エピローグ
・・・・今日一気に投稿してしまいましたが、少々都合などもあり、今回にて最終回です。
あ、本日5話目です。
・・・・それからどれだけの年月が経過したのだろうか。
ジャックたちがいた世界とはまた異なる世界、神々が住む世界にとある魂がその神の前に置かれていた。
かつては勇者、魔王の二人の魂でもあり、混ぜ合わさって生まれた一つの魂。
命を終え、再びその神の目の前に現れて、その状態を見て神は微笑んだ。
別々の魂同士が混ざり合ったものだが、今ではもう新たなまったく別の魂として完全に変わっており、その輝きはこれまで以上に強い。
試練とも言えるほどの辛さも、修羅場も潜り抜け、そこを癒すかのようにどれだけの愛がはぐくまれたのだろうかと、考えるだけでも神は楽しく思えた。
『・・・再び、この世界に生まれ変わってみるか?』
神は魂にそう問いかけると、その魂はうなずいた。
再び転生し、生まれ変わるにしても長い年月が経つだろう。
それでも、戻りたいと思えるほどその世界を好み、成長したのだと神は思えた。
そして、昔のように、またその魂を同じ世界へと送り出すのであった・・・・・・・
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「・・・いよいよ本日は水晶の儀ですネ」
・・・季節は春、ある晴れた日に屋敷にてシーラは外を見てつぶやいた。
今日はいよいよ水晶の儀の日であり、自身が長年お仕えするラルゼ家の子息が受ける日なのである。
メイドとして長い間稼働し続けているのだが、きちんとメンテナンスもしており、修理ができるようにされているため、魔王城で待ち続けていた時代に比べるとまだまだ稼働可能であった。
「スカーレットは無事にあの子を送り届けることができたでしょうカ・・・・」
「・・・できているだろうよ。彼女も、自分の息子のように彼を思っているのだし、何が何でも絶対に無事に水晶の儀が行われる会場につくだろう」
「おや、メゾン。久し振りに起きてますネ」
ぽつりとつぶやいたシーラの言葉に、いつの間にかそばに立っていたメゾンが返答した。
メゾンは神剣であり、かつてはジャックの武器としてその傍らにいた。
けれども、その出自は他の適正者が使うような武器とも違うせいか、なぜか聖剣・魔剣ともにこの世から消えることなく、この世界にとどまっていたのである。
とはいえ、主亡き神剣としてのその力失われているようで、もはやモンスターを傷つけるほどの力もない。
けれども、こうしてラルゼ家の大切な神剣として保管されており、かつて対魔勇団を率いていた時のノウハウを活かし、相談役としてもこの家でその座を君臨していたのであった。
シーラ、スカーレットと並ぶ、かつてこのラルゼ家の始まりにいた数少ない者としても、その地位はゆるぎなく、たまに現当主の子息に勉学を教える役目についているのだ。
「でもまぁ、もしかしたらだけど、我の勘だと・・・・あの子息は間違いないかもしれないな」
「ふふふ、適正者の武器であった貴女の言葉なら信じられそうですネ」
そう互にほほえみを交わらせ、水晶の儀の結果を待つのであった・・・・・
「早いってスカーレット!!危うく激突しかけたじゃん!!」
「アハハハ!!デモ無事デス!!」
「いや死にかけたからね!?」
水晶の儀の会場にて、怒っている少年とその横で笑っている女性の姿があった。
少年は普通の人間のようだが、笑っている女性は頭に角と、美しく深紅に燃えるような鱗を纏った尻尾と、翼を持っており、彼女が人間ではないのがすぐに見て取れた。
とはいっても魔族でもなく、彼女はモンスターである。
その名はスカーレット。元は火炎竜であり、本来ならば適正者に討伐されるような者なのだが、彼女はいろいろと分け合って、今ではラルゼ家の守護を担当する聖獣のような扱いになっていたのであった。
そして今日は、そのラルゼ家の子息をこの水晶の儀の会場へ連れていくために飛んで運んでいたのだが、ついうっかりで危うく立ちそびえる建物に激突しかけて危機一髪だったのであった。
・・・・本人は、開き直っているけど、彼女によって運ばれていた少年にとっては命の危機だったから、そりゃ激怒もするのである。
笑いながら、スカーレットは水晶の儀が行われる会場にその少年が入っていくのを優しく、我が子を見るような目で見送り届けた。
スカーレットはかつてジャックに仕えていたが、結局子を成すこともなく、こうしてその子孫を見守る立場に着いたのである。
長い長い年月を過ごしてきているとはいえ、まだまだ寿命はあり、最期まで自分が大好きだった主の子孫たちを見守っていこうと、彼女は心に深く誓っているのであった。
この後、シーラとメゾンに激怒されるだろうから、どうやってやり過ごそうかと悩むことになるのだが・・・。
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・・・・本日、水晶の儀が行われる。
