289話
ちょっと短め?
SIDEジャック一同
「ここがその温泉旅館か・・・・」
会議などが終わって数日後、ジャックたちは王城を離れ、とある温泉旅館へと訪れていた。
貴族や王族などと言った位の高い者たち御用達だという、この今の時期人気である「異界旅館」という温泉旅館である。
まるで異界のような珍しい珍味や、不思議な効能をもった源泉が湧き出るという事で、物珍しいものが好きな者たちにとっても一度は訪れてみたいという場所であった。
「そんな有名旅館を貸し切りって・・・・王族ってすごいと改めて思えるよ」
「ジャックは大抵権力に関しては興味がなさそうですものね」
「ルナもそもそも皇族でしょ」
「考えてみれば、このメンバー自体相当な権力を持っているですのん・・・」
第3皇女、第2王女、あと適正者を育成する学園の学園長・・・・権力的に見れば、実は結構高い。
ついでに、ジャックの貴族位となる子爵も、それなりにはある。
そのため、権力的に考えれば高い方ではあるのだが・・・・・・メンバー全員、特にそう言った権力欲とかもなく、余り顕示されないのであった。
なお、もちろん国の重要な人物たちの集まる場所でもあるため、異界旅館の警備も相当しっかりされているらしい。
なので、滅多なことでは賊とかが来るわけもないし、そもそも適正者複数、王国ナンバー3、1並の強さを持つ者、あとドラゴン(少女の姿)と過剰戦力がいるので余計にろくでもないことをしようとする奴は近づけないのである。
・・・夏の帝国までの道のりの時に、すでにどれだけ過剰なのかという自覚は、帝国向かった組には実感済みであった。
旅館の内部に入ると、内装は和風と言われるジポン形式に近く、どことなくミツが故郷のような感じがして懐かしいのか、皆以上にうれしそうな顔をしていてジャックは思わずくすりと笑った。
「思った以上に立派なところだなぁ・・・・まあ、王族とかが使うなら当たり前か」
「おおお!!畳ぜよ!!障子ぜよ!!ふすまぜよ!!これぞ旅館という感じぜよ!!」
「ミツのテンションがいつも以上に高い・・・・・!!」
「キラキラしているわねぇ。でもわかる感じがするわ」
そして肝心の温泉だったが、効能はすでに案内された時に知らされていた。
「効能は・・・腰痛、リウマチ、骨折なとど、温泉内の各源泉によってばらばらか」
「聴力向上、味覚向上、味音痴解消・・・・浸かるのに口の中にまで効果があるのかしら?」
「湯によってはさらに筋力増強、目力上昇・・・・・目力?」
「睨む力が強くなるとかじゃないですかのん。ほら、気迫とかでぐわっとにらみつける力ですのん」
「それに本当に効能があるのぜよか・・・・?この脚力向上ってやつのほうが現実的ぜよな」
「髪の艶のもあるわね・・・これは良いわ」
「普通のと、普通じゃないので分かれているという印象で良いのでしょうかね」
「ネェネェ、子宝成就二精力増強ッテナーニ?」
「「「「「「・・・・・・・」」」」」」
スカーレットのあどけない純粋な質問に、その場にいた女性陣全員がぐるっとスカーレットが示した効能効果を凝視した。
その素早い動きに、ジャックもびくっとビビったほどである。
なお、シロ、クロ、メゾンは剣の姿でいたのだが、会話内容が会話内容なので黙っていた。
「なるほど・・・・こういうのもそりゃあるですわね」
「流石というか異界温泉なだけある」
「効能も摩訶不思議ですのん」
「温泉って、こういうのだったぜよかな?まあ、これはこれで・・・・」
「ふふん、面白そうなのもあるのね」
「これが目的でもあったりね・・・・」
「ン?結局何ナノ?」
女性陣が、つぶやく中、スカーレットは意味を教えて見ら得ないことに不満があるようだったが、なんとなく漏れ出ているその不気味な気配にジャックは思わず後ずさりした。
(あ、これ確実に後でやばい奴だ・・・・)
温泉に暖まりに来たはずが、背筋に何か寒いものが通ったような気がしたジャックであった・・・・・。
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SIDEシーラ
「・・・・魔王様も利用していた時期があったですネ」
ジャックたちが泊まる旅館の部屋にて、シーラは皆の荷物の整理をしていた。
快適な小旅行のためにジャックの荷物を整理整頓し、またご主人様の交際相手は自身の主の共にする相手と理解しているのである。
そんな中、シーラはなんとなくこの異界旅館についての記憶も思い出していた。
実はこの異界旅館、この地にあるのは何代目かの旅館であるのだが、かなり大昔から存在するとも言われる超老舗旅館でもあるのだ。
一番最初の旅館は源泉が枯れた故に、様々な温泉が湧き出る各地に分かれて、様々な異界旅館ができているというもこともシーラは知っていた。
ただ、時折噂としては本当に異界・・・この世ではないところなどにも店舗が構えられているという話もあり、謎が多い旅館でもあるのだ。
まあ、かつて勇者と魔王がいた時代にも、この地ではない別の場所に旅館があり、人間と魔族の争いの中で療養のために使用された施設でも同様のものがあった。
・・・・あの時、旅館の効能の中には「未来の幸せ」というものがあったという記憶もシーラは覚えていた。
当時、魔王が浸かった時もあったが・・・・・その時は結局叶っていなかった。
でも、未来・・・つまり、自分が死んで生まれ変わった時も指し示すのではないだろうかという予測もあった。
そして、今こうして愛する者たちに囲まれているという幸せを、ようやくその効能が効いたのではないかともシーラは思えた。
なんにせよ、不思議な縁で再び当時と違うとはいえ、同じような温泉旅館に来たこの運命をシーラは面白いようにも感じ取るのであった・・・・・・・。
ちなみに、事前に調べた情報ではもう一つ、ここは一応男湯と女湯に分かれてはいるのだが・・・・・・
其の情報を思い出し、面白そうかもしれないと考えてシーラは黙っているのだった。
たまには自身の仕える主にいたずらを仕掛けたい。そんな思考回路も備えられているのである。
次回、サービス回。どのあたりまでがセーフなのかはいまいちはっきりしないけど、まあ出来るだけ健全にいたします。
そして読者の皆様には大体予想がつくでしょう。小説の主人公でなおかつこうやって女性に囲まれる機会がある場合に起きるのは・・・・・・・・
・・・でも、よく考えたらこの場にリンが居なくてよかったような気がする。温泉入浴して周囲の人達を見たらほぼ確実にぶちっと。




