46話
鼻やっとまともになった。
ひどい時がたまにあるんですよね。
合宿開始から6日後、ジャックたちはやっと明日で最終日となった。
最終日は朝から遊べるので、これまでの訓練の辛さを忘れて楽しもうとする雰囲気が漂っていた。
ただ、2日目にジャックたちに届いた知らせのことで皆の心に不安があった。
「『クラーケン』ねぇ・・・」
「巨大なイカのモンスターだというけど、全く見えないよな」
風呂場にて、外の方に見える海を見ながらジャックはつぶやく。この合宿の宿泊している施設は露天風呂だった。
ロイスが見ている方向は、女湯のしきりだったが。
どうやら、クラーケンとかいうモンスターが海岸沿いに出現するかもしれないという知らせだ。
モンスターなので、適正者であるジャックたちが出撃させられる可能性があるが、できれば現れないでほしいという思いが大きかった。
3ヶ月を超えているとはいえ、あのデュラハンの時のことが少し気にかかっているのである。
デュラハンは本来は4~5体ほどで出現するらしいが、あの時は20体。
クラーケンの方にも何かあるんじゃないかというような嫌な予感をジャックはしていたのであった。
まあ、クラーケンは適正者が大勢でかかってやっと倒せるモンスターらしいから、他の適正者の人たちが集まってくるまで逃げ回れということになる可能性もあるけど。
ともかく、逃げられるなら逃げた方が良いなとジャックが思っていると、他の男子たちが女湯とのしきりに集まっていた。
いわゆる覗きをしようとしているのである。適正者とはいえ、ここにいるのは思春期の男子たち。
初日から行われてはいるが、成功したのをジャックは見たことがなかった。
なぜなら、ここにいるのは全員適正者。
身体能力は常人以上。
そのため除き対策も常人用の物では意味がなさない。
そのため、対適正者用の除き防止策が徹底的にこの風呂場に施されているのであった。防音、防弾、防爆、防壁、防水、防斬などがしきりに施されているのもその一つ。
上の方は開いているのだが、ジャンプをして覗こうとしたら対空防御が働くという要塞かとツッコみたくなるレベルである。
だが、これは覗きをする人たちの命を守るためでもあった。
適正者なので、武器を持って入浴する人もいる。
拳銃とかで眉間を撃ち抜かれたりして殺人事件とかが起きないようにするためである。
湯に浸かりながらふぁぁと息を吐くと、覗きをしようとした男子たちの数人が上から落ちてきた雷によって焦げていた。
「まああきらめずにやっているのかよ・・・」
さすがにその根性にジャックはどことなく呆れる。
ジャック自身女子に別に興味がないわけではない。一応年頃の男子である。
しかし、さすがに危険をおかしてまで見る意味もないので、安全第一のジャックは覗きには参加していないのであった。
・・・・どうせ、後で殺されかねないからな。覗き対策はされていても、後で覗こうとしたなどで半殺しにされる未来しか見えないし。
と、思っていると今度は氷漬けに数人の男子がなった。
一応風呂場なので、短い時間で溶けるだろうが・・・・。
シラタマがあちこちパタパタ飛んでは回復魔法をかける姿を見て、別にかける必要はないんじゃないのとジャックは思うのであった。
先に風呂から上がり、マッサージチェアとかいう魔道具にジャックは座ってリラックスした。
「この魔道具良いよな・・・」
できれば寮にもほしい。今度学園長に頼むか?いや、代償として訓練きついのをさらに上乗せされそうだな・・・・。
ぼけぇ~としながらジャックがそう考えていると、風呂から上がってきたシロとクロの二人が来た。2人ともまだ少し髪が濡れているが、剣の姿に戻って拭くとなぜかちゃんと乾いているのである。
結構便利な体だよなそれ・・・。
「マスター、リラックスしていますね~」
「これが魔王様の時にも会ったらよかったのにのぉ~」
二人とも同様に左右にあったマッサージチェアに座っていた。
・・・二人とも元は剣だよね?こういうところは人とあまり変わらないな。
ちなみに、この宿泊施設には魔族も泊まることがあるらしく、魔族用の物もあった。
背中に羽が生えている魔族用か、背もたれの部分に2つの穴がある物。
ラミアとかそういった種族用か、足の部分がものすごく長く作られているものなどである。
部屋に戻り、シロとクロの二人を剣の姿に戻ってもらう。
刀身が少し濡れていたので、きちんとふき取る。
「しかし・・・相変わらず光っているよな・・」
聖剣・魔剣ともに白い光と黒い光で発光していた。
「どうしても、こういうふうになるんですよね」
「最盛期はもっと強い輝きじゃったぞ」
剣の状態で声が出るのを見ると、何処でしゃべっているのか少し気になる。
しかし・・・昔はもっと強い光が出ていたってことは、これ傍らに置いていたら眩しくて勇者と魔王の二人は寝られなかったんじゃ?いや、鞘に入れるという手段があるか。布にくるむというのもあるな。
「流石に光量は抑えられますよ」
「じゃが、魔王様も寝つきがよくてのぅ・・・すぐに寝てしまい、気にする様子もなかったわい」
どことなく懐かしむ感じが取れる。
自分が勇者と魔王の魂両方を持っているとはいっても、ジャックはその二人と同一人物ではない。
ジャックのことを慕うことは感じられるが、この二人にとっては勇者と魔王が本当の主だったんだなと、どことなく寂しく思うジャックであった。
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「おい、予定より遅くないか?」
日が昇り始めたころ、ジャックたちが宿泊している施設近く海上にて、船があってそこに数人の人影があった。
「流石にまだ実験段階の物ですからね・・・・モンスターを引き寄せるには少し効能が低いかもしれません」
「だったらまとめて全部投入すればいいではないか?」
「いえ、それだと我々の身にも危険が」
「えい」
「あ」
一人が話も聞かずに、粉のようなものを一気に海に投入した。
「な、な、な、何をしているんですかー‼︎」
「危険ならば、早く逃げればええやないかとおもグベェ⁉︎」
投入した奴がいきなり何かに体を巻きつかれた。
「な、なんやなんや⁉︎」
「しまった‼︎もうだいぶ近くにきていグベェツ‼︎」
次々にその場にいた人影は何かに巻きつかれた。
「イゲカァァァァァァソ‼︎」
巻きついてきたモノは雄叫びをあげる。海中からのびた触手、それが彼らに巻きついてきた正体。
そのまま、今捕まえた人影を悲鳴をあげる前に、その触手で締め上げ、己の鋭い牙がある口の中に放り込みむ。
ベキグジャッと骨や肉が潰れたような音をたてながら捕食し、飲み込む。
その場に残されたのは、船の残骸だけであった・・・。
なんか進○の巨人のテーマかけたいような・・・いや、アニメカービ○の魔獣が出たときの曲が似合うか?




