閑話 ロイス&リンのある日常
本編完結しているけど、こうやってたまに閑話を出すのも楽しい事である。
・・・俺の名前はロイス=ボン。
大剣の適正者であり、最近貴族になり学園での美女たちとも結婚したジャックの親友である。
俺は学園を卒業し、あの昔からの暴虐ペタン、
ゴスッツ!!
「ぐべぇっつ!?」
「・・・・・何を言おうとしているのよこのバカが!!」
考えただけで悟られたようで、ロイスはリンのメイスによって地面にたたきつけられた。
「まったく、今は戦闘中でしょうが!!何を考えていたのよ!!」
「その戦闘中に味方を撲殺する奴がいるか!!」
「「「「復活早っ!?」」」」
ロイスとリンの口論を見て、まずロイスの復活の速さに周囲の他の適正者たちは驚く。
現在、ロイスたちが就職したとある地方の山奥にてモンスターが出現し、近くにいたロイスたちは適正者の役目として戦闘を仕掛けていたのであった。
交戦しているのは、「グランドエミュー」と呼ばれる大型の鳥のモンスターであり、見た目はダチョウだがその大きさは家一軒分ほどのサイズの相手であった。
その脚力は踏み出すたびに地面が砕け、蹴られた者は重傷となる凶悪な強さである。
また、くちばしからの鋭い突きは何もかも突き刺してしまうほどであり、そのうえ素早いので厄介な相手であった。
それが今回4羽出現し、なんとか応戦しているのである。
くちばしからの攻撃には大剣で防ぎ、蹴りに対しては避けるか受け流す。
学園にいたころはジャックやその他適正者の目立ちがあったが、一応ロイスはこれでもかなりの実力者であるため、難なく対処可能であった。
「ミュワァァァァア!!」
と、余りにも回避されてうざかったのか、グランドエミューたちから怒りの声が上がる。
ただ、そんなことはどうでもよく、この日は特に犠牲もなく全滅させることができた。
「ふぅ、あの旗から具を抜いて戸を立てやつからの方がダメージあったな」
「ん?・・・・旗=フラッグ-グ+ト=・・・・・・フラット=平・・・分かりにくいうえにこの期に及んでまだいうかこのバカぁぁぁ!!」
「あげべしぃっつ!?」
ロイスのつぶやきに理解して、リンはこの日あと3回はロイスを叩き潰した。
いくら叩き潰そうとも磨り潰そうとも、ロイスは頑丈すぎてそう簡単には死なない。
それでも、何とかロイスのその嫌味なのかふざけているのかわからない自身への言葉を修正してやろうと、リンは思うのであった。
ちなみに、ロイスにとっての我が子の様なシラタマは現在、彼らの就職先にてマスコットという役に着任し、ちゃっかり給料を受け取っていた。
その金は自身の親の様なロイスのために使ってもいたが、最近ではとある鳥とカップルになって、その為の巣作りの資金の貯金もしているようである。
「あいたたた・・・・がっつり今日もぼこぼこだったな・・・」
やっとこさっとこ復活した後、翌日ロイスは休暇を取って適当に街を歩いていた。
「カァァ、クワァァ?」
「ん?なんでそんな目に遭うのが分かっているのにリンのコンプレックスでいじるかって?」
横を低空飛行しながらついてきたシラタマにそんなような感じに受け取れる質問を聞き、ロイスはしばし考えた。
「そうだな・・・単純に面白いからというのがあるかな?」
毎回ひどい目に遭うし、たまに綺麗なお花畑が見えたり、川の向こう岸にあの世へ逝った祖父の姿を見ることがあるが・・・それでもロイスはなぜかリンにちょっかいをかけてしまう。
「その理由は俺だってよくわからんよ。でも、こうやって凸凹コンビを組みながら話せるのがもう体に染みついた習慣かな?ま、リンは出ているところがないけ、」
「毎回懲りん男かこいつはぁぁぁぁ!!」
そう返事をロイスがしようとしたとたん、背後からリンの怒声が飛んできた。
地獄耳だなと思いつつ、ロイスが振り返ると・・・・
「今日こそは徹底的にしてあげるわよぉぉぉぉ!!」
「ちょっ!?さすがのそれは俺も死ぬってば!!」
リンが猛ダッシュで近づいてきていたのだが、よく見るといつものメイス以外に包丁やらフライパン、ナイフにフォークと言ったご家庭にもあるような調理器具を装備して、ロイスに投げつけてきた。
串刺しや切り刻まれる未来が見えて、慌ててロイスはその場からの逃亡を図る。
「安心しなさい!!復活する前に今度は溶鉱炉にでも投げ込んであげるからね!!」
「いやそれ完全に殺害予告だろ!!」
ロイスが逃げ、リンがメイスを振り回しながら逃げる光景。
・・・・後に、「逃げる下っ端、追いかけるまな板の鬼神」としてその地方の名物光景となるのだが、それはまた別のお話。
なお、その「まな板」と言った人にはもれなくリンからのお仕置きが飛んできて、中にはわざとその渦中へと巻き込まれようとする人たちが出たとか出なかったとか。
・・・ちなみに、ロイスとリンがいる地方では劇的にまな板の販売が儲かったそうな。
後世に、まな板の販売時の口上が「見てください!!あの有名まな板鬼神のような美しいほどの○○(平面など)なこの一品!」と言われるようになったのもこれが元とされている。




