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41話

季節的には7月初めごろ?

適正者となり、学園に入学してからついに3ヶ月が経ってしまった。


「その言い方おかしくないか?やっと経ったじゃないか?」


 ロイスのツッコミは気にしない。





 ジャックたちが適正者となって早3ヶ月が経った。


 この3ヵ月と言う期間が過ぎてから適正者たちはモンスターが出現した際に、それを退治するために出撃させられるようになるのだ。


 いわば、これまでは準備期間。そして、これからが本番なのである!!


 

 ・・・・まあ、肝心のモンスターが出るまではこれまでとは変わらないが。というか、出てこないと仕事にならない。


 適正者はこの世の中に現れるモンスターに唯一対抗できる者たちだが、モンスターが出てこなければ普通に過ごすのである。


 なので、働かないような立場にならないために学園で様々なことも学ぶのである。「働かざるもの食うべからず」という大昔にこの国を建国した初代国王による絶対厳守の鉄則があるというからね。


 初代国王、うまいこと言うよな・・・・。この初代国王、いろいろとやらかしたという逸話が結構各地にあるらしいが。


 モンスターだけ倒してればいいというわけではないからな。


 モンスターとの戦闘で命を落とす可能性もあるので、ジャックは戦いたくはなかったが。




 残り数日ほどで学園は夏休みに入ることとなった。


 今のところモンスターの出現が確認されていないから平和である。


 まあ、夏休み中でも出現したら出撃要請が来るらしいが。


「ジャックは夏休みの予定とかあるのか?」


 女子生徒に人気者になっているシラタマを頭の上にのせてロイスが聞いてきた。


「まあ、あると言えばあるけど実質的な休みは合宿の後だろ?」


 ジャックはそう答えた。



 適正者たちは夏休みの数日間ほどに強化合宿とかいうのを義務付けられている。


 モンスターと戦う際に、夏休みでぼけて死なないようにするのが目的らしい。実際、夏休み中に物凄く生活リズムを崩した適正者がモンスターとの戦闘中に死んだとかいう話があるようだ。



「めんどくさいよなそれ」

「ああ、わかるぜ。夏休みは遊びたいというのによ!!」

「ピヨッ!!」


 ロイスがこぶしを握り締めて言うと、頭の上のシラタマも真似して鳴く。


 ロイスだと暑苦しいけど、シラタマだと可愛いな・・・・。


 ヤタガラスの成長は遅いみたいで、ちょっと細くなっただけのようである。いや、夏の羽毛に生え変わっているだけか?


「一応表彰式のこと話忘れていないですわよね?」


 ルナが話に交じってきた。


「・・・すまん、正直言って少し忘れていた」

「しっかりしてくださいですわ」


 夏休みの後半に決まったらしいが、今ちょっと頭から抜けていた。



 なお、夏休みの間に故郷の山村へ一時的に帰郷するつもりでもある。


 初等部、中等部だった時は、年に一回の帰郷できる期間の時にしか帰郷ができなかった。


 だが、エーラン学園に入学して知ったことだったが、適正者は長期休暇の時ならばいつでも帰郷ができるらしいと知ったのである。


 適正者は国にとってはモンスターを討伐してくれる存在。それなりにはこういう事には優遇してくれるようで・・。



「合宿が終わってからその帝国での表彰式までの間は、俺は故郷に一時的に帰郷して両親の手伝いをする予定なんだよね」

「ジャックの故郷ですか・・・興味ありますわね」

「まあ、なーんもない田舎の山村だけどな」


 ジャック、ロイス、リン、カレンは同じ村出身なので、ついでに一緒に帰郷する予定であった。



 「まあ、わたくしもいったん帰国する予定でしたが・・・ジャック、ちょっと気になるので一緒に行ってもいいかしら?」


 ルナが何やら気になる目線で見てきた。


「うーん、本当に何にもないようなとこだけどいいのか?」

「大丈夫ですわ。帝国のような都市だけでなく、そういった田舎も見て見たいですもの」


まあ、その言葉は建前であったが。ルナの本心としては、ジャックと居たいというような乙女心があったのである。


「・・・そういえば、夏休み中は学園長の訓練もなかったんだっけな」

「ええ、なんでも親戚とか友人の結婚式とかに連日招待されてなさるようで・・・」

「結構きついから助かるよなぁ」


 ジャック、ルナ、ロイスの三人は学園長の訓練を受けさせられていたので物凄く救われたような気持になった。


 当の学園長としては、未婚の自分への当てつけかと叫びたい心境だったようだが。


「なになにー?なんお話をしているのよ」

「お前には関係ねぇよ、夏休み中にその断崖ぜっ」


 リンたちが話に交じろうとした時に、ロイスがまた学習能力がないようなことを言ったのでリンがメイスを振りかぶった。


 シラタマが慌てて防御魔法をかけたようで、ロイスの顔面に何やら防壁のようなものが出現する。


 だが・・・


ゴキャッツ!!


「はぐわっつ!?」


ズドン!!


 あくまで顔面しか守ってなかったようで、リンはそれを見越していたらしくメイスは陽動だったらしく、本命の男の急所への蹴り上げがきれいに決まる。


 そのままロイスは上に打ち上げられ、シラタマが防御して天井に突き刺さることはなかったものの、そのまま落下してきれいに倒れ込んだ。


 そのままロイスは血反吐を吐いたかのような感じで動かなくなった・・・・。



 シラタマが慌てて回復魔法をかけているようである。



「うわぁ・・・容赦ないよな」

「ふんっ!!シラタマ、そいつはほっとけば復活するから治療する必要はないわよ!!」


(((((いや、そこはさすがにロイスでも復活は難しいんじゃないだろうか・・・・・?)))))


 その光景を見ていた他の男子生徒たちの心に皆そう思い、同情したのであった。


 しかし・・・シラタマの守りは結構堅いのに、その隙をついて攻撃するとはリン、恐ろしい子・・・。


「で、なんの話をしていたのよ?」

「あー、夏休みのことで」


 とりあえず、口からあぶく吐いて倒れているロイスは気にしないことにした。


 会話していたことを話す。


「ふーん、ルナも私たちの出身地に行ってみるつもりなのね?」

「ええ、気になるですもの」


 リン、カレンはルナがジャックに好意を抱いているのを知っているので面白そうだなと思った。


 だが、中々進展しないのがどことなくもどかしい。


 ついでに、シロとクロもマスターであるジャックに対しては好意を抱いてはいるが、マスターが結婚したい相手となら別にいいという考えでもあるのでその辺は寛容である。


 そもそも、聖剣・魔剣であった二人は勇者と魔王によく迫っていたという記録はある。


 しかし、昔に比べて戻ってきたとは言えども力はだいぶ失われているので、そこまで積極的になれていないというのもあった。


 とにもかくにも、合宿が終わったら一緒に行ってみようということが決まったのであった・・・・。

合宿、帰郷、帝国での表彰式・・・・予定はかなりつまっているようである。

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