36話
卵の移動方法
1:跳ねて移動
2:ロイスの頭に乗って移動
3:転がって移動
それからさらに数日後・・・・。
ロイスの頭の上の卵の大きさには変化が見られないようだが、その下にずっといるロイスには何か変化しているようなのがわかるらしい。
「だんだんとだけどさ、重心が下の方に移動している感じなんだよな・・」
どうやら中身は下の方にたまっているようである。
「つまり、中身の上の方は空っぽと言う事ですの?」
「いや、そういう感じでもなくて・・・言い方がわからんな」
ロイスの頭の上の卵はちょっとした有名人(卵?)になってきていた。
休日、街を歩けば「卵男」と言うあだ名まで付いているのであった。
で、肝心の卵はたまにロイスの頭の上から移動してどこかに収まろうとしていたりする。
リンの胸の方に行って、ガツンと音がした時にはリンの形相が怖ろしいことになって、卵の方もなんか青ざめたような感じになっていた。
生まれる前から恐怖を味わったんだな・・・・。
ジャックは卵の方に同情を覚えた・・・・。
卵はその後、いろいろな人ので試したようである。
シロの頭の上とか、カレンとクロの胸の上、ルナの縦ロールの隙間、学園長の頭の上、ゴリアン教官の筋肉の腕・・・
だが、結局ロイスの頭の上に落ち着いたようである。
「結局、親には勝てないか・・・・」
「誰が親だ!?」
だが、その言葉を否定するものは誰もいない。ちょっと悔しいと思う面々はいるが。
「卵の父親になっているようですわね」
「ここまでモンスターの卵が行動するのは興味深いことなのじゃ」
「勇者様だって見たことがないですしね・・」
「ロイスが父親みたいな感じ」
「「「「「そうだよな」」」」」
全会一致である。
「彼女すらいないのにもう一児の父親扱い!?」
「だってなぁ・・」
「最近では卵の方を気にかけているようだし」
「汗かいた後は卵の方も吹いてあげているし」
「世話焼きをしていますものね」
「斬れぬのは悔しいが、その代わり卵の方を気にしてはおるようだし」
「ロイス=卵の父親という話を聞きますしね」
もはや反論の余地なし。
「まあ、家族が増えたようなものだしいいじゃん」
ジャックがそういうと、ロイスの頭の上の卵も「そうだよ!!」と言わんばかりに跳ねていた。
「そういえば、いつまでも卵と言うのもあれだし名前をそろそろ付けてあげればいいんじゃないか?」
「なんのモンスターなのかもわかっていないのにか?」
「だって、いい加減そろそろ決めないと」
「『卵男』で定着しちゃうよ」
卵の人気はあるようで、「たまちゃん」とか「玉之助」、「たまごろう」、「タマリン」なんて様々なあだ名があふれかえってしまっていたのである。
その中で、現状一番多いのはロイスとセットで「卵男」と言うあだ名であった。
「名前というモノは一生を左右する。しっかり決めて置かないと後悔するよ」
「と言うわけで、学園中の適正者たちと先生方に候補を考えてもらったわよ」
「いつのまに!?」
「総合計数六千四百二十七つ」
「多くないか!?」
物凄い多い数だが、それだけこの卵の名前に関しては皆考えてくれたのである。
「この中からたった一つだけ、その卵の名前となる」
「卵に選ばせればいいんじゃない?」
と言うわけで、学園長に許可をいただいてロイスの意思は無視して卵の名前を決めることにした。
「卵には自分で歩いてもらって、その中の一つを選んでもらいます」
「俺の意見は!?」
「ロイスのセンスから危険だと判断し、そのためダメです」
「ひどっ!?」
とにもかくにも、卵の名前探しが始まる。
候補として出た名前を書かれた紙の上を歩き、気に入ったものの上に載ってもらうというモノだ。
卵は賢いらしく、意気揚々と選び始めた。跳ねながら一枚一枚確かめていく。
30分後、、ついに決めたようであった。
「卵が自身で選んだ名前は・・・・『シラタマ』か」
「シラタマ・・・でいいのかよ」
ロイスが卵に効くと、うんうんとうなずくような仕草をした。
「それじゃ、シラタマに決定!!」
しかし・・・本当になんの卵だろう・・・・?
卵の様子:少しづつ中身ができてきているみたい!!孵化するまでもう少しかな?
シラタマ・・・なんかイメージがこれになった。
卵の中身はなんのモンスターかな?(*一応コメントでもありましたけど、ドラゴンではないことだけは一応ネタバレですがお伝えしておきます。そもそも、卵の本当の親モンスターは適正者に殺されている可能性があるからね。ドラゴンはこの世界だと一部を除き脅威レベルなんですよ。・・・倒せている学園長って・・・・)
 




