35話
卵、卵、何卵?
この章は卵の章となるけど、書いているうちになんか卵料理が食べたくなった・・・。
森林での訓練から数日後、不思議な卵は今日もロイスの頭の上を陣取っていた。
「重くないか?」
「いや、軽いんだけど・・・こいつ全く離れてくれなくてさ」
頭を洗う時とかは離れるそうだが、それ以外は四六時中ずっとこの状態らしい。
午前の授業中にはその頭が邪魔だからと席を後ろの方にされたようである。
昼になり、食堂で昼食をとるときにもロイスの頭の上にいた。
「なんかもう、体の一部と化しているな」
「しっくりし始めてきた自分が怖い・・・」
「なーんで、ロイスの頭の上にくっついたのかな?」
「鳥の巣みたいな頭でもないのに」
「こうしてみると、座っているように見えますわね・・・」
ロイスの頭の上の卵は、訓練の時は動く。
「でりゃっせいや!!」
模擬戦中、ハリセンの武器の適正者がロイスの攻撃しようとするが・・・・。
ばしっつ!!
「あー、またや!!なんでその卵いちいち防御してくるんや!!」
「そんなん俺に言われてもわからねぇよ!!」
ロイスに攻撃が来るときに、卵がすべて受け止めてしまうのだ。
しかも、カラが全くひび割れないという物凄い頑丈さである。
ルナのガントレットや、ジャックの聖剣・魔剣、リンのメイスなどでも傷一つつかない無敵の卵であった。
「あー、もう!!私でも斬れないなんてなんて頑丈なんですか!!」
「妾たちの力が全盛期のころならば簡単に切り裂けるというのにじゃ!!」
「いや斬り割いたらダメだろ!!」
勇者と魔王の二人が使っていたころよりも、シロとクロの聖剣・魔剣としての力は落ちているらしい。
長年使われなかったことにより、いわばブランクがあるようなものだそうだ。
使用しているうちに徐々に取り戻せるらしいが、今のところまだまだらしい。
魔力を一気に流し込めば、一時的にフルパワーになれるようだがやり方がわからないしな・・・・。
ともかく、剣として斬れないものが出たせいで聖剣・魔剣としての誇りが傷つけられたようである。
卵が防御して以来、シロとクロの二人は卵に対してライバル視をし始めているようであった。
その日の授業と訓練が終わり、学園長の訓練を受けた後、疲れをいやすために寮の男湯に入ったときにロイスが入っていたが、卵はその頭の上に乗ったままであった。
「ゆで卵にならんか?」
「どうやらコイツ、ゆで上がりそうになると水を浴びに行くようなんだよな・・・」
ちゃっかりタオルをのせているあたり、賢い卵のようである。
「それにしても、いったいなんの卵なんだろうか?」
「森の中にあったしな・・・わからん」
シロとクロの二人もわからないようだし、学園長にも聞いてみたが似たような例は数件ほどしかないから正確なことはわからないらしい。
というか、過去にも数件似たようなことがあったのか・・・・。
その数件の事例によると、生まれてくるモンスターは人を襲わず孵化させた人に懐くんだとか。
ただ、本当に何が生まれるかはわからないので、今は見守るしかないのであった・・・・。
卵の様子:まだ孵化するまでには時間がかかりそうだ。
ちょっと面白くなってきたかも。どんなモンスターが生まれるかな?




