32話
月日の経過としては、まあ進行具合から決めていく感じ。
初夏の少し前ぐらいかな?
入学してから2ヶ月、学園長の日々厳しい訓練を放課後に受けながらも、ジャックは学園生活を過ごしていた。
一月半前のデュラハン以降、首都内にモンスターが侵入することは今のところない様である。
ただ、学園長との訓練にルナが加わったということが変化であろうか。
「あー、学園長の訓練厳しすぎるよ・・・」
「体感してみると骨身にしみますわよね・・・」
「ルナさん、疲れたなら俺に寄りかかっても」
「あんたの場合、大剣を背負っているから危ないでしょ」
「大剣バカ」
昼食時、学園の食堂でいつものメンバーでジャックたちは固まっていた。
なお、ルナ親衛隊とやらはロイスがこうして普通に混れていることから内部崩壊して解散したらしい。所詮アホの集団だったのか・・・。
ジャックとルナは互いに学園長の訓練を受けていたので何かと一緒なことが多くなっていたが、ジャック本人は気にはしなかった。
「にしても、あと1ヶ月で3ヶ月たつことになってモンスター退治に狩り出されるようになるのか・・・」
「時がたつのは早いですわよね・・・そういえば、ジャック、帝国からの手紙が届いているはずですわ」
「ああ、表彰のやつだろ?」
首都内にデュラハンが侵入し、ルナが殺されかけたところを助けたとかいう功績を表彰すると帝国からの連絡があった。
ただ、この時期は何かと忙しかったらしく、また学生なのを考慮して表彰式を行うのは夏休みに入ってからのようであった。
「流石に夏休みの間は学園長の訓練は止めておくようだけど、3ヶ月たっているからモンスターがでたら狩り出されるだろうしな・・・」
「モンスターはいつ何時どのようなものが出現するかはわかりませんからね・・・」
長年、出現傾向を調査してだいたいこの季節にはこの種のモンスターが出やすいとかはわかるようになってきたらしいが、今年はその予測が外れやすいらしい。
「またデュラハン相手だったらきついな」
トラウマものである。
まあ、命を失いかけたら誰だって嫌だろうけど。
「でも、適正者だから高い給与はでるじゃん」
「命は金よりも重いんだよ・・・」
ロイスの気楽な発言にジャックはため息をついた。
もし死にかけるようなことがあったらこいつを身代わりにでもしてやろうかとジャックは思ったのであった。
「さぁって‼︎諸君らが適正者としての訓練を受け始めて2ヶ月となる‼︎」
午後の訓練の時間となり、ゴリアン教官が相変わらず意味不明なマッスルポーズをとりながら叫ぶ。
今、ジャックたち36名の適正者たちはいつもとは違って首都近くにある森の前に集合していた。移動は学園の馬車で全員まとめてであった。
「今までの訓練は戦闘重視のものだったがぁ‼︎今回からはこの森でも訓練を行う‼︎」
モンスターが出現するのは陸・海・空どこにでもある。
さらに、戦闘する時の状況もいつも同じとは限らない。
そのため、適正者になって訓練を受けて2ヶ月たった頃には基礎がそろそろ出来てくるので、これからはこうやって移動した先で訓練を行うそうである。
「今回の森での訓練は素早い移動だ‼︎ただし、木々を切り倒して進むのではなく、利用してこの森の中間にある切りひらけた場所まで移動せよ‼︎なお、行方不明者の捜索は明後日から行う‼︎」
行方不明者って・・・まあ、大体大丈夫であろう。
今回の訓練のために、数日前から先輩適正者の方々が森の中にモンスターがいないか調べ、いたら討伐をしているので危険性は少ないだろう。
ただ、モンスターが出てくるのはいつ何時かまではわからないので、遭遇したら逃げろと指示を受けた。
「ちなみに、何人かで組んでも一人で挑んでもいいとする‼︎」
というわけでジャックたちはいつものメンバーで組んだ。
ジャック、ロイス、リン、カレン、ルナの5人である。シロとクロは剣の状態なので人数には数えなかった。
「それじゃあ、行きますか」
「俺についてこーい‼︎」
「ロイスについてくと遭難しそうよね」
「信頼ゼロ」
「地図を見ながらしっかりいきましょう」
ロイスの信頼性は地の底らしいとジャックは学んだのであった。
(まあ、納得出来るけど)
親友でもあるが、納得できてしまうジャックであった。
なお、森の中のモンスターに関しては退治してあるらしいが、モンスターではない野生動物に関しては放置である。
危険性は適正者にとっては
モンスター〉野生動物(熊とか虎)
みたいな感じ。一般人はどっちも危険だけどね。




