〜スライムの森(_ _)〜
本日は前に休んでしまった分の2話投稿です!最近すこーしずつ閲覧者さんが増えていて、とっても嬉しいです!こんな駄文でよろしければ少し読んでいってください
疑問は答えが出ないまま、記憶のなかからぽっかりとそれだけ消されてしまったのか封じられてしまったのか…でもどうして?
その答えは出て来ない、周りから与えられることもない。おそらく、なんらかの理由であの 神 が何かルウンにしたのは間違いないところなのだが…
「そうだったの…」
「あぁ…俺は死ぬことで逃げられると思っていたんだ。でもこんな世界に捕まっちまってな…」
ルウンは歩きながらもため息まじりに言う。それには憂いも込められているが、先ほどまでの陰りはなく、どこかスッキリとした表情がそこにはあって、アリスとの間に生まれつつあった溝も今では、一歩踏み出せば届く距離にあった
「それで、よかったと私は思います。」
「え?」
「もしルウンが逃げ出していなければ、こうして私の友達になることもありませんでしたし、もしかしたらライビットに殺されていたかもしれません。でももしそうなっていたら、今度は私がルウンのいた世界に転生していたかもしれないね」
アリスが、友達、という言葉に一層力を込めて言い、最後の敬語にならなかった一言は、アリスの本音が漏れ出てしまったのだとルウンは感じた。
「そうだな、そうなってたとしても、俺とアリスは絶対に友達になれてた!それは自信を持っていえるな」
「私、まだ出会って1日も経っていないのにもうルウンのことが好き!」
「俺もアリスのことがす、好きだ」
お互い相思相愛のように思えるセリフだが、内容だけ見てとれば天と地ほどの差があり、異性として意識することがまずもって経験として存在しないアリスの言葉にルウンを男性として好き、という思いは微塵も含まれておらず、対するルウンは、当然思春期を経験し、その真っ只中であったため、どうしたって目の前にいる超絶美少女を異性として意識した上での発言であった。
実際ルウンは、自分とアリスの感情の差に気づいてはいた、しかしそのことについて感情を出す子音はなく、当然のことと流していた。しかし、ルウンのなかには別の思いがあった。転生前の中学生の頃の自分と今の自分、性格におおきく差があるということ、前の自分なら、好きなんて直球な感情を表す言葉なんて使えなかった、この異世界の空気がそうさせたのか、それともあまりにも突飛な世界に放り込まれたショックでルウンの心に変化が生じたのか、これも考えて答えが出るような問いではなかった。
「あ!ルウン、ここがスライムの森の入り口だよ」
アリスは、木々がポツポツとまばらにあって、森というよりは、丁寧に間伐された人工的な雰囲気がある林のようだった、しかし見る限りでは、地面部分は土というより泥と表現した方が正しい状態であった。
「アリス、ここに入るのか?」
どう考えても足が汚れてしまうのは明確だった。しかしそんなことを意に返さない様子でアリスは進んで行く、泥に足を踏み入れその加圧によって泥が弾く。その泥はアリスに付着し、そのまま地面に帰っていく。
「こう見えても私は、サポート系の魔法は全て扱えるんですよ。その中には『清潔者』という妖精を体に宿す魔法があるんです、私はそれを常時発動させるから決して汚れることがありません!」
とドヤ顔で魔法について説明するが、ルウンにはその凄さが伝わらなかった。ちなみにさらっとアリスは常時魔法を行使していると言ったが、これを他の魔法使いが聞いていれば顔をしかめその言葉の真偽を問うたかもしれない。なぜならば、魔法の連続稼働は、どんなに小さく魔力の消費が少ない魔法であっても最大5分も使っていれば、貧血のような症状に見舞われ、あまりにも使いすぎれば最悪死に至ることがあるのだ。
原因を挙げるならば、魔法使用中は魔力が回復しないから。ただそれだけである。しかし、その中でアリスは自覚していないが、『魔力自動回復』という稀有なスキルを所持しており、その効果は、魔法使用中にまで発揮されるのだ。
つまり、1つの魔法使用時にもう一つの魔法を使うことが可能なのだが、それを行うには、アリスの魔力は少なく、知識としても未熟すぎて現在のままでは宝のもちぐされもいいところなのだ。
「ルウンにも付けてあげましょうか?『清潔者』」
「あぁ、頼む」
依頼すると、すぐにアリスはルウンの右手の甲に細くしなやかな指で、魔法陣を書くと、インクも何も使っていないのに白ぽく発光し、わずかに強く光を放ったかと思えば、白い球体が現れ…飛び散った
「え?ええ!?どういうこと」
アリスが驚きの声を上げる、何が起きているのかわからないルウンは、当然アリスに聞くしかない
「もしかして…ルウンって魔力持ってないの?」
「…たしか、そうだったな」
そうだ、ルウンは称号『脳筋』のせいで魔法関係のスキルを獲得できないばかりか、魔力すらも所持できないのであった。本来相手に補助系魔法をかけるときは、発動時のみ使用者の魔力を使い、維持するのには対象者の魔力をわずかに使用するのだ。ゆえにルウンのように一文無しでは、初任給すら払えず、妖精さんは早々に見切りを付けて去ってしまったわけだ。
「大丈夫、俺には『蜘蛛糸』がある」
ルウンは、森に入る前に1時間ほど費やして、服装を一新しウインドブレイカーのような撥水能力が高い服を着用し、靴も長靴へと変わっていた。
そんな様子を、ルウンの『五感強化』の範囲外から見ている影があった、その影は人型ではなく、なんらかの流動体であった。
週末の休日を利用して、各話少しずつ修正していきます。変な要素を増やしたりするつもりはなく、ただ少し読みやすいように改変していくだけですので、読まなくても問題はありませんが、いままで意味不明だったものが、治ってたりするかもなので、よかったら読み返してみてください。