〜生贄にされるモノ〜
とりあえず第一部は長くなりましたが。2部以降からは1ページあたり1000〜4000くらいで構成していくつもりです。
よし!とりあえず冷静になろう…
まず慌てる前に現状把握できることを整理することが大切だ。
まず俺は転生した、
そして名前はルウンっていうらしい、
目の前の男女は俺の両親だと考えるのが普通だろう、
そしてこのマント男は支配をする立場の多分えらい人なんだろう、
そして俺はこの後トラクア?ってやつの生贄にされるらしい…
・・・よし慌てる時間だ!
なんでだあああぁぁ!!!おっかしいだろ、世界の発展のために〜とか言われてきてみれば開始早々生贄って!いやいや、そんな神様がそんな凡ミスするわけないよな…
そんな俺の脳裏にはてへぺろをしているキイラスの顔があった…次あったら絶対ぶん殴ってやる。
…?
そういえば、ぶん殴ってやるなんて、今まで思ったこともなかったな…いなくなればいい、死ねばいいとは原稿用紙に書けば富士山の標高をはるかに上回る枚数分思ってきた自覚はあるが…あぁ、きっとさっき言ってた『脳筋』とかいうスキルのせいなんだろうか…ってか、こんなピンチは異世界モノの定番スキル様がなんとかしてくれるんじゃないか!
と俺がスキルについて意識した途端、視界に自分のステータスが表示された。
ルウン=ローレン 人間 身体年齢0歳 精神年齢14歳
筋力 1
防御 1
魔法 0
称号 力を司る者 脳筋
スキル 制限がかけられており現在使用できません
あんの神ふがぁあ!!
スキル使えねぇじゃん!
どうなんってんだよ!
おーい!神様!答えてみろよクソチビが!
《スキルの使用には、体の耐久値という面から、身体年齢が満1歳を超えなければなりません。
また、私への呼びかけはあと2回となっております、有効にお使いくださいクソバカが!》
唐突に脳内に響いた、キイラスの声に説明と罵倒を受け打開策のない絶体絶命だと思い知らされつつ、頭の片隅ではキイラスをボコボコにする算段を立てていた。
そのあと両親とマント男の話によれば、この近くにはトラクアと呼ばれる存在の巣があって、1年に1度、トラクアに数人の子供を生贄に捧げる儀式が行われるようで、今日がちょうどその儀式の日だそうだ。しっかり生贄さえ差し出せば他の人間には危害を加えない、ゆえに苦肉の策ではあるが毎年儀式は必ず行われるのだそうだ。
日が沈みかけ、真っ赤な夕焼けは木々の影を濃くしていき、鬱蒼と生い茂る森の中からぬうっと毛むくじゃらの腕が伸びてきた。
あれは…蜘蛛?
俺の第一印象は正しく、間違っていたことといえば、俺の知識にある蜘蛛よりも数十倍大きいということだった。
「蜘蛛の神、トラクア様 こちらが今回の生贄になる者たちです!」
人の手を一切加えていない森から出てきた、タランチュラに似ている巨大な蜘蛛に向かって、
高級そうな銀色の甲冑を身にまとった赤いマントの男、師団長のアルビオンという男は声を張って敬意を込めた声で叫んだ。
「ん・・・?なんじゃ今年は去年よりも少ないじゃないか」
蜘蛛は品定めをするように4つある目玉で俺の他にもいる1歳にも満たない子供達、合計6人を見比べた。
俺の目と蜘蛛の目が一直線上に並ぶと、俺の心は恐怖で満たされた
なんだこれ・・・なんなんだよこれ!死ぬ・・・まちがいなく死んでしまう、助けて!助けてよ、ぼさっとしてねぇでこの蜘蛛殺してくれ!俺が死んでしまう、こんな蜘蛛に殺されたくない!
たった一瞬目があっただけ、それだけで俺の頭は数年時が経過したのかと思うほどの疲労感に襲われた。そしてその俺を見透かしてか蜘蛛は満足したように目を逸らした。
蜘蛛の視線という名の呪縛から解放され、俺の心を締め付けていた恐怖の鎖が音もなく消え去った。それと同時に俺の中に存在していた生きたいという願望に少しだけ衝撃を覚えた
俺は…生きたかったのか…と
しかし、現実は甘くないと言わんばかりに俺の小さな体は蜘蛛の糸で簀巻きにされた。
「わしはなぁ、1歳みたない人間を強制的に成長させるこの瞬間がたまらなく好きなんじゃよ。」
トラクアと呼ばれる巨大な蜘蛛は人間を捕食し捕食した者のスキルやステータスなど栄養以外の物を吸収するらしい、つまりこの蜘蛛は、わざとスキルが発現していない子供を集めて、なんらかの方法を用いて、強制的に身体年齢を上げて食っているのだろう。
「わしの楽しみに応えられんガキが楽に食われると思うでないぞ」
そう恐怖を交えた笑みを浮かべて、トラクアは口の中から粘土も透明度も高い液体を俺たちに掛けた。




