1話
1~3話あたりは説明が多いと思う
「あ~、憂鬱だ」
「何が憂鬱なんだよジャック」
アールスライド王国の、国立中等部学園。まもなく、卒業式と同時にある儀式が行われようとしていた。
卒業式の前に、机にうつ伏してやる気がいかにもなさそうなジャックに、その友人のロイスは笑いながら話しかけた。
「だってな・・・あと少しで『水晶の儀』が行われるんだぜ」
「それの何が憂鬱なんだよ?」
理解できないといった表情でロイスは聞いてきた。人が憂鬱なもんは憂鬱なんだが・・・。
水晶の儀は、中等部卒業時に15歳となっている者たちがまとめて行われるものであり、これによってこの後の人生が変わるものでもある。
「だってな・・・これでもし『適正あり』と出たら強制的に『エーラン学園』に強制入学されるんだぞ」
このままジャックが何もなければ、別にこのまま
「『適正者』になるからいいじゃんか。将来が約束されたも同然だし」
「命を落とすかもしれないのにか?」
ジャック=ラルゼは憂鬱な気分であった。
今は魔族も人間も仲がいい世の中である。
しかし、神話時代ともいわれるほど大昔は互いに殺し合って争っていたそうである。
人々を襲うモンスターが出現し、それを魔族が原因だという人間と、人間が原因だという魔族と別れ、世界大戦にまで発展したという。
その中で人々はとある発見をする。
『適正者』と呼ばれる存在である。
とある特殊な水晶に手をかざし、その水晶が輝けば適正ありとみなされ、そのあとにその人専用の武器がもらえるという一種のシステムに似たことの発見であった。
これは15歳を超えた人間、魔族に関係なく現れ、適正者は水晶にかざして輝いた瞬間から常人よりも身体能力が優れ、さらに人智を超えた魔法なども使えるようになるのだ。モンスターにも十分対抗できるようになる。
そして、人間と魔族の適正者の中で最も強大な力を持っていたのは勇者と魔王と呼ばれる存在。
それぞれ聖剣・魔剣と呼ばれる強力な兵器ともいえる愛剣を授かり、互いに何度もぶつかり合った。
そして、ついに決着がつき互いに相打ちとなって死んだそうだ。
ただ、それぞれの聖剣と魔剣はその場から消えていたという。
その後モンスターについての研究が進み、結果としてこの世界が生み出したものだという結論が出た。
つまり、魔族も人間も原因ではなかったという事だ。
そのため、過去それぞれが起こした抗争をなんとかのみ、ついに平和条約を結んだという。
それから互いに歩み寄り、現在はこうしてモンスターの研究が進み、適正者がモンスターを倒すのが最適だという結論が出たというが・・・。
「下手すると命を落とすような職業に俺はつきたくないんだよ。『命大事に』がモットーだからな!これで何とか適正なしになって、それで普通の学園に通って普通の人生を過ごすんだ!!」
「そこまで堂々と言えるおまえがすごいよ・・・」
ジャックの力説にロイスは若干引いた。
適正者は確かに現時点ではモンスターに対抗できる存在だからモンスターが現れたら狩り出され、命を落とすことがある。
だが、それに見合うだけのことがあるのだ。
適正者になれば国から給料のようなものがもらえ、それは普通に仕事に就くよりもはるかに高い金額である。
あと、優遇もされる。
しかし、それで図に乗って適正者以外の人を差別し始めたら即罰則が待っている。下手すると武器を取り上げられ、適正者としての資格をなくすのだ。
適正者は言わば兵器のような存在でもある。例えるなら、街中に爆弾が歩いているようなものなのだ。
そのため、モンスターに対抗できる存在とはいえ、国がしっかり管理をする必要があるのだ。
「そんな管理されるのなんてどこがいいんだよ~」
ジャックははっきりって自由にグダグダしていたかったのであった。
主人公の特徴だけここに
・本名はジャック=ラルゼ
・身長は167㎝ほど
・髪は黒、眼も黒の日本人ぽい感じだが、この世界いろんな色があるよ
・顔立ちは中性的だけど結構整っているよ
・性別は男だよ
・実はモテているんだけど本人には自覚がないよ
・ロイスってのが親友というより悪友。もう少し後の話に幼馴染も登場だよ




