273話
鼻のひどさゆえに、昨日の投稿はできなかった。
すいません。毎日投稿ってわけでもないですが、それでも謝ります。
SIDE王子たち
・・・・すぐに帰国したかのように見えた、バルビモル王国の3人の王子たち。
だが、実はすぐには帰国せずに帝国から出てすぐのところにあった宿屋にて3人とも宿泊していた。
理由は単純明快、「ミヤゲをどうにかして自分たちのお嫁に欲しい」という理由が存在したからである。
このまま国に帰っても、また見合い話などが押し寄せ、自分たちに嫁がせようとする者たちの欲望の目を受けることになるのはわかっている。
ミヤゲを欲したのは、彼女が全くそういう権力などに興味がなく、力強く、惹かれたというのが3人の共通の思いであった。
しかし、帝国へ向かってみれば、ミヤゲはジャックという噂にも聞いたことがある適正者の婚約者になっているという話を告げられた。
けれどもこの王子たち、実はそう馬鹿でもない。あまりにも急な話のようなので、嘘である可能性を考えていたのだ。
だが、そうだとしてもミヤゲ自身が結婚を拒んでいる。
「そう!!この僕の燃え盛るような美しさに目も当てられないのだろうからね!!」
「いや!!この我の黄金のごとき輝きに目がくらんでいるのだろう!!それ故に他を正常に見られないに違いない!!」
「なんの!!この私の深い海のような青さに、照れ隠しで沈んでいるのだろう!!」
「「「絶対お前は違うだろ!!」」」
それぞれが同時に叫び、ツッコミを入れ合う。
その声を聴き、外の方で護衛している従者たちはため息を吐きながらも、自分たちの髪やまつ毛の手入れをしていた。
「しかし、どうにかして彼女と結婚したいというのは全員同じ思いなのだな」
「ああ、本当ならば我が独占したいのだが・・・」
「しれっと言うな!!けれど、確かに独占したくなるのもわかる」
うんうん、と互いにうなずき合い、そのことを確認しあう王子たち。
「ここは僕らは一旦手を組んで、何とか彼女を僕らにもらえるように画策しないだろうか?」
「そうだな、こちらに惹かれさえすればゆっくりと彼女に決めてもらえる時間ができる」
「うむ、ここは一時同盟を組むのだ!」
普段は互いの美しさとかで言い争ったりするが、こういう時だけは仲がいい王子たちは、互いに同盟を組んでなんとかしてミヤゲを自分たちのお嫁にもらおうと画策し始める。
婚約をしているようだが、それをぶち壊して目を覚まさせるようにすれば自分たちに惹かれるのは間違いないと思って。
「しかし、どうすればいいのだろうか?悪漢どもを雇って襲撃させ、そこでさっそうと登場して・・・は無理か」
「それ我らがやられているやつでしょ。しかも彼女自身がそんじょそこらの悪漢にやられないでしょ」
それは王子たちの目で自らそのミヤゲの強さを見ているから言えることであった。
「そもそも、そんなことをすれば帝国のお怒りを買ってバルビモル王国に攻め込まれるだろ」
すごくまっとうな意見が出た。
「だが・・・他にどのような手段を用いることが出来ようか。この美しさを魅せる程度しか思いつかない」
「いや、圧倒させるこの輝き、存在感、美貌しか取り柄がないからな」
「ああ、美しきは罪かな」
・・・・それぞれ互いにああでもない、こうでもないと話し合う王子たち。その合間に自分たちがいかに美しくすぐれているのかいう、自画自賛なナルシストっぷりもこれでもかというほど見せつけ合う。
その様子を見て、こっそりその場を去った者が居たことに誰も気がつく者はいなかった。
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SIDEシーラ&皇帝直属諜報部隊
「・・・・なんでしょうカ、あのある意味キモイ者達」
「それは同意するぞ・・・うおぇっぷ」
顔を青ざめさせて、メイドゴーレムであるシーラと、皇帝から命令を受けて見張っていた諜報部隊の男の一人が、同意しつつも吐き気を互いに催していた。
メイドゴーレムであるシーラの方はそう言うのはないはずだが、なんとなく嫌な気持ちである。
・・・なぜ、シーラと諜報部隊が一緒にいたのか。
それは、目的が同じだったうえに、シーラの方から話しかけて、互いに共同でということにしたのである。
だが、互いに王子たちのナルシストっぷりを見て、気分を悪くしたのであった。
「こ、これでは陛下に報告する前に・・・うぇぇぇ」
「わかります、あの気持ち悪いナルシストっぷりはわかりマス」
けれども、互いの主から王子たちの動向を念のために探るように言われているため、ここは我慢しあうしかなかったのであった。
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SIDEギアス城:風呂場(男湯)
