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28話

まだ実力的には勝てない状況。

「た、体力がもうねぇ・・・」

「マスター、お水です」

「もうちょっとで学園じゃぞ」


 デュラハンにやられかけていたルナを救出し、全速力で背中にルナを背負って逃げたのは良かったが、さすがに人を背中に背負ったまま全速力で逃げるの無理あったので、ジャックは学園に着く前にスタミナ切れしていた。


 そのため、いったん物陰に隠れて休憩をしていた。


 シロがどこからか取り出してきた水を飲み、のどの渇きを癒す。周囲の警戒はクロたちに任せているので今のところ大丈夫なようである。


「ジャック、ごめんですわ・・・。そこまで疲れさせてしまって」

「いや、何とか命があるだけで十分だよ」


 ルナの方は、思ったよりも外傷はないものの、たたきつけられたときのダメージが体に残っているらしく、まだ満足に動けないようであった。


 そして、ジャックの方も体力が回復するまではまともに動けないぐらい疲れている。


「ロイスのやつも来ていると思うんだが・・・・あいつら何処まで行った」


 まさか、別の戦闘に巻き込まれていないよな・・・・ロイスはもう不死身かよって言いたくなるぐらいしぶといけど、他の人は大丈夫だろうか。


「とにかく、学園まであと少しです!!」

「何とか避難できれば、後はほかの適正者たちが勝手にやってくれるであろうからな」


 戦闘があった場所から離れているとはいっても、いまだに少し戦闘音が聞こえる。


 魔法が派手に出ているところは学園長あたりがやっているのだろうか?


「今回いるのは15体ほどだったな・・・普通より多いという感じらしいけど・・・」


 普通、デュラハンは4~5体ほどの群れらしい。


 今回は5体は首都外で討伐されたとして、それを含めると20体ほどが出現したことになる。


「モンスターの出現は非常にあやふやじゃ。何体しか出ないというのは実は明確にわかっていないんじゃよ」


 クロはそう説明してくれた。


「だけど、この様子なら避難し終えるころには殲滅できているかな・・・?」


 音を聞く限り、収まってきたように思える。


「マスター、体力を回復させて早く避難しましょう」

「ま、それが一番いいかのぅ。(わらわ)達がいるとはいえ、マスターのいまの状態じゃ確実に殺されるのはわかるからのぅ」

「否定ができないな・・・」


 聖剣・魔剣は確かに強力な武器らしい。


 だが、長い年月使われていなかったせいで現在かなり力が落ちているらしい。徐々に戻るようだが、完全ではないのが現状だ。


 勇者と魔王が使っていた時には、彼らの魔力を流し込まれて一気にフルパワーになれたらしいが、現状魔力とかの扱いもよくわからん。


 魔力は一応生きとし生けるものすべてにあるらしいが、魔法を使うような種族、適正者以外はよくわからないのが現状だ。


 例えで言うならば、自分だとこの計算は理解できているのに、他人がその計算を理解できないといった感じである。



「それに、俺自身も強いってわけじゃないからな・・」


 比較対象が違うような気がするが、さすがに勇者や魔王とか並の強さはそういきなりは無理だろう。魂が混ざっているが同じと言われてはいるのだが、勇者は勇者、魔王は魔王、俺は俺といった具合に別物だ。


