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80話

本日2話目

ひっさびさの学園長のっけから登場

「・・・・あら?」


 アンド学園長は今日の休日は生徒たちの様子を魔法で覗き見していた。


 そんな中、ジャックたちが学園の茶室にて座禅を組んでいる姿が見えた。


「あの隣にいるのは・・・・シロとクロとヨナね。後方にはルナとミツ・・・・」


 と、ここで学園長はおおよその推測を立てた。


「恋のもつれあい関係かしら」


 間違っていないような気がする。


 だが、見る限りヨナとミツの方は恋愛感情というような様子ではないように思える。


「・・・勇者と魔王それぞれを崇拝する派閥に何かしらの動きがあったという情報はあったのだけれども・・・・その関係者かしら?」


 もしかすると、案外この転入生たちはそこから送られてきた子かもしれない。


 そして、ジャックを自身の派閥へと引き込んで勇者とか魔王とか言って祭り上げるつもりだろうか?


「ハニートラップみたいなものなら納得できるけど・・・まあ、そんなに気にするものではないでしょう」


 少なくとも、ジャックは年頃の男の子とは言っても、そうやすやすとつられるような人ではないのはわかっている。


 そもそも、彼の持っている聖剣・魔剣の人の姿もかなりの美少女なのに手を抱いていないのがいい例であろう。


「どっちの派閥からの送り込まれた人だとしても、(ジャック)は難攻不落の城みたいなものだから無理でしょうね・・・」


 かと言って、女の子に興味がないわけではない。万が一という可能性もある。


「ルナが今のところジャックの関心を引き寄せているようなものだけど、このまま簡単にくっつくわけではないでしょうし・・・・」


 反対に、このハニートラップを仕掛けてきた人たちの方がジャックに引っかかるのではないのか?とさえ学園長は思えた。


 ジャック自身あずかり知らぬところだが、何気に(非公式の)ファンクラブなるものができていることを学園長は知っている。


 そもそも、ジャック自身が気が付いていないだけで、過去の中等部時代にも似たようなものがあったらしいのだ。


 それなりに、ジャックの顔は整っているし・・・実は隠れてモテている。だが、表面化しないのが特徴なのだ。


「聖剣・魔剣所持者というのも大きいんでしょうね・・」


 聖剣・魔剣はかつて勇者と魔王が使用していた剣。


 全世界で今なお人気がある二人の武器なのである。


 すでに、ジャックがその剣を所有していることは学園内には伝わっているし、王国では城の中の一部の人だけのはずが、いつの間にか情報が洩れていて他の貴族たちにも知れ渡ってしまっている。


 さらに、帝国にまでも知られているのだ。


 そのうえ、今年の夏の合宿の際、他の適正者たちにもそのことが知れ渡ってしまっていた。


 原因は、クラーケンを倒す際に放たれた爆発である。


 近くまで駆けよってきていた救援の適正者たち、彼らにその力を見せつけてしまうような形になったためである。


 聖剣・魔剣ともに現在は力がだいぶ失われているらしいが、魔力を流せば一時的にだが全盛期の力となる。


 その力を狙うような輩もいることはいる。だが、その力に関してよりも、聖剣・魔剣をいつでも生で見たいという人の方が多いのであろう。


 それだけ、聖剣・魔剣の人気があるのだ。


 なお、現在それに次いでいるのはシラタマである。飼い主のロイスもこれが原因でモテるのかと思いきや、シラタマのみに集中しているのでむしろ悲惨。さすがの学園長も涙が出るレベルである。


 まあ、ロイスに恋愛感情は確実に抱けないが・・・。


 というか、抱くならジャックの方が良い。


 


 その話は置いておいて、とにもかくにもジャック狙いの派閥からの二人だとすれば、しっかりと監視しておけばその両派閥を一気にとらえられるのではないのだろうか?


 勇者を崇拝・魔王を崇拝する両集団とも、問題を起こす。


 魔族・人間両方が仲良くしてきているこの世の中を、当時の戦乱の状況に陥れる可能性があるのだ。


 今のうちに、逮捕できるならば・・・・


 学園長は、ミツとヨナの二人に監視をつけておくように後で城に勧めようと決めた。



 まあそれは別として、今のジャックを取り巻く状況がどことなくうらやましく思えた。


「青春っていいわねぇ・・・」


 若者たちが恋に溺れるこの時期、学園長としては何処かうらやましくも思えた。


 夏休みの間に結婚した知り合いたちも似たような人が多かったし・・・・。


「私にも、誰か運命の人が現れないかしらねぇ・・・・」


 アンド=レアス学園長、年齢(規制)歳、ジャックたちを何処かうらやましそうな目で見守るのであった・・・が、


「あら?」


 ふと、ジャックたちの姿を見ていると気が付いた。


「魔力が・・・まとまってきている?」


 ヨナの方法は案外正しい方法であったようである。


 ハイエルフである学園長は魔法に長けている。そのため、魔力の流れなども見たりできるのだが、ジャックの体内の魔力の流れがきれいにまとまっていくように見えた。


「・・・案外、生徒の事は生徒の方が分かっているかもしれないわね」


 次第に輝きを増していくような魔力を見て、学園長はそう思ったのであった。


「あ、これ止めないとまずいかも」


 数分後、ちょっと冷や汗をかいたが。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 座禅をしていると徐々にだが、ジャックは自分の魔力とやらが見えてきたような気がした。


