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53話

ちょっと里帰り。

 ジャックたちはいったん、ジャックの家の方に行くことにした。


 リンやカレンの家の方にルナが泊まるのだが、まずはなぜかジャックの家で一旦挨拶するというような習慣がついてしまっていたからである。


 と言うか、村の入り口から一番近い家がジャックの家だったのが理由でもあるが。



「ここがジャックの家ですのね・・」


 ルナは家を見てそうつぶやく。村のほかの民家とはほとんど変わらないが、ジャックが住んでいた家だと思うと胸が高鳴った。


「まあ、ルナさん。先に忠告しておくけど驚かないでくれよ」

「?」


 ロイスのその言葉にルナは疑問を覚えた。


 ふとジャックの方を見ると、なぜか身構えてドアに手をかけている。


一体何があるのかとルナは不思議そうな目で見て、他の皆はまたこれかというような表情をしていた。


 シロとクロの二人は今剣の姿となっているのだが、何があるのかと頭に疑問符を浮かべていた。


 


 ジャックがドアを開ける。


「お帰りなさーい!!」

「帰ってきたかー!!」


 何かが猛スピードで突っ込んできた。


 ジャックはもう見極めているかのように横に回避。


 その突撃してきたモノの後ろにはさらに2つ目が来ていた。


 それもジャックは慣れているかのように回避すると、屋根の上に飛び乗った。


「・・・・相変わらずだよね母さん、父さん」


 それはジャックの母と父であった。








「なるほど、毎回こうして突撃しているんですわね」

「そうなのよ、この子ったら恥ずかしがって」

「流石に恥ずかしいし、下手したら突撃が腹に当たって死ぬって」


 家の中に入り、そこでお茶を皆出された。


 ジャックの母と父は毎回こうして息子のジャックが帰ってきた時には、突撃して抱きしめようとしているのである。ジャックの母の名はラン=ラルゼ、父の名前はホンバ=ラルゼである。


 だが、年齢的なところでジャックは恥ずかしいので毎回こうして避けているのである。


 農作業を手伝ったりしているけど、こういうところは本気で直してほしいとジャックは思っているのであった。


「にしても、このお茶おいしいですわね」

「あらわかる?この村の特産品なのよ」

「うちでとれた茶葉からつくった茶だ。母さんが淹れたのは本当にうまいからな」


 ルナとしては結構おいしいと思った。


 帝国でも皇女のたしなみとして飲むことがあったが、かなりおいしい茶である。


「それにしても、みんな適正者になるなんてお母さん全く予想していなかったわ」

「そうだぞ、ジャックは適正者になりたくないとか言っていたしなぁ」


 笑いあうジャックの父と母。ジャックとしてはそうやって自分の話をされるのが恥ずかしい。


 なお、なぜジャックの母と父がジャックたち全員が適正者になっていることが分かったのかと言うと、適正者になったという連絡が国から届くからである。


「この村で今年適正者になったのはジャックたちだけよ」

「そうそう、ロイスにリンにカレンだけだぞ」


 どうやら、この村出身の同年代で適正者になったのはこの4人だけの様だ。


 なお、他の同年代の人たちは高等部に進学したりして入るが、中には村に戻って跡を継いでいる人もいるようなのであった。


「それにしても、不思議な事って世の中にはあるのねぇ・・」

「ん?」

「なんじゃ?」


 ジャックの母・・・ラン目線の先にあったのは茶を飲んでおらず、一緒に座っているシロとクロの姿があった。


「手紙で書いて教えてくれていたから驚きも少なかったけど、武器が人の姿をとるなんてなぁ」


 ジャックの父・・ホンバもうんうんとうなずいていた。


「まあ、我らはマスターの命令を聞く武器じゃ。こうしてご挨拶しておいた方が良いじゃろうと思ってな」

「これからもマスターのことをしっかりと守ってますので」

「あらあら、かわいい子たちよね」


 ふふふと笑うランを見て、ルナは不思議に思った。


「うーん、もっと驚いたりしませんですの?」

「あらあらルナちゃん、私たちはそう驚きませんよ」

「二人とも、どこかずれた感覚があるからな」


 ジャックはルナにそうこっそり伝えた。


 この両親、どこかズレているのである。まあ、そのおかげであまり驚かれずに済んだから良しとしよう。



「そういえば、ルナちゃんはどこに泊まるの?」

「カレンかリンの家にでもしようと思っているのですわ」

「ここにはとまらないの?」

「いえいえ、ジャックの家ですから、女子は女子の家に泊まるのですわ」


 ルナはそう答えた。


 その後、全員それぞれの家へと戻っていったのであった。



「・・・ジャック、明日から農作業があるから手伝ってね」

「はいはい」


 その時ジャックは気が付いていなかったが、母ランはルナがジャックに好意を抱いていることを見逃してはいなかった。


(ふふふ、ジャックは昔から村の女の子たちに隠れモテてはいたけど、ああいう子もいいわね・・・。帝国の第3皇女とも聞いているし、逆玉の輿となるんじゃないかしら?)


 ロックオンした瞬間でもあった。






いつの間にか嫁候補にロックオンされていたルナ。

外堀が少しづつ囲まれてきているのに気が付かないジャック。

そんな中、ジャックの母ランはちょっと手を出してみる。

次回に続く!!


・・・なお、聖剣・魔剣であるためシロとクロはジャックの武器であるという認識のようである。

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