64話
やっと到着
それから2日後、やっとジャックたちは予定より少し到着時刻が遅れたが、ギアス帝国にたどり着いた。
「ここがギアス帝国か・・・」
馬車の窓から見える光景は王国とは違う物だった。
道も何もかもすべてがしっかりと舗装されており、建物も頑丈そうな作りの物ばかりである。
歩いている人たちも、どことなくきびきびと動いているような感じがした。
「あそこに見えるのが、このギアス帝国の皇帝がいるギアス城ですわ」
国の名前がそのまま城の名前となるのってどこもおなじなのか?
とりあえず、城門近くまで来た。
「・・・そういえば、俺はあと2日後に行われる表彰式には出るけど、このまま城に入ったらまずいんじゃ?」
「あ・・・・」
ルナもそのあたりは忘れていたようである。
表彰式で確かにジャックは表彰される。
だが、別に城でそれが始まるまで滞在できるとは書いてなかった。というか、そのあたりのことを考えるのを忘れていた。
「と、とりあえずお父さん・・・皇帝に聞いてみますので、しばし城下街の適当な宿にでも泊まっていてくださいですわ!!」
というわけで、ジャックはとりあえず宿を探すことにした。シロとクロは人の姿の状態で歩くことに。
街中で剣を持って歩くってのもな・・・あまり目立ちたくはないし。
聖剣・魔剣ともに何かしらの存在感を漂わせている。
だが、人の姿になったときはだいぶなくなるので・・・・とジャックは思ったが、考えが甘かった。
シロとクロは人の姿の時には美少女。
そのため、むしろ余計に注目を浴びてしまっていたのだが、とりあえず気にしないことにした。
「しかし、さすが帝国・・・・あちこちの水準が王国以上だな」
無料の水道が設置され、あちこちには魔道具と思わしき街灯が設置されており、商店街などもものすごく活気があふれていた。
「聞いた話だと、最近帝国がどこかに戦争を仕掛けに行くって聞いていたけど・・・・この様子じゃ戦争なんてどこ吹く風って感じだな・・・」
帝国に向かう途中に、ルナから聞いた話であった。
なんでも今度どこかの国に戦争を仕掛けに行くための準備をしているらしいが・・・・全くその様子がないな。
と言うのも、この数日後に何やらこの帝国の第3皇女を助けた人物の表彰式が行われるようだという話が盛り上がっているからであった。
そのため、戦争ムードはいったんどこかへ置いておこうとか言う感じになったというのが真相なのだが、ジャックには知る由がなかった。
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「よく帰ってきたな娘よ」
「はい、お父様」
ギアス帝国ギアス城の謁見の間にて、ルナは帰宅を父親の皇帝に報告していた。
普段ならお父さんとか言いたいところだが、こういう場ではお父様と呼んでしまう。
それだけ、父レント=ギアス皇帝の威厳があるからだ。
「道中に、襲われたという話は騎士団からすでに連絡が言っている」
「そのことなのですが・・・・質問してよろしいでしょうか?」
「ん?なんだ?」
皇帝は内心どきりとした。確実にあの質問が来るとわかったからだ。
ルナにはちょっと思ったことがあった。
「ここに来る前の数日ほど・・・・とある村にて滞在していたのですが、わたくしを見るような視線を感じ、その見てきた者の顔を見ると、お父様の家臣の者の一人でした。監視しているようでしたが・・・・」
「うむ、監視していた。今回のようなことの可能性があったので、それに備えるために念のためとしてだ」
皇帝は素早く答えた。
内心物凄く冷や汗ものだったが。
どう言い訳しようかなと思ったところに、今回の馬車への襲撃だ。娘を襲おうとしたことは許せないが、言い訳の材料となったことには感謝していたのだ。
「流石お父様ですね・・・・このようなことを見越していたとは」
納得してもらえたようで、心の中で皇帝は安堵の息を吐いた。
「でだ、お前を襲ったやつらはとある貴族どもに雇われていたようでな、現在調査中だ。表彰式の際に何か仕掛けてくるかもしれん。なので、警戒を怠るな」
「わかりました」
皇帝としては、自ら娘のそばに立って守りたいけど、立場的にそう簡単にできないと嘆いた。
「・・・そういえば、一つお願いしてもよろしいでしょうか?」
「なんだ?」
ルナがこうして面と向かってお願いしてくるのは、学園に留学したいと言った時以来だろうか。
皇帝はその時のことを少し思い出して、懐かしくなった。あれから結構経っているからな・・・。
「お願いと言うのはですね、2日後に表彰式が行われますよね」
「そうだが・・・」
「それまでの時間、ジャックをこの城に滞在させてもよろしいでしょうか」
「ああ、そういえば・・・」
皇帝も少し抜けていた。ジャックがすでに帝国内に入ったのはわかっている。だけど、確かに城に滞在させるとかを明記していなかったことを。
「では、客人用の部屋に泊まらせろ。そこならば、良いだろう」
「わかりましたわ」
そういって、皇帝の許可をとったルナは退室して、ジャックを迎えに行ったのであった。
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ルナが退室したあと、皇帝は表彰式に関しての準備の報告と、戦争準備についての報告を受けていた。
「では、表彰式は予定通り2日後。戦争はそのあとに開戦しよう」
「わかりました」
表彰式も、この戦争に関する士気を高めるもの。利用はできるが・・・・
と、ここで皇帝はふと気が付いた。
(・・・まてよ?ジャックとやらをこの城に滞在させるということは・・・・)
2日間は確実にこの城に留まる。
そのあとはすぐに王国へ戻るだろうが・・・・
(ルナがジャックに恋慕しているらしいという報告があったな。もしかすると、その部屋にルナが入って・・)
どちらも年頃の男女。
何かの間違いが起きてしまう可能性があるのだ。城の中だとさらによく出会うので・・・
何かまずい選択をしてしまったのではないかと皇帝は不安になった。
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「ふむ、では奴らは捕まってしまったか」
「しかも我々のことを話してしまったようですし、証拠も集められてしまっているようだ」
城下街にある、とある高級宿屋の一室にて人が集まっていた。
彼らは皇帝の政治のやり方に不満を持っていた貴族達で、今回の第3皇女の襲撃に関わった男達を雇っていた者たちである。
「このままではもうすぐにでも我々の失脚は確実」
「どうにかして手を打たなければいけないのだが・・・・どうすれば」
貴族籍が剥奪されるか、それ以上のひどいことになると目に見えていた。
「・・・こうなったら、2日後の表彰式の時を狙うか」
ジャックが出る表彰式。これは第3皇女を助けたということに関しての表彰をするものだが、政治的な意味合いでは今度の戦争に関しての士気向上させるものでもあった。
そこに、攻撃を仕掛けるというモノである。
「表彰式の際には、皇帝とその他皇子、皇女も出席する。そこを襲えば・・・」
「会場は大混乱。どさくさに紛れてうまいこと皇帝を亡き者にできれば・・・・」
「だが、その表彰される奴も問題だ」
聖剣・魔剣持ちなのは情報ですでに知っていた。
「実力もあるいだろうし、うまいこといかない可能性がある」
「残った時間でいかに我々に戦力を集められるかがカギだな・・・」
皇帝を襲おうとする目的だ。失敗すれば死刑よりも恐ろしいことになりかねない。
だが、彼らにはもう後戻りもできなかった・・・・・・
何やら怪しい雰囲気が漂い始めた。
そんな中、ジャックはギアス城に宿泊することになったが、思わぬものを見てしまう。
果たして何が起きたのか?
次回に続く!!
・・・まあ、予想できる人はできるでしょうけど。




