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43話

鼻炎がひどくて・・・・

 3日後、ジャックたちは朝早く集合し、クラスの全員がそろい、合宿の目的地に向かって馬車が出発した。


 なお、合宿地へ向かう適正者は2年生や3年生もいるのだが、ジャックたちの学年とは時期がずれているため、36名で向かうことになっている。


 馬車は学園側が特別に用意された何台かの馬車で、乗車定員がそれぞれ違っているのである。


 定員数がバラバラなのは、持っている武器のサイズなどを考慮しての物であった。


 ついでに、適正者は本来武器は自分に身につけているのだが、大斧や、大剣など大型の武器を持つ者たちのはすぐ後ろの荷物用馬車に武器を入れられていた。さすがに邪魔だからである。


 聖剣・魔剣も長剣なので入れられるのだが、シロとクロが人の姿になったために一緒に乗ることに。


 そして、ここで意外なことになった。


 馬車は数台あり、それぞれ仲が良い者同士で組んで乗れるのだが、ロイスの奪い合いが女子たちの中であった。


 ロイス本人が目当てではなく、ロイスにくっついているシラタマ目当てである。





「ロイスはおまけ扱いなんだな・・・・」

「なんか哀れですよね」

「己を見てもらっているわけじゃないからのぅ」


 結局じゃんけんで決まり、ロイスはクラスのほかの女子の馬車に引きずられる形で乗せられていた。


 ジャックは今頃シラタマだけ可愛がられているだろうなと思い、ロイスのことを哀れんでいた。


 今乗っている馬車はジャック、シロ、クロ、ルナの4人で座っていた。


 ジャックの左側にルナがいて、その前の方にシロとクロが座っているという構図である。


 リンとカレンは別の馬車の方に乗っていた。



「帝国の物に比べますと、ちょっと揺れが大きいですわね・・・」


 ルナは帝国の第3皇女だが、今は留学生としてきているので扱いはほかの適正者と変わらないのだ。


「帝国の馬車はどんなものなんだ?」


 ジャックとしては、夏休みの後半に帝国に行くので少し気になった。


「もう少し揺れがなく、こうして座っているイスなども余裕ある感じですわね」


 結構乗り心地に関しては帝国の方がこだわっているように感じ取れた。


「じゃが、それでもこのぐらいの揺れならまだましじゃよ」

「あの頃はもっと揺れがひどかったですからねぇ・・」


 勇者と魔王が生きていたころに有った馬車は今よりももっと乗り心地が悪かったようである。


 当時の劣悪な馬車の乗り心地を思い出したのか、二人とも口を抑える。


「おい、・・・まさか吐くんじゃないよな?」

「いえ、ただ思い出したら少し気持ち悪く」

「あの時は剣の姿じゃったからよかったが、人の姿なら確実に吐いておったじゃろうな」


 いや、ちょっと待てよ・・・・・この二人普段食事をとっていないのに、何を吐くんだろう?


 どうでもいいことを、一瞬ジャックは気になったのであった。





「にしても、こういった揺れとかって眠くなってくるよな・・・」


 ふわぁぁあ、とジャックはあくびをした。


「・・・ジャック、眠いのならわたくしの膝に頭をのせて寝てもいいですわよ」

「え?」


 ルナがそういったので、ジャックは疑問の声を出した。


「いや、でもさすがに悪いかなと」

「別にいいですわよ。淑女のお誘いは無下にするものではありませんわ」


 ガントレット振り回して、俺の背骨もおったことがある人が淑女って・・・・。


 ジャックはいろいろツッコミを入れたくなったが、下手に言えば剣呑な雰囲気になりそうだったので、言葉に甘えて膝の上に頭をのせてみる。


 なかなか寝心地がよかったので、数分ほどでジャックは意識を沈めた・・・・。



 寝ているジャックの寝顔を見つめながら、馬車の中の雰囲気は暖かいものとなっていたのであった・・・。




一方、ロイス。


「シラタマちゃん!!これ食べる?」

「ピヨッ!!」

「「「「可愛い~!!」」」」



 馬車の中で、シラタマが女子たちにお菓子をもらったりして可愛がられていたが、ロイスはほとんどその中に交われずに窓から馬車の外を遠い目で見ているのであった・・・・。








格差とは、このようなものをいうんです。

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