドヤ顔で
「目的であった特殊なスライムの核はそもそもなかったみたいだが、俺が依頼を出していた物に関しては相当量手に入ったからな、それに遠慮はいらない、俺は金持ちだからな」
という発言で、遠慮という考えを根元から消失させたルウンはすぐさま、懐に布袋をしまい込み、ディータに案内されるがままにルウンとアリスとガインは少し小洒落たカフェに入っていった。ちなみにルウンは部屋を出る前に身支度を済ませており、いまは最初の頃のように上下を深紅のジャージを着ていた。
「それじゃあ、さっきの続きを話そうか。」
少し固めのパンに甘いだけのクリームを塗ったものが乗っていた皿を前にして、コーヒーのような苦い液体を優雅な雰囲気を醸し出しながらすする、ディータ博士が口を開いた。
「たしか、こいつらの話だったよな?」
ルウンが未だに消し方がわからず、実体を持っているが、ほとんど力を持たない小さなトラクアとデスラインがルウンの肩に乗っていた。
「そう、彼らは本体の力のほとんどをルウンに取り込まれ、今残っている彼らは魂のかけらとも言える代物だね、まぁルウンが承認しない限り力を持つことはないし、魂レベルでルウンと一体になっているからね、大抵の命令はきくだろうし。結論、ほっといても問題ないとおもう」
「随分と適当な…まぁいい、何かあったらその時に考えればいいんだからな」
ルウンがそう言うと、ディータ博士も同じ考えなのか満足そうに顔に笑みを浮かべながら頷き、謎の液体を自然に飲み干した。
「しかし、ディータよ久しいな、5年ぶり…くらいになるのか?」
ガインも苦い液体をこちらは、すこし嫌々飲んでいるみたいだが、それでも深刻な表情をしてシリアス感を出そうとしているが、どうにもガインの背後の窓際に置いてある、2匹のライビットが交尾しているという、癒しなのかいやらしいのよく分からない人形のせいでどうにもシリアス感は霧散してしまう
「あぁ、そうだなガイン。お前はまだ戦士として戦ってるみたいだな。現役なのもいいが、そろそろ引退の歳だろう?」
「まぁなぁ…だが戦える者が戦線から退くのはな…それを言えば貴様は近衛兵クラス以上に力を持つというのになぜ戦わんのだ…国のため世のためになると思うんだがな」
「その件に関しては10年以上前に決着つけただろう?俺は後の世界のために研究を続ける、お前は武を持って世界を守ると」
わずかに険悪なムードを出しながら、二人はおかわりを注ぎに来たウエイトレスがビビっているのにもかかわらず、静かにうっすらと『威圧』を行っていた。そんな場面でもガインの背後ではライビットの人形がちらついていた。
カフェから出るとディータはスライムの研究をするということで、すぐに別れ、報酬の金貨を渡しに来ただけだったのだとルウンは思った。
「よし!それじゃあルウン君、俺が出した課題はクリアしたようだし、本格的に修行をつけてあげよう」
パァンと拳を手のひらに当てて爽快な音を鳴らしたガインが唐突に言う。ルウンとしては屈辱を与えられて相手ではあるが、その技術は本当にすごいもので、ルウンは一目でその技術が欲しいと思っていたのだから、このガインの提案に断る言葉を出す必要がなかった。
「お父様、これでもルウンはまだ生まれて数日しか経っていないのですよ?いくら知識と力があるとは言っても無理はさせないでくださいね」
アリスがガインにそういう姿は、ルウンの方を見つめ心配そうに見つめていたが、その表情は母性本能から守りたいという意志よりももう少し別のものを感じたガインは、威勢良く鼻を鳴らし
「フン!俺の道場に通う以上一人前としてみてやるのが男ってもんだ、それにな、ルウンはガキじゃねぇよ、男をガキ扱いすんのはそれだけで侮辱と同じってもんだぜ」
チラチラとアリスはルウンの方を見るが、特に集中していないルウンには、なにを話しているのかわからず、こちらを見るアリスに少し微笑みがけるだけにとどまった。
訓練所に着いて1分もしないうちに、ガインの修行が始まった




