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自殺転生〜死そして生へ〜  作者: 月山
魔族そして戦いへ
18/69

〜デスラインというモノ〜

「こんなんじゃダメ?どういうことだ?お前が指定してきた素材なんだろう?」


「ん〜まぁそうなんだけどさ、本命はさっき言った特殊なスライムなんだ。任務の方は強い人が来てくれたらいいなぁっていう希望的観測なだけ、正直に言えばスライム程度俺一人で、すぐに相当数狩れるから」


そう言って、ディータ博士は懐から500円玉を2枚重ねたような、白い物体を白衣のポケットから取り出して、それを無造作に口の中に放り込んだ


「俺は、研究の末に自分の体に特殊な薬と一緒に魔物などのDNAを取り込むとその魔物の特徴と、俺の知識が混じったモンスターになることができるのさ。まぁじ自分より体積の多いものは無理だし、なろうとしても自分の体積分にしかなれないんだけどね」



話ながら体の形を変化させていき、全身が毛むくじゃらの鬼のような姿になった


「これは…オーガですか?」


アリスがその姿を見て声に出す、たしかに、ルウンの知識にもこんなオーガはいた気がするが、細部が少し違う。

とルウンが知識の中にオーガの情報がないか探っていると、ディータ博士は突然ルウンに殴りかかった、その拳をルウンは左手を軽く突き出すだけで止めてしまうがその余波で泥に波紋が生まれ、周囲の木々が泥まみれになる。


「たしかに、この力ならスライム程度草むしりする感覚で倒せるな」


「だろ?まぁ今の一撃、普通の人間が食らったら即死しちゃうんだけどね」


などとふざけたことを言っているディータ博士に、今度はルウンが殴りかかるが、その拳が到達する前に泥に埋もれながらの土下座を見せることで、ルウンの怒りを納めていた。そして立ち上がると同時くらいに、ディータ博士の姿は、人間のものへと戻り、神妙な顔になって話を再開した。


「ところで君たちはここでどれだけのスライムを倒したのかい?」

「少なくとも100以上は倒したな」


「そうですね、先ほどお渡ししましたスライムの核の個数も122個でしたから、それ以上は倒していると思われれます。いくつかルウンが壊してしまったのもありましたので」


「普通、こんなにスライムっているものかな?」


「いや、知らねぇ」

「そうですね…スライムの森に来たのが初めてですから…」


その返答に対してディータ博士はつまらなそうに首を振りながら両の掌を上に向け、やれやれといったジェスチャーを見せるが


「これは異常発生といっても間違いじゃない、そしてその原因が、先ほどから俺が言っている特殊なスライムにあるらしいんだ」


そういって、ディータ博士は懐から一枚の紙を取り出し、ルウンたちに見せた。


「これは…っていうかこれ、印字だよな?」


そう、ディータ博士の持ち出した紙は、ルウンには見慣れたゴシック体で文字が書かれ、デジタル処理された画像が印刷された、この世界では異質と言える代物だった。


「この世界で色々代用できるものを探して、30年くらいかけて作ったからね、それほど自由度は高くないけどこれくらいなら簡単だよ。…それより内容に注目してほしい」


そう、ディータ博士に促されて、ルウンはもう一度紙に目を移す。



粘着性軟体生物(スライム)の上位種について。


見た目は、他のスライム同様核を有しており、あとは液体をまとわせている、しかし色は通常薄い青のところ、血をまとっているかの如く真紅に染まっている。また対峙した際には、人型に形成されるが、目や耳があるわけではなく、当然言葉を交わすことがない。

検証結果としては、偶然生まれた特殊な個体(ユニーク)であると言える。


「なるほどな…で?あんたはそのスライムと戦ったのか?」

ルウンの質問に対して、ディータ博士は一つ頷いて、それを肯定した。


「俺の中で最強だと思ってたオーガヴァージョンですら、全く歯が立たなかった、おそらく相手の力量に合わせて姿を変えるようだが、俺の時は数回変化を繰り返し、最終的には体長2メートルはある、大きな人間にするどい蝙蝠(こうもり)のような羽を生やした姿になっていたよ。その姿になった途端動きは速くなるわ、力は増すわで手がつけられなくなったから、ウルフィンヴァージョンになって逃走したのさ、正直最速のそのモードでも追いつかれそうになってヒヤヒヤしたけどね」


どんなスライムだよって思ったのは、ルウンだけではないようで、アリスも信じられないような顔をしていた。


「魔物の突然変異…まさかとは思うが神格化ってわけじゃないんだよな?」


「ほう、神格化という言葉を知っているのか。ということは何か神格化した魔物とあってるんだな?」


「あぁ、トラクアっていう巨大な蜘蛛みたいな化け物と生後1時間くらいで出くわしたよ、まぁあいつの自爆っていうかおかげっていうか、とりあえず葬ったけど」


「え?」


突然ルウンの方向にグリンと勢いよく顔を向けたディータ博士は、顎が外れるのではないかというほど口を大きく開き、とてつもなく間抜けな表情で、間抜けな声を上げた。


「ま、まさかアルビオンっていう師団長が取り仕切る村の近くに巣食ってると言われる、神蜘蛛トラクアのことじゃ…」

「多分それであってる、記憶は定かじゃないが、マントつけて偉そうにしてたやつの名前がそんな感じだったから」


「…神格化した生物生後数時間で…いやたしかに急速に成長させる液体を生成できるとは聞いていたが…それでも相手は神だ、神殺しの武器もなく倒したのか…しかしそれなら、あのスライムも…いや…だが…うーん」


「おやおや、私の部下が次々に殺されるから、何事かと思えば、この間来ていた変身野郎じゃないか」


突然真上から声がして3人は一斉に上を見上げる。するとそこにはたしかに人の形をした、真っ赤ななにかがそこにいた。ただ見つめてるだけでアリスもディータ博士も動けなくなる。唯一『威圧』に対抗できたルウンだけが、それをじっとみつめ


「お前がスライムを増やしてる張本人なのか?言葉はかわせないって聞いたんだけどな」


真っ赤な人型のそれは。腕を組み、凹凸のない半球面のような顔をルウンの方へ向け、口の代わりなのか顔の下半分にぽっかりと穴が開く。空いた穴の上部分からよだれのように赤い液体が垂れていく


「いかにもって言いたいとこだが、根本的には私のせいだが、私の意志ではない。私は悪魔の力を得たただのスライムだ。やっとこの体に適合した故言葉も話せるし、ものを食べることも、音を聞くことも見ることも可能だ、ちなみに言えば私は分類上オスに価するからな、人族のメスを孕ませることも可能だ」


「饒舌なやつだな、しかし言葉がいかにも弱い雑魚のものって感じだ。別にお前を倒してもいいんだろ?」


「そうだな、私はさっきもいったが悪魔の力を得ている。故に人間の敵だと言っても構わない。だが私は弱くはないぞ、まぁそれは貴様も同じだろうがな」


ルウンが、赤人形に向かって拳を構える。それに呼応するように赤人形は自らの体の一部で作り出したハンマーのようなものを片手で持ちそれを肩に乗せる形で構えた。


「すぐに死ぬのだから、この言葉を最後に聞いておくがいい」


ハンマーの先端をルウンに向け、少し間を置いた後


「私の名はデスライン、この世に混沌と、悪魔の繁栄をもたらす存在だ、人族に恨みはないが、私の手で絶滅させてやる」


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