 例えで言うなら、黒と白の魔力が混じったようなそんな感じ。


「・・・・お、なんとなくつかんだ感じですのん?」


 ヨナがその変化に気が付いたようである。


「ここからどうすればいい?」

「魔力を聖剣・魔剣に流すのであれば、その魔力がそれぞれに流れるようにイメージすればいいですのん。・・・ジャックの魔力は不思議と混じった感じがするのでそれぞれの剣に合った魔力を流すようなイメージがちょうどいいと思いますのん」


 ヨナ自身、ジャックの魔力を少し感じ取っていた。座禅をして集中力を高めたのでなんとなく敏感になっているようである。


 だが、その感覚からとらえると、ジャックの魔力が不思議とまじりあっているかのような少し違和感があった。


(魔力が3種類ほど・・・・1種類はジャック自身の魔力として、他2種類ほど混じっているようなそんな感じですのん・・・・。聖剣・魔剣所持していることから勇者と魔王の生まれ変わりみたいなものだとは思っていましたけど、これって確かに・・・・)


 ヨナ自身、ジャックに興味がわいた。


本来ならば、魔王崇拝集団のところに引き入れる相手。だが、ヨナ自身純粋に興味がわいたのである。



「聖剣・魔剣にあった魔力か・・」


 イメージ的に聖剣は白、魔剣は黒の魔力だよなと思いながら、手に流してみる感じをそうイメージしてみた・・・・・・が。


「あれ?」

「あ」


チュドォォォォォォン!!


 うまいこと行かなかったようで、小規模ながら茶室内で爆発が起きた・・・・・。






「な、何が原因だ一体・・・」


 せき込みながら、ジャックは起き上がって周りの状況を確認した。


 茶室内は今の爆発で(すす)けて真っ黒になったようだが、何処も壊れていないようである。


 シロとクロはどうなったか見ると、二人ともとっさに剣の姿に戻って難を逃れたようであった。


 で、ヨナは・・・・


「けほっ・・・のん」


 爆心地(ジャック)の近くにいたため、こちらも煤けてしまっていた。


「えーと・・・・ごめん」


 何を言えばよいのかわから2ので、ジャックは素直に謝った。


「べ、別にいいですのん・・・・この可能性を忘れていた私が悪かったのですのん・・・・」

「この可能性?」


 話によると、魔法を使う人の中にも今のような小規模爆発を起こす人がいるらしい。


「『魔力爆発(マジックボム)』現象という物ですのん」


 魔力に関して、未熟な人がたまーにやらかすものらしい。


 下手にいじった魔力が、自爆するという現象らしい。魔法の一種かとも議論されているそうな。



「ジャックはもともと魔法を使う適正者ではないですのん。なので、こういった魔力の制御とかに未熟な部分があってそれで起きる可能性があったのですのん・・・」

「要は、俺の未熟さが原因か・・・」


 学園長に知られたら、確実にこのことを利用した訓練をしてきそうで怖い。というか、もう知られてしまったような・・・。


 ジャックは言いようのない悪寒を感じた。


「とにもかくにも、爆発に巻き込んでごめん」

「別にいいですのん。この煤けも、はたけばすぐに取れるものですのんし・・」


 とにもかくにも、一旦この現象を起こしてしまうと1日は魔力制御に関することができなくなるようなので、ここで終わらせることにした。


 茶室の煤けも、はたけば結構簡単に落ちたので全部綺麗にしてなかったような状態にした。



「まあ、今日はもう魔力制御はできないけど・・・・」

「そうですのん・・・今日はもう少しやりたかったですのん」


 時刻はお昼の少し前である。


 と、ここでヨナの頭に閃きが。



「あ、だったらちょうどお昼頃ですし、外に食べに行きませんのん?私はまだここに不慣れですのんし、せっかくのいい機会ですのでちょっとこの街を案内してほしいですのん」

「案内か・・・まあ、お詫びも兼ねておごるから別にいいか」

(よっしゃですのん!!)


 ちょうどいい機会なので、この際この町の案内をしてもらう建前でデートみたいにしようと思いついたヨナであった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「これってデートですわね・・・・」


 その様子を見ていたルナは、こうしてはいられないとばかりに素早く着替えるために自分の部屋へ駆けて行った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「デートに持ち込む気ぜよね・・・ターゲット(ジャック)がこれで籠絡される可能性もあるぜよし・・・拙者もいくぜよ!!」


 ミツもこれには黙っておられず、すぐに自室へと戻って着替えるのであった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あらあら・・・やっぱり『魔力爆発(マジックボム)』現象が起きたわね・・・」


 一方、学園長はその様子を見て、次のジャックとの訓練の際には今のこの現象を踏まえての物を行うことに決めたのであった。


「それにしても・・・デートみたいなことになっているわね。私も行ってみようかしら?」









休日は町案内に変更になったジャックたち。

ヨナはこれ幸いとジャックを誘惑しようとするが、そこに別の影が阻む!!

果たして、この休日はどうなるのだろうか!!

次回に続く!!


・・・・珍しく学園長自ら動く。でも、書いている途中で気が付いたけどこの人ら私服あるっけ?

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