「にしても、一応シーラに探ってもらうように言っといたけど大丈夫かな・・・・」
ギアス城内の風呂場にて、湯に浸かりながらジャックは考えていた。
ナルシストというのは、自分大好きな人たちのようなイメージはある。
つまり、自分たちがどのようなものか妄想する力が本当にとんでもないほどあるという事でもあるのだ。
そのため、今回の仮婚約者の話を聞いたとしても、自分たちに都合のいいように考える可能性があり、それを皇帝と話し合ってある程度の対策を立てておくべきだという結論を出していた。
そこでレント皇帝は諜報部隊を、ジャックはシーラを、それぞれ王子たちの動向を探るために向かわせたのであった。
「にしても、ルナ大丈夫かな?あっちにお姉さん入っているよね・・・」
防音にされているらしい女湯の方を見て、ジャックはミヤゲの餌食になっているであろうルナを心配するのであった。
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SIDEギアス城:風呂場(女湯)
「ふぅ、妹のこの柔肌はやっぱりたまらないですよ」
「ミヤゲ姉様、背中を洗う振りして前の方をわしづかみにするのはやめてもらえません?」
「つかめと言っている気がするのよ!!」
「言ってもないし言われてもいませんって!!」
女湯の方では、ミヤゲにルナが案の定襲われていた。
「はふぅ、やっぱ風呂は良いですよね・・・・こうやって人の姿になって入るのもまたいいですよ」
「ううむ、あの様子面白いのぅ」
「・・・マスターの命令も特にないので、我らが助ける意味もない」
シロとクロとメゾンは人の姿になって湯に浸かって、その光景をのんびりと見ていた。
というか、ミヤゲに関わり合いたくないというのが3剣の共通認識である。
「ルナも大変ですね・・・でも私の姉がああいう人じゃなくて良かったわ」
「結婚したら、ジャックの義姉になるわよ」
「はっ!?・・・そこはちょっと嫌です」
同じく風呂に一緒に入っているラン王女と、アンド学園長はその光景を見つつ話す。
「でも、今回の仮婚約はまだいいですよ。あの人がジャックの妻になるわけではないですからね」
「ええ・・・けれども、ある事に警戒したいのよね」
ラン王女のその言葉に、アンド学園長は同意しつつも警戒の顔色を魅せる。
「ある事?なんでしょうか?」
「いやね、ミヤゲさんはルナさん大好き人間なのはもう十分理解しているわよね?」
「はい、いやというほど・・・・というか、目の前の光景を見ていればすぐに」
体を洗い、セクハラまがいの状態になってもルナにへばりついているミヤゲを見て、どういう人なのかは十分すぎるほどラン王女は理解していた。
「でも、彼女は放浪癖があって一か所にずっとい続けることができず、それ故になかなか一緒に居続けられないし、ジャックがルナさんと結婚したらその分さらに会いにくくなるはずよ。領地をもらうのは決定しているわけだし、そこを考えるとさらにね」
・・・・卒業後、ジャックは貴族としての生活もすることになる。
領地経営、適正者としてのモンスター討伐、社交辞令その他もろもろと言ったことが多くなる。
そうなれば当然、その妻たちの方も一緒になって忙しく働くわけで、ルナも時間をとることが少なくなる。
つまり、ミヤゲが適当に会いに来ても会えない場合が多くなるのだ。
「そこで、その会えない機会がいつになるのか詳細に知るために、彼女はどのような行動をとる可能性が大きくなると思う?」
「えっと・・・行動を知るには一緒の立場に立って・・・・・・あ」
アンド学園長のその問いかけに、ラン王女は考えてすぐに何を意味するか気がついた。
「・・・そのことに、ミヤゲさんが気がつく可能性はゼロではない。そこを警戒しましょう」
「ええ、妻がこれ以上増えたら、私たちの方にも相手をしてもらえる時間が減りますからね」
ぐっと気合を入れてこぶしを握るラン王女。
「いやぁぁぁぁぁ!!姉様いい加減やめてほしいですわぁぁぁ!!」
「ふぉぉぉぉぉぉお!!」
その一方で、ルナとミヤゲの争いは激化してた。
・・・・数分後に、余りのうるささにちょっとイラついたメゾンが、何処からか持ってきたハリセンでおとなしくさせるのであった。
「いい加減にしてください。あっちにマスターも入ってますし、皆の迷惑ですよ」
「「はい・・・」」
メゾン、その行動基準はマスターであるジャックの為のみであった。
ナルシスト三人組の王子たちの考える企み。
それを聞き、何とか阻止しようと考える者達。
一方で、ラン王女は学園長の話で気がついたそのことを、ミヤゲに気がつかれないように奮闘し始める。
次回に続く!!
・・・鼻水を自動でどこかに転送して、いつでもスッキリなそういう発明が欲しい。頭がぼうっとするわ、痛くなるわ、鼻もかみすぎていたくなるわ、目が痒いわ・・・・さんざんですよ。




