264話
夏と言えば毎度おなじみの事が多いかな。
合宿の時から日が経ち、ジャックたちは本日故郷の山村へと向かって馬車に乗っていた。
ピュターラに在住していたゴーレムたちの行く宛はとりあえず学園内の練習場にて、残っている生徒たちに模擬戦の相手となってもらったり、構内の清掃などと言ったことをしてもらっていた。
王国の方には学園長がうまいこと話しを付けたようで、ゴーレムたちが学園に滞在していても文句はないということまでしっかりと言質などを記録している。
今回の合宿での騒動では軍事国の事もあったのだが、こちらは今のところ表立った動きを見せていない様子だとか。
元々、王国やギアス帝国の方にゴーレムたちを確保出来たら戦争を仕掛ける気だったらしく、万全の態勢で制圧できるように、ピュターラにほとんどの兵士たちを出払っていたようである。
だが、ムースカ大佐とかいう者のせいであっという間に全滅し、今では国力などががくっと下がって、国内ではその動乱が広がって収拾がつかない状態にあるらしい。
「兵士たちの家族たちから慰謝料の請求、ピュターラ制圧のための飛空艇の建造費や軍予算へ重点的な配分など、無理をした様で、国庫金が空になりかけているようデス。重税なども賭けていて、軍事国ゆえに無理な独裁政権状態だったらしく、不満爆発炎上、ズタボロになってもはや国がつぶれるのも時間の問題デス」
「其の情報ってどうやって入手したの?」
「・・・・まあ、色々とデスネ」
ジャックが訪ねると、シーラはにっこりとそう言った。
馬車の中にジャックたちは乗っており、シーラは・・・・歩いているかのように見えるのに、並走している。
馬車は馬車で結構早い速度が出ているはずなのだが・・・・このメイド、謎が多い。というか何者だと言いたくなるレベルである。ゴーレムだけど、それでもこんなこと出来るのだろうか。
「量産できなかったのじゃが、このメイド一体でも一国の軍事レベルはあるようじゃよ」
ぽつりとつぶやくクロの言葉に、皆考えることを止めておくことにした。
深く考えない方が、幸せなような気がして・・・・・。
馬車が進み、村へと入る。
ここで降りて、それぞれの自宅へと皆戻るのだけど・・・・
「あら、案外遅かったわね」
「「「「「「なぜ学園長がここにいるんですか!?」」」」」」
村長の家にいったん全員であいさつに向かうと、ちゃっかりアンド学園長がそこでお茶をすすっていた。
確か、学園を出発したときには学園長も学園に残っていたはずだが・・・・・この人はこの人で、結構謎が深い。
「ふふふふ、私はね今回休暇を取っているのよ」
「休暇ですか・・?」
「ええ、ジャックの家の方に泊めてもらうからよろしくね」
そうにっこりとほほ笑む学園長だけど、ジャックの背後の方ではカレン、ルナが無言の圧力をかけていた。
・・・・前の一件以来、学園長もジャックのそばに居たりするのだが、やはりいろいろと先にやられたせいで全員不機嫌にはなりやすい。
一応、ジャックの交際相手と言うわけではないが・・・・暫定的にはその横に付ける立場についており、そこで女のプライドとしての戦いが起きているようだ。
一触即発の雰囲気になりそうだが、何とかその場は衝突しあうこともなくやり過ごすのであった。
「ご主人様たちの関係って、魔王様の時とどこか似てますヨネ・・・・」
「勇者様の時も似たような空気はありましたよ」
「生まれ変わってもなお、女難に見舞われるとは・・・どういう事じゃろうな」
「・・・こういう展開は読めている」
シーラとシロとクロとメゾンたちが何やらぼそぼそ話していたが、しっかりとジャックの耳には入っていた。
「あ、ついでに経由してきた城からラン王女も一緒よ」
「一応、お父様・・・国王様から一緒にいていいと許可をもらってますので」
学園長の後ろからは、お城からそのまま来たのか、国王に宣言されて嫁がされる予定のラン王女も一緒にその場にいた。
帝国・王国の王女、幼馴染、学園長、剣たち、メイドゴーレム・・・・・考えたら物凄くカオスになりそうな状況で、この夏は平和に過ごせるのだろうかと、ジャックはそう思いながらどこか遠い目をするのであった・・・・・。
・・・よくよく考えたら、一つの村にこれだけの人が集まっていること自体が結構すごい事なのでは。
夏の平和を祈るジャック。
しかし、彼の周りは悲しいことに何かしらの事は起きる。
果たして、夏休み終了までに何とかなるだろうか?
次回に続く!!
・・・そういえば、今回ロイスとリンもいるけどこの二人影が薄いな。
「空気になってたわね・・・」
「俺たちも一応この村出身なのにな・・まな板のせっ
・・・惨劇数秒前。




