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49話

王道としたら王道かも。


ドクン


「・・・・なんじゃ?」

「・・・なんですかね?」


シロとクロの二人は、何かが(自分たち)の体中に一気に流れたような気がした。


そう思った瞬間、一気に聖剣・魔剣の輝きが増した。


「な、なんだ!?」

「なんですの!?」


 ジャックが気絶したので、慌てて助けようと駆け寄ったルナと、その他の人たちが驚く。



聖剣からは物凄く力強い白き光が


魔剣からは物凄く禍々しい黒き光が


 それぞれ輝きを増していく。


「こ、これは・・魔力!?」

「マスターの!?じゃが、今はマスターは気絶しておるのじゃが!?」


 突然のことに、当の聖剣(シロ)魔剣(クロ)達も動揺した。


 何が起きたのかは一応理解はできる。


 ジャックが持っている部分から、大量の魔力が聖剣・魔剣それぞれに流れ込んできているのだ。


 ただ、理解ができないとすれば今ジャックは完全に気絶しているはず。


 魔法とかそういった魔力の類は扱う本人の意識がないと出てこない。


 しかし、今確実に魔力が流れてきているのはわかる。





・・・・聖剣・魔剣ともに、長い年月の間に扱う人がいなかったせいなのか、力が勇者と魔王二人に扱われていた時に比べて失われていた。


 今はジャックが扱うことによって、少しづつその力を戻してきてはいるが完全までは程遠い。


 だが、魔力を流されれば一時的だが全盛期のフルパワーの力が出せる。




 魔力がジャックから流れてきたことにより、聖剣・魔剣とも一時的に当時の輝きを取り戻していた。


 聖剣は白く光る夜空の星々よりも明るく、魔剣は闇よりも深く黒く輝く。


 戦闘中だとはいえ、周りの人が見とれるほどの強い輝きを聖剣・魔剣は放っていた。


 と、気絶していたはずのジャックが急に立ち上がる。


 シロとクロの二人はジャックが起きたのかと思ったが、どうも少しおかしい。


「これ、気絶したまま動いていませんか?」

「無意識の様じゃの・・」


 ゆらりとジャックが立ち上がり、聖剣・魔剣を構える。目はしっかりとクラーケンに向けられていた。


 しかし、その意識は起きていないことをシロとクロの二人は感じ取った・・・・。




 その様子に、クラーケンたちはなぜだか言いようもないような恐怖に襲われた。


 先ほどまで身動きせずに倒れていた人間が急に持っていた武器が輝いて立ち上がった。


 それだけでクラーケンたちは本能的にわが身の危機を感じ取った。


 それぞれが一斉にこの人間を排除・・・捕食しようと触手を一斉に他のうっとおしい人間どもから変更し、この輝く武器を持った人間に向ける。




 7体同時の全触手がジャックに迫る。


 だが、ジャックはそのまま空中に素早く飛び上がった。


 クラーケンの頭上近くまで高く高く高く。


 ソレとほぼ同時に先ほどまでジャックがいた地点に触手が殺到した。だが、すでにジャックがいなかったので激突しあった。




 

 今のでとらえることはできなかったが、飛び上がったならばそこまで身動きが取れぬはずだ。


 クラーケンたちは素早くその場から上へと触手を伸ばす。


 このままいけば数本は切られてしまうだろうが、身の動きを止めることはできる。


 「勝った」とクラーケンは確信して、触手をジャックの近くまで伸ばして・・・・・。




 真上に飛び上がったが、真下から触手が何本も迫ってくる。


 シロとクロの二人はこのままでは捕まると思った。


 しかし、ジャックはそのまま聖剣・魔剣ともに一気に魔力をさらに流し込んだ。


「マスター!?いきなりすぎます!!」

「これは・・・・多すぎなのじゃ・・」


 シロ、クロともに魔力の量に悲鳴を上げる。


 勇者と魔王のそれぞれに流し込まれた時に比べて明らかに多い。


 この時に二人は気が付いた。


 ジャックから流れてきている魔力は、勇者と魔王の魔力に近いものだということを。


 ジャックの魂はその二人がまじりあったもの。魔力もまじりあったものになり、魔力量は桁違いとなっていた。



 

 それだけ膨大な魔力が流れ込めばどうなるか?