 同レベルまでは道のりが遠いだろうし、そこまで強くなれるとも思わない。


 まあ、とにかく死ななければいいんだけどね。


「・・なんとか足が動かせそうだ」

「私たちはこの姿のまま傍らを歩いていますね」

「ガントレットも妾達が持つのじゃ」


 ルナが身に着けていたガントレットをそれぞれに持ってもらい、少しでも軽くして負担を減らした。


クロ達に警戒してもらいながら、とにかく今は確実に学園の方に向かった。


「・・・重くないですの?」

「その質問、返答に困るんだけど・・・」


 ルナにそういわれたが、そういった質問は本気で困る。


 以前、ロイスがリンに体重ネタで吹っ飛ばされたことを見たからな・・・・金属バットだったからきれいな放物線を描いて空を飛んでいったよ。女性に体重の話はタブーだ。




 学園まで警戒しながら進む。ガントレットをシロたちに持ってもらっているから、ちょっと楽だ。


 避難し終えたらルナの治療と、休息をとる必要があるな・・・。



 やっと学園の門が見える位置まで来た。


「あそこまでたどり着けば・・」


 安堵しかけた時だった。


「!?」

「後方より何か来るのじゃ!!」


 シロとクロの両方が何かを感じたらしい。


 後ろを振り返ると、何かがこちらに向かってきていた。


 デュラハンかと思ったが、少し違う。


 鎧の色が先ほどルナを襲ったのとは違い、この距離からでもはっきりわかるほどきれいな赤色だ。


 首なしの馬に乗っておらず、持っている武器がロイスのよりも大きめの血のようなものが付いている大剣である。


「ま、まさか」


 その姿を見たとき、予測が付いた。この状況で遭遇したら一番最悪なモンスターだと。


「『デュラハン・クリムゾン』ですの!?」


 通常のデュラハン以上の強さを持つモンスターだ。


 だが、こんなやつがいるとの情報はなかった。


 おそらくどこかで情報が混線してその情報が伝わっていなかったのだろう。



「全力で逃げるぞ!!」


 命がけで慌てて駆けだす。と言うか、命が本気でなくなる!!


 学園長が必要なレベルだろうが、学園長は現在他のデュラハンを退治中だろう。


 今のこいつの存在に気が付くまで時間がかかるかもしれない。



 全速力で体力を振り絞って走る。


 だが、相手の方が全身鎧なくせに物凄く速く、見る見るうちに距離が縮められた。


「ちぃっ!!」


 このままでは逃げ切れない。


 と、ここでふと思い出した。ルナは先ほど、デュラハンに挑んだ時に薙ぎ払われて吹っ飛んだ。


 ならば・・・。


「シロ!クロ!剣の姿に戻れ!!」

「マスター!?」

「挑むきかのぅ!?」

「いいから早く!!」


 シロとクロの二人を聖剣・魔剣の姿に戻し、それぞれ右手と左手に握る。


「ルナはガントレットをしっかり装着して俺の背中にしがみついていてくれ!!」

「わ、わたくしを背中に担いだまま戦闘する気ですの!?」

「違う!!利用して逃げるんだよ!!」


 そのまま接近してくるデュラハン・クリムゾンに対し、俺はとびかかった。


 案の定、あいては大剣で薙ぎ払ってきた。


 通常のデュラハンよりも強いデュラハン・クリムゾン。


 まともに相手にしたら確実に負ける。


 ならば・・・・


「その薙ぎ払いを利用するまでだ!!」


 わざと(、、、)その薙ぎ払いを受け止める。


 通常のデュラハンよりも力は強いので、薙ぎ払ってくる力も相当のものだ。


 これがただの剣なんかだったら確実に折れて、体に直接ダメージが来る。


 だが、こちらの武器は勇者と魔王が使っていたという聖剣と魔剣だ。


 簡単に折れるモノではない。


 とびかかって受け止めたため、俺の身体は宙に浮いている状態。


 それをデュラハン・クリムゾンは薙ぎ払う。


 すると、俺たちは空中に吹っ飛ばされた。


 飛距離は力が強い分伸びる。


 さらに、吹っ飛ばされる前にちょっと角度調整をした。


 ジャックたちの背後の方には学園がある。


 その手前から吹っ飛ばされるということは・・・・。



「よっしゃ成功!」


 そのまま空中を舞い、学園の校舎が近づいてきた。


 このままでは壁に激突しかねないので、バランスをとり、うまいこと壁に蹴りを当て、受け身をとって地面に着地した。


 吹っ飛ばされた時の衝撃と、地面に着地した衝撃で全身に鈍い痛みが来たものの、デュラハン・クリムゾンとの距離が取れ、さらに学園にたどりついた。


 

 身体全体が痛みを訴えてくるものの、何とか学園の校庭の避難場所まで向かい、やっと皆が避難しているところに満身創痍で俺たちはたどり着いたのであった。


 だが、デュラハン・クリムゾンを倒したわけではない。


 こちらに向かってくる可能性があった。



 しかし、先ほどの方向を見ると空から光の柱が降り注いでおり、どうやら学園長の魔法らしく、断末魔が聞こえることから先ほどのデュラハン・クリムゾンが学園長に倒されたとわかり安堵したのであった。


 気が抜けたのか、その後ジャックとルナは二人そろって気絶したので、慌てて他の人たちが保健室へ二人を運ぶのであった。


 ちなみに、ロイスたちはその後繁華街のがれきの下から見つかった。


 全員生きてはいたが。・・・奇跡的にルナの近くまで行ったが、戦闘の際に飛び交ったがれきにつぶされてそのまま気絶していたためデュラハンたちにも気が付かれることなく発見されるまで無事で入れたらしい。


 悪運の強い奴らだな・・・・・・。






主人公がこうやって逃げているのもまだ実力不足。

次第に力をつけていかないとね。

・・・学園長からの訓練が、今回のことで余計厳しくなりそう。

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