70話
何やかんやと進んでいく
「それでは、表彰式を開催する!!」
レント=ギアス皇帝が特設舞台の壇上にたち、宣言した。
わぁぁぁぁっつ!!と集まっていた民衆が歓声を上げた。
最近、帝国では他国との戦争が相次いでいた。
少しばかり疲れたなと思う国民たち。
今度は海の向こうの国との戦争を仕掛ける話があり、ちょっと不満があったそんなときにこの表彰式の話が出たのだ。
第3皇女を助けた適正者に対しての表彰式。それも、帝国との友好条約を結んでいる国の適正者である。
戦争に関しての表彰はあったが、今回の表彰式の理由は第3皇女を助けたという明るい感じのものだったので、皆快く表彰式を迎え入れた。
「あー、緊張が・・・」
「マスター、リラックスですよ」
「体の力を抜くのじゃぞ」
表彰式授与者控室にて、ジャックは物凄く緊張していた。
表彰式はこの国の名誉あることでもあり、もらう勲章によって一家の家宝とまでも言われているのだ。
「シロとクロは剣の姿で腰にぶら下がっているだけでいいからな・・」
「それを言われますとね・・・」
「妾たちも一応聖剣・魔剣としての格好をつけるのじゃよ」
聖剣・魔剣ともに存在感が目立つ。普段は抑えるようにしているのだが、この日は抑えないでいた。
まあ、勇者・魔王が使っていた時代に比べると力が減っているのでそこまでの物ではないが。
全盛期の時だったら物凄く目立っていたんだろうなとジャックは思った。
「ジャックさん、そろそろ時間ですよ」
「あ、はい」
時間が来たようなので、ジャックは部屋から出た。
「今回、表彰を行うのは皆も知っての通り隣国で友好条約を結んだ他国の者、それも適正者だ。この国が建国されて以来、他国のものでこの表彰式を受けた者は歴史上数えるほどしかいない・・・・。諸君らは、今日、この目でその数少ない貴重な表彰を見れるのだ!!」
皇帝が言い終えた瞬間、あたりは歓声に再び包まれた。
「それでは、今回の表彰を受ける適正者、ジャック=ラルゼ殿の登場だ!!」
皇帝がばっと指さした先から、ジャックは歩き始めた。
わざわざ皇帝のもとに向かうまでの道に赤い絨毯が敷かれているのだが・・・・だれがこんな絨毯を敷くことを考えたんだ?
道しるべの様な感じなので、まっすぐ歩けるが恥ずかしくなる。
ちなみに、この赤い絨毯を敷くというのはギアス城のあの仕掛けが施されていた銅像を建てた人物が考案したものであることをジャックは知る由もなかった。
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歓声に包まれる中、広場の周りを囲む人影があった。
「ふふふふふ、今回は貴族さんからの金をもらった依頼だ」
「ガンガン襲って、あわよくばあの皇帝を殺せという物だからな」
「皇帝を襲うのは重罪だが、うまいこと殺せればそんなもんはなくなる」
「成功したら、更に金が手にはいるんだ」
合図が来るまで手出しができないので、今か今かと待ちわびていた・・・・
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ジャックは皇帝の前まで歩き、そこで止まった。
腰には聖剣・魔剣ともに刺した状態だが、別に皇帝を襲うわけではないので帯刀を許可されている。
というか、この間のことにより皇帝とは友達みたいなものになっているので許されているのであった。
「それでは、表彰をする」
皇帝がそういうと、家臣の人たちが何かを運んできた。
「数か月前、王国の首都にてデュラハンというモンスターの襲撃の際に、我が娘、第3皇女のルナ=ギアスを救ったことに感謝して表彰する。ただ、今回はそれだけの予定だったが、さらにこの間学園の合宿においてのクラーケン退治に関しても、同様の事がいえるのでそれら2件を合わせて表彰する!!」
(クラーケンの時はどうなのかと思うが・・・・)
内心そう思うジャック。まあ、もらえる者ならもらっておこうと思ったのであった。
「表彰のために勲章を授与するのだが、この2件を評価して『青い流星』の勲章を授与する!!」
この国では、数字が付いた勲章の下に、色のついた勲章が当たるのだが、どうやらその中でも結構すごい物らしい。
「それではジャック=ラルゼよ、受け取るがよい」
皇帝が出してきたのは、きれいな青い宝石で飾られた小さな勲章であった。
膝まづいて、ジャックはその勲章を受け取った。
その瞬間だった。
ドカァァァァァァン!!
「なんだ!?」
いきなり爆発音が響き渡った。
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「合図だ!!」
合図の音を聞き、隠れていた者たちが表に出た・・・。
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一体何事かと理解するよりも早く、広場に悲鳴が響き渡った。
「きゃーっつ!!」
「ひーふっふっふへ!!野郎どもやっちまえ!!」
どうやら、明らかに悪そうな人たちがあちこち無差別に襲い始めたようである。
「沈まれ皆の者!!落ち着いて対処せよ!!」
皇帝が叫ぶと、周りにいた騎士たちが暴れ始めた悪そうな人たちを抑えるために動き出した。
しかし、相手の方が数が多いらしく何人かがこちらに向かってきた。
「こうなったら儂自らが相手してやるわ!!」
皇帝がそう叫ぶと、何処に隠し持っていたんだと突っ込みたくなる大剣を出して構えた。
「俺も手助けします!!」
ジャックも聖剣・魔剣を構える。
心の中では逃げ出したいが、公の前で堂々と逃げるのは・・・・
「マスター、相手は適正者ではなく、ただのごろつきの様です」
「ある程度手加減せぬと、なぜ襲い掛かってて来たのか聞く前にこの世からさよならバイバイさせてしまう恐れがあるのじゃ!!」
シロとクロが冷静に状況を判断したようである。
とにもかくにも、この状況を鎮めるためにジャックたちは動き出したのであった・・・・・。
広場に響き渡る悲鳴。
果たして、どう混乱を収めるのか
次回に続く!!
・・・・皇帝自らって




