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87話

狂った感じのキャラって結構難しい。

(上級生たちだと・・・・!?)


 聖剣・魔剣の輝きにより浮かび上がった敵の姿にジャックは驚いた。


 全員が様々な武器を所持していて、上級生たちの武器だというのはわかる。


 だが、襲われる理由はわからない。



 よく見ると、劇の最中は気が付かなかったが、全員の目がどこか虚ろな感じがした。


「精神系魔法か・・・?」


 操られているのだろうか?意志も何も感じ取れない。


 とにもかくにも、緊急事態である。


「全員逃げろ‼︎」


 ジャックの叫びで何かやばい事になっているらしいと理解した観客たちは、慌ててその場から逃げ始める。


「ジャック‼︎少し待っていてですの‼︎」


 ルナたちが、各々の武器を取りにその場から離脱する。


 さすがにこんな事態は想像できないからな。



 上級生たちをしばらくはジャックが相手する事になった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「きゃははははっ!上手いことターゲットのみサ‼︎」


 舞台裏で、気配を完全に隠してみている人物がいた。


 ジャックが上級生たちを相手にどれだけ力を出せるだろうか?


 モンスターならまだしも、相手は生きた人間。気絶させようにも、魔法で操っているので意味がない。かといって、殺傷できるわけもない。


「さぁて、どうなるかなサ‼︎きゃはははははっ‼︎」


 念には押して、ついでに保険(、、)として、その人物は何かを詠唱し始めた・・・。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「くっ!」


 飛んでくる魔法を避けつつ、斧を振り下ろしてくる相手に足払いでバランスを崩させ空振りさせる。


 この場から逃げようとしても、周りこまれる。


 年数としては相手の方が上だから、経験差で押し込まれる。


 状況はジャックが圧倒的に不利だった。



「せめて操っているやつさえわかれば・・・・」


 ジャックは次第に息切れしてきたが、相手側は全くしていない。


 操られているのでそんなものは関係ないのか、それとも体力的に上なのか。


 とにもかくにも、せめて操っているやつさえわかれば・・・あ。


 ここでジャックは思い出した。


 デュラハンの時、ルナを探すために・・・・。


「シロ!!クロ!!」

「何ですか!?」

「何か思いついたのか?」


 聖剣であるシロには人間の居場所を探知できる能力が


 魔剣であるクロには魔族の居場所を探知できる能力が



 それぞれそういう能力があったのをジャックは思い出した。すっかり忘れていたけど・・・。



「今この場で動き回っているのは俺たちと操られているような上級生たちだけだ!!操っている本人がいるとすれば、この場を見ている可能性が高い!!」

「つまり、この場の近くにいる怪しい人物を」

「探せばいいのじゃな!!」


 こういう時に聖剣・魔剣ともに意識があるのは助かる。


 こちらは戦闘に集中ができて、探知は二人に任せられるのだ。





「見つけました!!」


 シロがどうやら見つけた・・・・ということは、この操っている犯人は人間か?


「どこにいる!!」

「舞台裏、すぐそこです!!」


 シロの言った方向を見るが、誰もいない。が、確実に何かがいる。


「姿を消している可能性があります」

「魔法の痕跡確認・・・透明化系統の魔法じゃ」


 となれば、後は・・・・



「そこにいるやつ出てこい!!」


 上級生たちの攻撃をかいくぐり、ジャックは素早くシロが指示した場所に向かって切り付けた。


 宙を空振るが、何かがその場から姿を現した。


「きゃははっははは!!まさか見破られるなんてサ!!」



 狂気じみた高笑いをしながら、誰かがでてきた。


 身長は高く、やや細め。持っているのは指揮棒のようなもの。


 白黒の仮面をつけて、どこか捉えきれないような不気味さがあった。


「お前が操っているのか?」


 上級生たちの攻撃をかわしながらジャックは尋ねた。


「半分あって、半分間違っているのサ‼︎ミーは指揮をしているだけサ!!」

(結局操っているのと変わらなくないか・・・?)


