294話
・・・あ、このペースは。
本日4話目
・・・・学園卒業から数カ月後、ジャックは領地経営を行う貴族としても、モンスターの討伐に励む適正者としても忙しい日々を送ることになった。
王国と帝国の国境の境目・・・・・それぞれの領地から統合されて、新たに地域名がジャック=ラルゼの名前からとって、ラルゼ地方として知れ渡り、その話を聞いたジャックが3日ほど周知の事実となったこの地方名に羞恥して、もだえまくったという話もあった。
何しろ自分の名前が使用されるというのは、それはそれで結構恥ずかしいようにジャックは感じ取れたからである。
ルナたちからのフォローが入らなければ、おそらくあと1ヶ月は引きこもっていた自信がジャックにはあった。
最初、この地方を治め始めたときには目が回るほど忙しい仕事が続き、領地の開発や、改革などを進め、ようやく落ち着いてきた今日、ラルゼ地方ではとある一大イベントが行われようとしていた。
そのイベントには、わざわざ国王や、レント皇帝と言った国の重要人物から、ジャックの故郷でもある山村からの村人たちなどと、これまで世話になった人たちが招待されて、集まってにぎやかになっていた。
あてもなく旅をしている人物もいるので、その人にどう招待すべきかも悩まれたが、話しをかぎつけて、招待をする前にやってきた人物もいるぐらいである。
また、王国や帝国にとっても重要な事でもあり、両国にとってもめでたい事であった。
「・・・・あー、やばいな。かつてないほどの緊張だよこれ」
控室にて、ジャックは緊張してうろうろしていた。
そう、本日行われるのはジャックの結婚式であり、本当ならば控えめに行おうかと考えていたところだったのに、あれよあれよと周囲に流されて、なぜかここまで盛大なものになってしまったのである。
その裏には、せっかくの人生の晴れ舞台だからと、主を思って・・・は建前で、半分面白がっていたメイドゴーレムが居たりもした。
「大丈夫ですってマスター!落ち着いて手に人を3000回ほど書いて舐めればいいはずです!!」
「いやシロよ、お主も相当緊張しておらぬか?3000000回じゃったはず」
「・・・二剣とも緊張している。正確には3回です」
「あ、メゾンは大丈夫なのか」
腰に帯刀している聖剣、魔剣、神剣・・・・・シロとクロ、メゾンもどうやら緊張しているようだが、一番メゾンが冷静そうであった。
「式の邪魔者も排除しているし、これで何かがあれば・・・・血祭りにでも」
「想った以上に冷静じゃなかった!?」
思った以上に、メゾンも緊張しているようである。
ジャックの武器とは言え、その主の緊張がどうやら剣にまで伝わっているようであった。
・・・時間が経ち、ジャックたちの結婚式の時間となる。
花婿はジャック一人。
そして、花嫁は・・・・・
「・・・・では、婚姻を結んだあと、名前をルナ=ラルゼ、カレン=ラルゼ、ミツ=ラルゼ、ヨナ=ラルゼ、ラン=ラルゼ、アンド=ラルゼという事になるが、誓えるのか」
「「「「「「誓えます」」」」」」
・・・・・アンド学園長、いや今は「元」である。
彼女は本来愛人のような立場と本人が言っていたが、ここで正式に妻の座へとなるのをジャックとの話し合いで決めたのである。
学園長の役職を速攻で後任に譲り、今はただ一人のアンドとして、そしてジャックと結ばれることを安堵は決めた。
ルナとランはそれぞれ結婚後も皇族・王族の一員なのは変わりない。
そのため、子供ができた場合、その子供に王位や帝位の継承権があるのでそのあたりの問題はこの先起きる可能性があるだろう。
でも、そのような問題があろうとも、彼女たちはジャックと共にいるのなら乗り越えられると信じている。
・・・・・そして式が進み、ジャックたちは互に誓いの口づけを行い、今日晴れて正式に皆が結ばれることになった。
よく晴れた青空の下、皆に祝福されながら互いにうれし、喜び合い、結婚式は終わっていく。
これからも起きるであろう面倒ごとがジャックは予感できていたが、皆が一緒ならば乗り越えられる。
そう空を眺め、ジャックは思うのであった・・・・・・・・・・・
波乱万丈な人生を送ってきたジャック。
結ばれはしたが、これからまだまだ面倒ごとがあるのだと考えると気が重い。
けれども、幸せな人生は必ずあると信じ、彼は未来へと歩んでいく・・・・
次回、エピローグへ。
・・・・最終回は本日17時掲載予定。最後まで、どうぞご愛読くださいませ。




