表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/344

39話

シラタマのサイズとしては今のところセキセイインコサイズぐらい。

(この世界での設定では)成鳥の普通のヤタガラスだと皇帝ペンギンぐらいのサイズになるらしい。

・・・・育つのにどれだけかかるんだろう。

 シラタマが孵化して数日、すでに学園のアイドルとなっていた。


「ピヨピヨ!!」

「「「「可愛いぃぃぃぃぃぃ!!」」」」


 クラスの女子に囲まれているシラタマ。


 パタパタと一生懸命に羽ばたいている姿が人気を呼んだらしい。


 そして、その飼い主のロイスはと言うと・・・・・。


「はあっ・・・」

「・・・大丈夫かロイス?」

「んなわけねぇだろ・・・・」


 机にうつ伏していた。




 シラタマは防御と回復役に優れていた。


 大剣を扱うロイスとしては、一振りの間にできる隙をシラタマが補ってくれるようになって物凄く助かったのだが・・・。


「コンビネーションを磨くために、私の訓練を受けましょう」


 学園長の訓練に加えられてしまったのである。


 しかも、肝心のシラタマに関しては学校中の女子一同が「シラタマちゃんに攻撃を当てるのは許されない!!」とかいう理由で、訓練中はロイスから離れて女子一同に預けられることになった。


「厳しい訓練とはいえ、ジャックと二人きりでもあったのに・・」

「なんか言ったか?」

「いいえ!!なんでもないですわ!!」


 ルナの言動に疑問は抱いたものの、とりあえず学園長の訓練の厳しさがロイスにも向いた分、軽くなったから良しとしよう。



 そして、シラタマは女子たちにモテているが、その親であるロイスは見向きもされなかった。おまけ扱いである。


 なので、男子一同に慰められるようになったようだ・・・・。


「なんで野郎に慰められるんだよ!!」


 泣き叫ぶロイス。


「ピー、ピヨ、ピヨピヨ」


 そんなロイスを慰めるかのように、シラタマがモフモフとした羽毛の身体でスリスリとほおずりした。


「ううっ、わかってくれるのはシラタマおまえだけだーーー!!」


 ロイスがシラタマを抱きしめる。


 見ていて美しい光景のような、どこか哀れな光景のような・・・・・。


 まあ、シラタマの姿は学園外でも人気になったらしくグッズ化などが進められているらしい。


 もし適正者として生きていけなくなったらシラタマグッズの印税とかで生活していきそうだよな・・・。


 ジャックは少しロイスの将来が不安になったのであった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 その夜、どこかの街のとある集会場にフードを深々と被った集団が再び集合していた。


「で、今のところはどうだ」

「現状、魔剣所持者は少しづつ実力が向上してきているようですが、今のところ誰とも接触をしていないようです」

「ふむ、勇者派のほうでもそうとうなやんでいるようだな」

「魔王様だと思いたいのですがね」


 ジャックについての報告と、あることについての議論のために彼らは集まっているのだ。


「一応、こちら側につかせるための工作員の選定と教育は進んでいるのですが、実行するには早くとも学園の夏休みが空けたごろかと」

「やはり時間がかかるか・・・」


 物事はそう簡単には進まないものである。まあ、仕方がない。


「学園では夏休みの間に、学園長はどうやら30件ほどの友人の結婚式の招待を受けているらしくて、その間は学園は留守になるようです」

「・・・流石に消したい相手ではあるが、なんか同情したくなるな」


 学園長は未婚である。年齢も3桁ほどらしく、結婚相手を探しているような感じなのに、その友人の結婚式を30件も招待されるとは・・・・。さすがに気の毒にこの場にいた者たちは思った。


 なお、この中の半数は既婚者であるらしい。



「学園を留守にしている間に、国外にてモンスターを討伐していた適正者の何人かが首都の防衛などにつくようです。あと、この夏休みの期間前半にて適正者の合宿が海の方で行われるらしいです」

「海か・・・」


 海にもモンスターは出現する。


 だが、陸上などとは違って一部を除けばそこまで危険なものがいないらしい。


 その理由については海中には人や魔族が進出しないため、世界の方としてはその分を陸の方のモンスターに回しているのだろうという説が唱えられているのである。


「・・・そうだ、この際確かめてみた方が良いかもしれんな」

「確かめる?」

「ああ、聖剣・魔剣がどれだけの力があるのかということをだな」

「力が失われているようですが・・・」

「聖剣の方はどうでもいい。憎き勇者の持っていた剣だからな。だが、魔剣の方が重要だ」


 どうしたら確かめられるのか。


「モンスターを仕向けようにも、あれは我々の手にも負えない生命体ですし・・・」

「海にもともといるやつを何とか誘導すればいいんじゃないか?」

「あー、いるよな確かとびきりのが」

「そいつを使うか」

「・・・そういえば、その白くてふわふわした物はなんだ?」

「ああ、何やら今人気になっている『シラタマ』とかいう名前のモンスターのぬいぐるみです。枕にも使えて」

「お、あっしも持っているでやんす。そろそろ発売のために試供品として一部が持っている品でやんすよ」

「えー、いいなぁ」




 同じような議論は、正反対な別の集団の方でも行われているのであった・・・・。


シラタマの人気はすごく、シラタマグッズができて売れたことによりロイスには金が入ったが、本人としては物凄く複雑な気分となっているようで預金しているという。


「・・・なんかね、子供に養ってもらっている親のような感じがして」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