47話
・・・書いていてふと思った。
物凄く生臭そうだと。
明け方、ジャックは目がふと覚めた。
「喉乾いたな・・・」
朝起きは喉が乾くことがあるので、水筒を枕元に配置するという脱水対策をジャックはしていた。
   
水筒を開け、中の水を飲み干す。
目が冴えてきたので見ると、シロとクロの二人は剣の姿のまま、寝息をたてていた。
・・・置いてある剣から寝息が聞こえるのって、事情を知らない人から見ればホラーじゃないか?
  
とにもかくにも、気持ちよさそうに寝ているようだし、起床時間までまだ少し時間があるようなので二度寝をしようかと思った時であった。
「イゲカァァァァァァソ‼︎」
「⁉︎」
いきなり、なにかのとてつもなくうるさい鳴き声が聞こえた。
あまりのうるささに、宿泊施設全体が震え、物凄く振動が伝わる。
「なんだなんだ!?」
「なにが起きた!?」
「地震!?」
「あの声はなんだ!?」
あちらこちらから飛び出してくる人がでる。
その瞬間、ズン!!と重い音が鳴る。
しかも、立て続けに何度も何度も。
「一体なんだ・・・・?」
「・・・・マスター、ちょっとまずいです」
「モンスター、それもでかいやつじゃ」
いつの間にか起きてきたシロとクロが何やら深刻そうな声を出す。
デュラハン以来の緊張に襲われる。
「緊急事態発生!!緊急事態発生!!」
デュラハンの時にも聞こえた音が聞こえた。
「適正者の皆さまは各自武器を備えて戦闘準備をしてください!!現在、『クラーケン』の出現及び問う場所に襲撃を確認!!」
ズドン!!
それとほぼ同時に壁がぶち破れ、何やら触手のようなものが入ってきた。
「シロ!クロ!」
二人の名前を呼び、剣の姿になってもらう。
聖剣・魔剣の姿になった二人・・・二本の剣を持ち、ジャックは突き進んできた触手に剣を振り下ろす。
ジュバン!!
まるで何かをつぶすかのような音が鳴り、触手を正面から真っ二つにジャックはした。
しかし、すぐさま別れた触手は元の状態へと再生した。
「再生するのかよ!?」
「マスター!!縦切りはいけません!!」
「横に回って斬るのじゃ!!」
シロとクロのアドバイスを受けて素早く横に回り、今度こそ触手を切り落とした。
切り落とされた方はビチビチはね、根元の方は外へと引っ込んでいった。
「今度は再生しなかったな・・・」
周りを見ると、他の方にも触手が入ってきており、大剣や斧などの大型の刃物を持つ奴らは斬って対処し、ハンマーやハリセンなどの打撃系の武器を持ったやつらは直接当ててひるませていた。
「刃物が有効で、それ以外だと苦戦か」
「ジャック!!そっちは無事だったか!!」
ロイスが大剣を振り回しながら近づいてきた。
いや、触手切れてるけど周りがあぶねぇよ!!
シラタマは、持ち前の防御魔法によって触手の正面へ行っては防壁を創り出して突き指させるような形をとっていた。
あと、ロイスが振り回している大剣に皆が当たらぬようにもしていた。
・・・子供の方が親よりもできているじゃん。
「クラーケンだと思うが、触手が多すぎないか!?」
先ほどからこの宿泊施設に入ってきている触手はどう見ても巨大なイカの足、つまりクラーケンだとわかるが明らかに超足の数が多い。
「あの、マスター」
「何となくじゃが・・・・1体ではないような感じじゃぞ」
「何!?」
ある程度侵入してくる触手たちを切り裂き、建物の外へとジャックたちは出た。
そしてそこにあった光景は・・・・。
「く、クラーケンが6体!?」
クラーケンであろうモンスターの頭が6つ確認できたのである。
1体あたり10本触手があるとして、単純計算で60本。
「全員他の適正者たちが来るまで避難しろ!!」
合宿の引率の先生方が叫んで指示を出す。
1体ならまだしも、6体も出てこられてはさすがに人数的に危険である。
各地の適正者たちにも連絡は行っているらしいが、駆けつけるのに時間がかかるらしい。
ジャックたちは全員攻撃しながらも海から離れて退却しようとした。
だが、7体目が前方に立ちふさがってしまった・・・・・。
迫りくるクラーケンたち!!
適正者数は生徒36名、先生数名に対し、クラーケンは7体!!
増援の適正者たちが来るまで誰一人死なずに持ちこたえられるのか!!
次回に続く!!
・・・生臭さそう。誰か炎系の魔法とかそういうのを使ってあぶってくれないと物凄く生臭そう。




