3話
ちょっといつもの作品とは少し違うから難しい。
・・・ついにこの時が来たか。
「ジャック=ラルゼさん、水晶に手をかざしてください」
今、ジャックはついに水晶に手をかざす番が来ていた。
彼の親友であるロイスは「適正あり」となり「適正者」となって喜んでいた。
そして、適正ありという結果とともに、水晶からものすごくでかい大剣が出て、彼の目の前に顕現した。
「水晶の儀」で「適正者」となるとなぜか身体能力が向上する。
そのため、その大剣をロイスは軽々と扱えているようであった。
今この儀を受けているのは340人。この儀式を受ける順番はクラスごとに決まり、そのうちジャックは最後の一人であった。今のところ、34人しか適正がなく、残る305人は適正者ではなかった。
適性がある人には水晶から武器が出て、それを試しに振るって見たりなどとしているが、ジャックからしてみれば危ないとしか思えなかった。
メイスに大斧、大剣、棍棒、鞭、銃、大砲などと物騒なものばかりである。杖などもあったが、先が物凄くとげとげしいものなどであった。
魔法で倒せというよりも、トゲで刺し殺せって感じにしか思えないんだが・・・・。
まあ、中にはなぜかハリセンという人もいた。・・・・ハリセンって武器か?それでモンスター相手ににツッコミを入れろってことか?
だが、これで自分は適正者ではないだろうとジャックは思えた。
だいたい10分の一しか適正者が出ていないからである。
今回の適正者数はどうやら例年よりも少ないらしく、はずれ回だと皆が思っていた。
しかし、それは逆に都合がよかった。自分が適正者である確率がものすごく低いということになるのだから。
まあ、油断できないので「同か適正者でありませんように」とジャックは神に祈った。
ジャックが水晶に手をかざすと、水晶は輝いた。
(「適正あり」か・・・)
内心物凄くがっかりとした時であった。
ピキッ
「ん?」
輝いた水晶に突然ひびが入った。そしてそのヒビ割れが広がっていき・・・・・
バリィィィィィィィン!!
「「「「「はぁっ!?」」」」」
水晶が砕け散り、その場にいた全員が驚いた。
「え・・・・これ俺のせいになるのか?」
ジャックも驚き、焦りかけた時だった。
水晶のあった場所に光る球体と、黒い靄の様な球体が出現した。
突然現れたそれに周囲が驚く中、その二つの正反対の球体は驚くジャックに近づいていき・・・・。
パチン!!
どすっ!!
同時に二つの球体がはじけ、中から何かがジャックの足元に突き刺さった。
内心足に突き刺さるかと思ってヒヤッとしたジャックだったが、その球体から出てきたのを見て、周囲にいた人々も同じように目を丸くした。
どちらも同じ長剣だが、明らかに普通のとは違っていた。
片方は、全体が薄く光るオーラに包まれ、装飾が美しく楚な感じだが、どこか威厳を感じさせた剣。
もう片方は、全体が薄く黒いオーラに包まれ、装飾は似ていたがどことなくちがい、同じように威厳を感じさせた剣。
どちらも圧倒的な存在感を漂わせ、明らかに普通ではないという存在を周囲に焼き付けた。
だが、ジャックはここで妙な感覚にとらわれた。
(・・・・ん?この剣、どこかで見たことがある。なぜだ?)
初めて見るのに、どことなく懐かしく、愛しいようにも思える既視感。
だが、これまでに全く見たことがないのになんでそう感じるのか。
周囲が水晶が割れたことと、その不思議な剣に対応するためにさわいでいる間、ジャックはその剣を見つめ続けるのであった・・・・。
水晶が割れた理由・・・・なんだろうか?