 武器に魔力を流し込んで強化するという方法は結構あるが、やりすぎると武器その物が耐えられなくなって壊れてしまう。


 だが、聖剣・魔剣ともにいくらでもその魔力を吸収できる。


 輝きをさらに増し、触手がジャックの足元にまで到達した時だった。




 ジャックは空中で体をひねり、聖剣と魔剣を真横に向けて回転した。


 回転した瞬間、聖剣・魔剣ともにその剣の軌跡を白く・黒く宙に描く。


 そして、回転し終えたジャックがその軌跡に聖剣・魔剣をトンッと軽く当てた。


 その瞬間、その軌跡で描かれた白と黒の光の線は一気に周囲に広がる。


 



 クラーケンたちは危険を察知した。


 その光の線は確実に自分たちの生命を絶てるものだと本能が叫ぶ。


 触手で防ごうとしたが、間に合わない。




 そのまま光の線は周囲のクラーケンたちにあたる。


 すると、その線に沿ってクラーケンたちの身体が切れていく。


 周囲を囲んでいたクラーケンたちすべての身体に。


 周囲を囲んでいたからこそ、回転して描かれた光の軌跡は全てのクラーケンたちの身体にあたり、当たった部分から切れていく。


 これがたった1つの物ならば、まだクラーケンたちは助かったかもしれない。


 だが、光は白と黒の二つがある。


 互いに途中で交わり合う。


 だが、それぞれ聖剣・魔剣から放たれた光。


 それぞれ対となるもの同士。


 交わりあっても、きちんと交われず互いに反発しあう。


 そして、クラーケンの身体を中心近くまで切り進んだ時だった。


 そこで互いに反発しあったせいか、対消滅を起こす。


 だが、ただの対消滅ではない。


 光の線には膨大な魔力が込められていた。


 それらが互いに爆発しあう。


 クラーケンの中心部からそこで大爆発を引き起こす。


 その爆風は、クラーケンに囲まれていた適正者たちも感じるほど物凄い爆風だ。


 何とか回復していたシラタマが、防御魔法を慌てて皆に張って安全を確保しようとしたぐらいだ。


 シラタマの防御魔法により、皆は無事だった。


 だが、クラーケンたちは頭部を吹き飛ばされ、そのまま力をなくした触手たちは地に落ちた・・・・。



 ジャックはそれを放ったのと同時に、力をなくしたかのように聖剣・魔剣ともに急に輝きが衰え、魔力が流される前の状態へと戻る。


 手の力がなくなり、聖剣・魔剣をジャックは手放した。


 その瞬間、シロとクロが慌てて人の姿をとり、地面に激突するまえにジャックを抱えて着地する。


 二人とも自分たちが出したクラーケンを吹っ飛ばした力にぽかんとしていた。


 いくら聖剣・魔剣でもここまで出したのは久しぶりだったので改めて見て驚いていた。


 その傍らで抱えられているジャックは気絶したままであった・・・・。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「あと少しで到達だ!!」

「急げ!!人数的には厳しいぞ!!」


 ジャックたちがクラーケン7体と戦っているという知らせを聞いた他の適正者たちが現場まで猛スピードで駆け抜けていた。


 3カ月たっているとはいえ、いきなりの大物のモンスター、しかも7体も同時相手はまずいと全員理解していた。


 もしかしたらたどり着く前に全滅の恐れが・・・・・。



 その考えが心に浮かんだ時だった。




いきなり何か爆風のようなものが起きた。


 遠くを見ると、何かが大爆発を起こしたかのような煙が上がっていた。


「な、なんだ今のは!?」


 さすがの適正者たちもこれには驚いた。


「まさか、エーラン学園の学園長か!?」


 ここにいるのはそこのOBであり、一瞬その可能性を思い浮かべた。


 だが、その爆発地点に立ち上ったのは白い光と黒い光。


「まさか・・・噂の聖剣・魔剣持ちか!?」


 聖剣と魔剣を所持する適正者の話は噂となって聞いていた。


 だが、ここまでの力とは思っていなかったのでそのすさまじさに皆驚いて危うく足を止めるところであった・・・・



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あれが聖剣・魔剣持ちで、魔王様の生まれ変わりとされている者の力か・・・・」


 遠くの方で、その様子を見ていた者がいた。


 クラーケンを呼び寄せる者たちのそばにいたが、今日は嫌な予感がしたので少し腹を壊したとか言ってごまかしてこの離れた場所に隠れていた。


 仲間はクラーケンに食われてしまったが、これは大きな収穫だと思った。


 そのため、その報告をするために、次に集会が行われる場所へ向かってその場から離れていくのであった・・・・。



この聖剣・魔剣で起こした力はほかの人々の眼にも焼き付けられていく。

その力を狙う者、消し去ろうとする者たちにも伝わっていく。

だが、ジャックはそうなっていることを知らないでいた・・・。

次回に続く!!

・・・まあ、次回は後始末的な話しになりそう。

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