 こいつが元凶だと思いながら、何とかジャックは攻撃をかわしていく。


「まあ、ここで知る由もなくおとなしくここで殺されるのサ、きゃははははははっ!!」


 何で殺しに来ているとか聞きたいが、今の状況で余裕はない。



 まずは、この上級生たちを何とかしないと。



(指揮・・・・つまり、何かをもとに、それに指示をしている。だが、見た感じ誰も共通している部分が・・)


 精神操作系の魔法には、直接指示して操作する場合と、何かを媒体にして間接的に指示する場合がある。


 おそらく、後者の可能性が高い。


 何かを身につけさせられて、それに指示を出して間接的に肉体を操っているのだろう。



 アクセサリーとか、服とかそういう可能性があるが、全員バラバラ。


 そんな中で、全員に共通しているのは・・・。


「そうか!!」


 ジャックはひらめいた。


 全員に完全に共通するものとすれば・・・・!!


「影しかないじゃん!!」


 すばやくジャックは動く。


 上級生たちの影を剣で切り付ける。


 すると、明らかに何かぶにゅんとしたモノの感触があり、一気に切り裂く。


 そのとたん、影を斬られた上級生の身体が止まり、その場に倒れ込んだ。


「予想通り、影に何かを潜ませて、それで間接的に攻撃を指示していたんだな!!」

「なっ!?正解なのサ!!」


 驚いたような声を発する仮面野郎。


 タネさえわかればもうこっちのものである。


「『疾風切り・改』!!」


 ミツとヨナと模擬戦をした時に使った高速で移動して切り裂く剣技。


 学園長との訓練で改良して、的確に切り裂けるようにしたその技で一瞬のうちに全員の影の実を切り裂いた。


 影が切られた後、上級生たちは糸が切れたように全員その場に倒れた。


「きゃははははははっ!!まさかこの『影操り人形(シャドウマネット)』の魔法を見破るなんてすごいのサ!!」


 全員倒したのに、仮面の男はどことなく余裕そうだった。


(まだ何かあるのか・・・?)


 ジャックは聖剣・魔剣を構え直し、素早く距離をとって警戒した。


「ここまで持ちこたえた暗殺対象(ターゲット)は始めてなのサ!!」

「そりゃどうも」

「せっかくだしな乗っておくのサ!!ミーは適正者の『影人形師』、ぺドラという暗殺者なのさ!!」

「暗殺者?なんで俺を狙うんだ?」


 まさか普通に情報を話すとは・・・時間稼ぎか?


 警戒を強めるジャック。ぺドラとかいうやつはその様子を見て笑っているようであった。


「きゃははははははっ!!ユーは聖剣・魔剣所持者。『対魔勇団』とかいう組織から抹殺依頼されたのサ!!」


 聞いたことがないが・・・・その対魔勇団の狙いはなんとなくわかったような気がした。


 適正者の武器は壊れても水晶にかざせば戻ってくる。


 だが、その所持者自身が死ねば武器は其の所持者が生まれ変わりでもしない限りこの世に戻ってくることはないのだ。


 つまり・・・。


「目的は、聖剣・魔剣のこの世からの消去みたいなものか・・・」

「そういう事だろうサ!!ミーもだいぶいかれていると自覚しているけど、組織の方がいかれていると思うのサ、きゃはっははっははははっははっは!!」


 どっちもいかれているような感じだが、今気にするべきなのはぺドラの行動。


 ここまで来たら気絶させて捕まえたほうが良いか?


 そうジャックが思った時だった。


「・・・お、やっと完了したようなのサ!!」


 いきなりぺドラが何かを見て笑った。


 ジャックの後方を見てのようだが、いったい何をみ、


「マスター!!回避してください!!」


 シロの声が聞こえたのと同時に、いきなりものすごい衝撃がジャックを襲った。


「がはっ・・・!?」


 そのまま吹っ飛ばされて、ぺドラにあたるかと思いきや避けられて、そのまま壁にたたきつけられた。


「ぐっ・・・一体何が・・・」

「きゃははっははは!!ミーが保険を掛けずにこの場を離れないと思っていたのサ?」


 ぺドラの笑い声が聞こえ、今の衝撃が来た方を見ると・・・・。


「な・・・・・!!」


 虚ろな目になっている、先ほど武器を取りに戻っていったはずのルナたちであった・・・・。




虚ろな目をして武器を構えるルナたち。

それに対して、今の一撃で大ダメージをまともに食らったジャック。

ぺドラは一体何をしていたのだろうか・・・。

次回に続く!


・・・今更だけど、ぺドラは魔法使うタイプの適正者です。

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