少年は、水晶に触れて、適正者か否かを判断する儀式の様子を見て、緊張していた。
かつて、今彼がいるラルゼ家の先祖であるジャック=ラルゼという人物は適正者であり、その功績は素晴らしい者だったと彼は昔からいるというシーラやメゾン、スカーレットからその話を聞いていた。
けど、素晴らしい功績を持つ代わりに、どうも何かしらのトラブルを引き寄せてしまうようで、激動の人生だったそうである。
でも、彼は愛する者たちに囲まれ幸せだったという。
今日も危うい目に遭わせられたとはいえ、スカーレットからもまたその話を聞いていた。
「・・・今コウシテスゴセルノモ、ジャック、彼ノオカゲ。大好キナ人ダッタヨ」と毎回いうが・・・それでも、その顔を見ればどれだけ好いていたのかも子供心ながら少年は理解していた。
そのジャックの武器でもあった神剣メゾン、彼女に聞いても同じような回答が帰って来た。
でも、適正者の武器は本来、その適正者の死後はこの世から消えて、生まれ変わった時に水晶の儀にてまた顕現すると言う不思議な武器。
なのに、そのジャックの神剣でもあったメゾンはなぜ消えなかったのかと少年は尋ねたことがあった。
・・・帰ってきた返答としては、「我が仕えると決めたのは、後にも先にもあの御方だけ。聖剣や魔剣、その他の武器のように主が生まれ変わっても、その魂を見て選んで顕現できるだろうが・・・・我は、出来ないとも思えたのだ」
一度、粉々になってくだけ、ジャックの武器として再顕現したことがメゾンにはある。
でも、もう一度同じように・・・・とは、いかない可能性の方が大きく、しかも普通の適正者の武器と出自が違うせいか、聖剣・魔剣のように、後を追ってこの世から消えることができなかったようである。
そして、神剣としての力も失われ、飾られる剣としていまは相談役としても余生を過ごしているのだという。
・・・話を思い出していると、水晶の儀で水晶に触れる順番が少年へと回ってきた。
この水晶の儀にて、適正者と判断されれば身体能力が常人よりも向上し、モンスターを倒せる自分だけの武器が顕現するのだという。
そして、かつての適正者の生まれ変わりだとすれば、その武器が顕現するのだとか。
何も変わりのないただの人だと反応はない。
けれども、少年はこの日、なんとなく予感はしていた。
「では、次は・・・・・・=ラルゼ、ラルゼ家の子か」
「はい!」
名前を呼ばれ、水晶の前に少年が立つ。
ラルゼ家というところで、周囲もその少年に視線をあつめた。
歴史上でも有名な一族であり、その功績は後世に伝わっている。
その一族の子が水晶の儀を受けるのは、皆にとっても興味がわくのだ。
視線を集めながらも、少年はおそるおそる水晶に触れる。
・・・・触れた瞬間だった。
ピキッ・・・ピキキキキキキキ・・・・パリィィィン!!
物凄く水晶が輝いたかと思うと、あっという間に砕け散った。
「なっ・・・・・!?」
その現象に周囲は驚くが、当の本人である少年も驚く。
そして、その水晶があった場所に白い光と黒光の玉が出て、少年の足元につき、はじけ飛んだ。
中から出てきたのは、それぞれ美しき剣。
片方は、全体が薄く光るオーラに包まれ、装飾が光のように真っ直ぐ清廉潔白さを纏い、どこか威厳を感じさせた剣。
片方は、全体が薄く黒いオーラに包まれ、装飾は闇のように惹かせるような妖艶さを纏い、威厳を感じさせた剣。
どちらも圧倒的な存在感を漂わせ、明らかに普通ではないという存在を周囲に焼き付けた。
そして、その瞬間にその場にいた全員は何の武器なのか理解する。
その剣の持ち主に選ばれた少年も、また同様に理解した。
少年の先祖が使用していた剣でもあり、さらに大昔には勇者と魔王が所持していたという・・・聖剣と魔剣。
剣に選ばれ、適正者となった少年は周囲の騒然さを聞きながら、思わずつぶやく。
「聖剣と魔剣に選ばれてしまった俺はどうしたらいいのだろうか? 」
これから起きるであろう、先祖と同じような波乱万丈な人生を考えて、苦笑いを少年は浮かべたのであった・・・・・・。
・・・・to be continue?
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・・・都合というか、ネタ的な意味合いもあります。
書いていた当初の頃よりも、作品に面白みが欠けてきたように感じられ、終焉を数日前に決意したのです。
どうせ終わってしまうのならば、一気に読者に読んでもらおうかと思いまして、このように投稿を早くしてしまったことを、お詫び申し上げます。
そして、今回まで長い間・・・・ご愛読いただき、本当にありがとうございました!!
ジャックのその後の生活や、他のキャラたちのその後などは、完全不定期にてたまに掲載する予定ですので、毎日ではなくなりますが、どうぞお楽しみいただけたらいいなと思います。
最期に、大事なことだから2回も言いますが、この物語の登場人物一同、ご愛読いただいた読者には感謝の言葉を述べます。
『本当に、ありがとうございました!!』




