57話
モンスターはいつどこにどのように出るかは正確には特定できないですからね・・・・
すべてが寝静まっている深夜、ジャックたちがいる村に向かって歩みを進めるモンスターがいた。
月明りに照らされたその姿は、ギラリと光る単眼を持ち、木々をも超える巨体にどこからか持ってきた棍棒を手に持っていた。
口元には鋭い牙が見え隠れし、まだそこまで時間が立っていないせいか血が下の方についていた。
彼らは先ほど食した生物と同じような臭いを感じ取り、その方向へ歩みを進めてゆく・・・。
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「びえっくしょん!!」
ジャックは自分のくしゃみで目が覚めた。
なんかわからないが、寒気を感じたのである。
「うー、暑いのになんで寒気がしたんだろう?」
ジャックの家にて、ジャックは自分の部屋で寝ていたのである。
シロとクロの二人は聖剣・魔剣の姿となって枕元に置いてあり、寝息が聞こえていた。
・・・本当にどうやってこの状態で声が聞こえているんだろう。
・・・・・・・ン・・・
「・・・ん?」
ふと、ジャックは気が付く。何か振動したかのような感じがしたのだ。
・・・シン・・・・
・・・・・・・・・ズシン・・・
「足音?」
聞こえてくるのはまるで重いものが歩いているかのような音である。
だが、複数あるかのような感じがし、さらに音が聞こえるたびに地面がわずかに揺れているような気がした。
・・・・ズシン・・・・ズシン・・・
ズシン・・・・・ズシン・・・・ズシン・・・・
「だんだん近づいてきていないか?」
何かがこちらに近づいてきている。と言うか、ここまで大きな足音って・・・・
何か嫌な予感がする。
ジャックはまだ寝ているシロとクロ・・・聖剣・魔剣それぞれをつかみ、外に出てみる。
さすがに振動が大きくなってきたのが分かったのか、母と父も起きてきた。
さらに、他の村の皆もその振動に気が付いたのかちらほらと出てきているようであった。
「何だこの振動は?」
「なんか不気味だな・・」
「真夜中だというのになんじゃい」
・・ズシン、ズシン、ズシン
はっきりと足音が聞こえてくるようになり、その姿が月明かりによってやっと見えた。
「な、なんじゃありゃ!?」
まだ少し距離はあるだろうが、木々より高い巨体が複数確認できた。
こちらに向かって歩いており、目のようなものが一つだけ顔にあって・・・・
「も、モンスターだ!!」
村人の一人が叫ぶ。
「えっと、あのモンスターは確か・・・」
「サイクロプスです」
思い出そうとしているところで、シロがモンスター名を言った。
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「サイクロプス」
大型巨人モンスター。単眼だが、どういうわけか視野が広いようである。
目から怪光線や衝撃波を放つ上位種などもいるが、大抵はどこからか持ってきた棍棒による攻撃を行う。
きわめて凶暴であり、力も強いがあまり賢くはない。
しかし、必ずと言っていいほど数体ほどの群れで行動するため、相当な脅威ともなる。
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確か学園で習ったモンスター説明だとこうだったような。
「村の人たちは全員避難じゃ!!」
いつの間にか村長さんが避難を呼びかけていた。さすがこの村の皆の爺ちゃん、避難指示に全員従っている。
ジャックも混じって避難したかったが、適正者なのでモンスターを倒す義務がある。
物凄く逃げたいけどなとジャックは思った。
リンやロイスたちも集まってきており、村外から適正者の増援を頼んだらしい。
「こちらに接近しているのはサイクロプス。到達予想はあと数分、数は5体ほど」
「ああもう!!なんで村にまで来るのよ本当に!!」
「ピヨ!!」
カレンが状況を分析し、リンがイライラするようにメイスを振り回し、シラタマも同意するかのように羽を動かす。
「クラーケンよりも小さく見えるけど、あの悪夢を思い出すぜ・・」
「ですが、力では負けませんわ!!」
ロイスが合宿の時のことを思い出し、ルナはガントレットをガツンガツン打ち鳴らしながら備える。
「・・・本当は逃げたいけど、さすがに実家をつぶされるのは嫌だしな」
ジャックも逃げ出したいなと言う心を押さえて、この場にいる全員で迎撃することにしたのであった。
迫りくるサイクロプス×5体VS適正者たち!!
山と言う環境の中、ジャックたちの戦いが始まる!!
果たしてジャックたちは村を守れるのか!!
次回に続く!!
『ジャックは逃げ出したい!!しかし、状況から言って逃げられなくなった!!』




