89話
対魔王勇団=×
対魔勇団 =〇でした。
御指摘ありがとうございます。
ジャックが目を覚ましたのはベッドの上だった。
「・・・最近保健室に行くことが多いような」
「ここは保健室じゃないですよ?」
「病院なのじゃ。ほれ、果物むけたのじゃマスター」
起き上がると、シロとクロが椅子に座っていて、クロが何やら果物を裁いてくれたようである。
自分の状態を見ると、あちこちに包帯がまかれていた。
食べながら話を聞くと、どうやら学園祭から3日経っていて、全員何とか無事のようである。
操られていた反動のせいか、少々筋肉痛に悩まされているようだが。
というか、どうやらジャックが一番の重症だったので、倒れたあとシロとクロが人の姿になって、気絶していたシラタマをはたきまくって起こして回復魔法をかけさせたらしい。
緊急処置的なものだったけど、そのおかげで一命はとりとめたようである。
「シラタマの身体が3倍ほど膨れましたけどね・・」
「叩きすぎて腫れたのじゃ・・・」
シラタマをはたきすぎて風船のようになっていたらしい。ちょっとみたかったかも。
その後、騒ぎを聞きつけて飛んできた学園長が収拾にあたったそうである。
「マスターを狙っていたペドラは体が真っ二つにされていましたが・・・・」
「最後まで意識が残っていたようじゃ」
ゴキブ、もとい黒光りのアブラムシ並みの生命力だったそうだ。
ただ、学園長にすべての情報を吐かされた後にあの世へ旅立ったらしい。
「それによるとですね・・・」
ジャックの暗殺を依頼してきたのは「対魔勇団」という組織。
この組織は勇者とか魔王とかの痕跡を無かったことにして、魔族と人間を戦乱へと導こうとしている狂気じみた組織らしい。
その組織は元々、勇者崇拝集団と魔王崇拝集団とかいうやつらの中から、過激派とかいうやつらが集まってできたらしい。
そんな集団居るんだとジャックは思った。
「勇者様亡き後にそんなものがあったなんて・・・」
「魔王様は慕われておったが、そんなものができるなんてのぅ」
シロとクロも同感らしい。
とにもかくにも、今問題なのは対魔勇団である。
これから先、狙われるみたいだしな。
「しばらくは身を潜めるでしょうけど・・」
「ほとぼりが冷めた頃に、また来るじゃろうな」
「厄介な奴らだな・・」
三人でため息をつく。
「マスターに苦労かけてしまっているようですいません」
「妾たちはマスターを選んだだけで、こうなるとは思ってなかったしのぅ」
シロとクロが申し訳なさそうな顔をする。
しょんぼりとうなだれるけど・・
「えいっ」
ぺしっ
「はうっ⁉︎」
ぺしっ
「みっ⁉︎」
ジャックは二人に軽めのチョップをした。
「はあっ、バカかお前らは」
「なんですかいきなり‼︎」
「人、もとい剣をバカなんて‼︎」
ジャックが呆れたように言うと、シロとクロは頬を膨らませて怒った。
「いいか?お前らには一切責任を感じる必要はないんだぞ。それがわからないのか?」
「・・どういうことですか?」
「今回のことは、妾たちが引き寄せたようなことじゃぞ?」
シロとクロがわからないような表情を浮かべる。
「お前らはただ俺を選んだだけだ。別に危害を加えるとかそういう目的ではないだろう?」
「で、ですがそのせいで」
「マスターを狙うような集団が」
「狙うような奴らがでてきたのはその後だ。最初からわかるようなものではない。ほら、お前らのせいではないだろ?」
「「・・・」」
シロもクロもジャックの言葉に固まった。
自分たちがジャックを選んだせいでこうなったという責任感があった。
それなのに「自分たちのせいではない」、そうジャックは言っているのだ。
この言葉、昔同じような言葉を二人は聞いたことがあった。
勇者と魔王、その二人の武器であった時に彼女たちは聞いたのだ。
自分たちが選んだせいで、今のような戦いに身を落とすようなことになったのではないかと。
だが、二人とも今のジャックのような返事をしたのだ。
シロとクロは、なんとなく勇者と魔王の面影をジャックの中に見たような気がした・・・・。
「・・・そうですか」
「・・・そうかのぅ」
ジャックの言葉を受け止め、なんとなく気持ちが和らいだような気がした。
どことなくあった責任感、それが消えて二人はジャックに対して、より一層親しみなどを持ったのであった。
「回復魔法があるのに病院へ運ばれたわけ」
・回復魔法でも重傷だと完全には治りきらない。
・「自爆」と言ってムリヤリ魔力を爆発させたため、体の中の魔力の流れがちょっとおかしくなっていた。
・ガントレットでの一撃が効き過ぎて骨折、不完全骨折、骨にひびなどいろいろあった。
・血の流し過ぎによる血液不足。回復魔法は血液までは戻ってくるわけではない。




