閑話 とあるメイドゴーレムのメモリー:前編
ちょっと過去話
いや、かなり大昔の話か?
「よし!!ついに完成したぜひゃっはぁぁぁっつ!!」
・・・・私、というものができたのは何処かごちゃごちゃと物が乱雑に置かれていた部屋のような場所であった。
意識と言うもかどうかはわからないが、自分が何者であるのかは、すでに知っている。
組み込まれたプログラムとやらで情報が流れ込み、一瞬で理解をすることができた。
私はゴーレムであり、メイドとして運用できるようにと人そっくりの・・・・一部製作者の趣味を反映されて、作り上げられた一台のメイドゴーレムであった。
目の前で、まだぼんやりとしながらも稼働し始めた私を見て、製作者・・・ガーマンドル=ライズは・・・
喜びのあまり踊り、
タンスの角に小指をぶつけて悲鳴を上げ、
倒れかける時に足のすねを強打し、
ぶっ倒れたところで金づちが落ちて手の親指に直撃して、
そのまま転がってもだえようとしたところで、ぶっ倒れたときの揺れの影響か棚の上から鉄球が股間に落ちて直撃し、
声が出ないけど物凄く痛そうな悶絶をあげるという、短い間に数多くの芸当をなしとげていた。
あえて言わせてもらおう。ゴーレムの私がツッコミを入れたくなるほど謎の芸人魂とやらをこの人物は持っていると思えた。
・・・・単に物凄く不運な人だともいえる。もしくは阿保なのか。
それから数日ほど、私の動作テストが行われた。
名前はキチンと言われていないが、どうも「魔王様」という人物に私は献上されるらしい。
このままこの場所でメイドの仕事をしても良いのだが、城仕えの方があって居そうだと製作者が言ったためである。
文句としては特にない・・・・・と言いたいが、なぜか「デス」「マス」といった片言部分が出てしまうのはなぜかと問い詰めたい。
けれども私はゴーレムであり、製作者に反抗できない様に・・・・・創られてはいない。
なので、問い詰めてみたのだがはぐらかされる。話が旨いというか、ごまかし上手と言うか・・・・
「なぜ、私を製作したのでしょうカ?」
「それは俺の趣味、ゲフンゲフン、城の方にメイドを置いてやったほうがいいと思ってな」
今趣味と言いませんでしたかねこのダメ男。
そんなこんなあって動作テストがすべて終了し、今日この日、私は魔王城で魔王様に献上されることになった。
・・・・とは言っても、製作者は何を献上するのかを魔王様にはっきりと伝えていないらしい。
私をいったん一時休眠状態させて動きを止め、魔王様に献上する際に動き出させて驚かせるのが目的らしい。
何だろう、まだあったこともないし、出会ってから記録するようにされているせいで魔王様の顔とかが分からないけど、なぜか製作者に対して苦労していそうな気がした。
「さてと、次に目覚める時お前は仕えるべき主・・・魔王様の前に出て初めてその顔を拝見することになる。それまで楽しみにしていろよ」
「了解いたしましタ」
私の機能が停止し、一時休眠状態状態へと移行して意識が薄れていく。
次に目が覚める時、私は魔王様の前に出されている。
果たしていったいどういう人なのかは、まだわからない。
・・・・けれども、なぜだかわくわくするかのような気持ちにあふれていたのであった。
これは、とあるメイドゴーレムが魔王城で働く前のお話。
次回は・・・・・お楽しみにね!!




