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33話

森の中だと、適正者の武器によっては制限がかかる。

ジャックたちは森を抜けるために進んでいた。


「森の中央の開けた場所に着けばいいらしいけど」

「なかなか見えませんわね・・・」


木々を切り倒して進みたいが、利用して進めというしな・・・。


「くへっ!大剣が引っかかるぜ」

「ロイスの大剣がいちいち引っかかるのがうっとおしいわね」

「腰にさすと、前後に刺さるし」


進む中で、ロイスが一番苦労しているようである。


ロイスの武器は体より大きめな大剣。狭い森の中だと引っかかりやすいようであった。


ジャックの武器の聖剣・魔剣は長剣だが、シロとクロが人の姿の状態になったので引っかかることもない。


リンの武器はメイス、カレンの武器は拳銃、ルナの武器はガントレットとそれぞれ手元に持てるので邪魔にはならなかった。


狭い森の中ならこの三人が猛威をふるえるだろう。


つまるところ、ロイスが足手まといと化しているのであった。


「なんかモンスターでも出てこいや‼︎大義名分としてこのあたり一帯を歩きやすくするために切り開いてやる‼︎」

「流石にバカでしょ」

「大義名分を知っているのが驚き」

「切り開こうにも、満足に振り廻せぬじゃろ」

「大剣がかわいそうですよ」

「なんで適正者なんですの?」

「かはっ⁉︎」


女性陣からの言葉の刃に、ロイスは血反吐を吐いたかのように倒れた。


だが、すぐ復活した。ホントこいつゾンビみたいなやつだよなぁ。






茶番は置いておいて、先へ進んだ。


地図で見ると、あと30分ほどで到達できそうだ。


「だいぶ進めたな」

「どこぞの誰かさんのせいで遅くなったけどね」

「熊が出た時に斬りかかろうとして、枝に引っかかって使い物になるませんでしたね」

「ジャックがシロとクロで熊の首を切り落としてくれたのは良かったですわ」


途中、でっかい普通の熊に襲われた。


ロイスが斬りかかろうとしたら、ふっとい枝に引っかかって大剣を振りかぶれなくて危うく熊にやられかけたのである。


慌てて、リンがメイスでロイスを吹っ飛ばして距離をとらせ、カレンが熊の目を潰す。



その間にルナがガントレットでボディーブローを熊にかまし、ジャックが素早く聖剣で、熊の振りかぶろうとしていた前足を切り倒して、魔剣ですぐに首を切り落として助かったのである。


見事な連携がとれたのであった。


「よし、血が取れた」

「血がべったりつきましたからねぇ」

「剣の姿の時についたままだと妾たちの衣服にも血が付くからのぅ」


どうやら剣の状態が、シロとクロが人の姿をとった時に影響を及ぼすそうだ。

だけど、人の姿の時に衣服を変えても剣の姿になったら剣の姿が変わらない。


いまいちわかりにくい関係であった。



まあ、血はしっかり拭いた。シロとクロが嫌がるからな。倒した熊?体中をさばいて小分けにしてそれぞれ持ったよ。万が一にための食料用にね。


ただ、生だと長持ちするわけがないのでちょっと工夫した。


金属同士がぶつかり合う時に出る火花を元にして火を起こし、肉を焼いたのである。


ロイスの大剣がここで役にたった。でかいので鉄板代わりにちょうど良かったのだ。


・・・武器として間違った使い方をしているようだが、まあいいか。




「あと少し進めば目的地だ」

「他の人たちでついている人はいるんですかね?」

「まあ、うまいこと何もなければいるじゃろう」


シロとクロが再度人の姿をとった時であった。



「あいたぁぁっ⁉︎」


後方でロイスが転んだ。


「何やっているのよロイス?」

「何かにつまずいたんだが・・・なんだこりゃ?」


ロイスが足元から拾い上げたのは、頭ほどの大きさのある卵のような形をした物体だった。


「なんだこれ?卵?」

「鶏以上の大きさね」

「卵焼き何個分作れるかな?」

「鶏にはむりですわね」

「大きいですよね」

「ふむ、モンスターの卵かもしれんのぅ」


クロのその発言に全員固まった。



モンスターは世界から産まれる生物。だが、繁殖したりするのは知られていた。


「も、モンスターの卵かよこれ?」


ロイスがガクブル震えながら卵をそっと置いた。


数日前から森のモンスターは退治されているはずだが、どうやらこの卵は死角にあったようで無事だったようである。


「なんのかまではわからんが、まあ大丈夫じゃろ。モンスターの卵は自ら孵化するから親に温めてもらう必要はないはずじゃと本で読んだのじゃ」

「なんの本?」

「『モンスターですが?』というやつじゃ」


たしか、モンスターについて調べられている本である。作者は適正者で、研究者でもあるので自ら調べたモンスターについて記したものらしい。適正者たちに役に立つので、一人一冊毎月購入しているのだ。


お値段もお手軽で、モンスターをより詳しく知れるからなかなかいい本であるのだ。


クロがどうやら気に入ったらしく、たまに読みふけっていたからなぁ。


「信ぴょう性は高い本だから、大丈夫か」

「この卵どうすればいいんだ?」

「ほっておいてもモンスターが産まれるのじゃが・・・」


産まれる前に命を奪うのは、いくらモンスターでもかわいそうになった。


「見なかったことにして、ここに置いていこう。産まれたとしても、他の適正者たちが倒すだろうし・・・」


全員それで納得した。


危険なやつが産まれたとしても、まあ卵を見つけたロイスの責任でという暗黙の了解があったが。



卵をその場に置き、ジャックたちは先へと進んでいくのであった・・・。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ジャックたちがその場から去って10分ほど経ち、卵はそこに鎮座していた。



「グルルルゥ・・・」


と、卵の近くに先ほどジャックたちが倒した熊とは別の熊が現れた。


熊は卵の存在に気がついた。


卵は栄養価が高いのでかなりのご馳走だ。


「グルルン!」


熊はご機嫌な様子で卵の中身を出すために、前足を卵に振り下ろした。


バシッ


「グルル・・・グルルウ?」


振り下ろしたのだが、感触がない。


みると、卵はそこから消えていた。


「グルゥ?」


いきなり消えた卵に驚き、熊が辺りを見渡そうと首をキョロキョロ動かしたときであった。


「グルゥ、グル、グルルルゥン⁉︎」


熊の頭に突然なにかが真上から落ちてきて、そのまま熊の頭を押しつぶした。


押しつぶしてきたのは・・・先ほど消えた卵であった。


素早く熊の前足を避けた後、上に飛んでタイミングを狙っていたようである。


哀れな熊は、頭の打ちどころが悪かったのだろうか?何にやられたのかも理解できぬまま、あっという間に死に絶えたのであった。



熊の頭から卵が降りる。


辺りを見渡すかのようにキョロキョロ動いた後、卵は跳ねながらその場を去った。


ジャックたちが向かった方向へ向かって・・・。








熊をも倒す卵が出現。その卵はジャックたちが向かった方向へ進んでいった。

敵なのか味方なのか?一体なんの卵なのか?

次回へ続く‼︎


なんとなく99○の次回予告の曲とかかけたくなる。

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