261話
戦闘シーンはちょっと苦手。
「殴るだけの簡単な仕事だけど、これはこれで結構不便だな」
バキャィ!!
ゴスッツ!!
ベキッツ!!
・・・・ジャックたちは現在、ゲトランティウスの兵士たちを襲撃していた。
ただ、クラスメイト達が武器を使って襲撃をしている中、ジャックだけ武器の使用をしていないのである。
ゴーレムたちへの襲撃に対する反撃として動くのは良い。
ここは空なので、バレなければ問題はない。
とはいえ、ジャックの聖剣、魔剣、神剣はそれぞれ輝きを放ち、非常に目立つのですぐに相手がわからないようにするためと学園長に説明されて、そのため現在ただの格闘術で丁寧に兵士たちを気絶に追い込んでいた。
悲鳴を上げる間もなく、俊敏に動いて攻撃できるようになったあたり、だいぶ成長していはいるだろう。
武器を扱う身であるならば、その武器にふさわしいだけの実力も求められる・・・・そう考えて訓練された成果でもあった。
「使用されないのは少し不満ですよね・・」
「まあ、たまにはいいんじゃろうけど」
「・・・徹底的にしておいたほうがいい」
シロ、クロ、メゾンはそれぞれ自身が使用されないことに不満を抱きつつも、それぞれ剣の姿のままで、ジャックに的確な相手の位置を伝えていた。
「でぇいやっつ!!」
「ぐべぇぇぇ!!」
ガントレットで殴られ、兵士の一人が吹っ飛んでいく。
「結構楽ですわね!!」
「油断せずに殲滅したほうがいいですのん!!」
鞭が振るわれて、兵士の首に巻き付き締めあげて、そのまま投げられて他の兵士にぶち当たる。
「一刀両断!!」
「ぎゃぁぁぁっ!!」
みねうちでも、斬られたかのような感覚を味わい気絶する兵士。
「必殺大剣潰し!!」
「剣関係ねぇだろ!!」
大剣の重量でつぶされながらツッコミを入れて気絶していく兵士。
・・・・戦況は、ジャックたちの圧勝状態であった。
そもそも、軍事国の兵士たちはどうやらゴーレム確保用の武装はすれども、適正者の相手をまさか雲の上でするとは想定し切っていなかったようで、一応兵士とはいえ身体能力は適正者に及ばない。
縦横無尽に動ける適正者たちの動きに翻弄され続け、瞬く間に兵士たちが次々とぶち倒されていく。
なお、誰も命を奪うまでの目的はない。
気絶させるだけでも相当な力量であることを思い知らせて、心を折ってしまうというのも目的であるからだ。
・・・ま、中には魔法でたたきのめしたりして目的を忘れかけるような人も、黒歴史を耳元でささやいて精神的に追い詰めるような人がいたが。
相手がすごく悪かったとだけしか言えないのであった。
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SIDEゲルマニック大尉
「くっ!!何だこの襲撃者たちは!!」
ゲルマニック大尉は叫ぶ。
先ほどまでゴーレムたちを捕縛していき、順調だったときにあった幸福感はいずこへ行った。
行き成りの空の上にあるこの都市での襲撃に対して、兵士たちが一人、また一人とぶっ倒れていく状況を見て、悪夢のように思った。
自分たちは先ほどまでかなりいい状況だったはず。
それなのに、突如としてあらわれた正体不明の襲撃者たちに襲われて、今まさに追い詰められようとしていた。
「大変ですゲルマニック大尉!!もう8割ほどが全滅しています!!」
「戦況を見ればわかる!!」
「大変です!!ゴーレムたちを捕縛していた飛空艇が襲撃されて、全機奪われていきます!!」
「あちらでは火の手が!!」
次々と部下たちの戦況報告がされていくが、それでどうにかなるわけではない。
「おのれおのれおのれ!!どうしてこうなっているんだぁぁぁ!!」
ゲルマニック大尉が怒りのあまり叫んだ時であった・・・
『・・・お困りのようだね、ゲルマニック大尉殿』
「この声、ムースカ大佐か!!」
突如として響いてきた声にゲルマニック大尉が叫ぶ。
この戦場から行方知れずになり、何処へ行ったのかわからなかったムースカ大佐の声であるとわかったのである。
だが、声は擦れども姿は見えず、きょろきょろとあたりを見渡す。
『そこに私はいないよ。それよりも、この状況をどうにかして逆転してみたいとは思わないかね』
「思うぞこの野郎!!いい加減貴様も出てきて指揮を取れ!!このままでは軍法会議ものだぞ!!」
腹が立つようなしゃべり方で言うムースカ大佐の声に対して、暴れるゲルマニック大尉。
『はっはっはっはっは!!では、御覧に入れようか!!』
その叫びに呼応するかのように・・・・・・突如ピュターラが震え始めた。
ズズズズズズズズズズズズズズ・・・・・
「うおっつ!!何をする気だ貴様!!」
『ピュターラの真の姿を見せるだけだよゲルマニック大尉殿。・・・・まぁ、その余波で君たちは消えてしまうけどね』
「なんだと!?」
その言葉に、その場にいた全員が絶句した。
『ピュターラの近くにいる者たちはすべて消える。まさに状況としては逆転したようなものだろうねぇ!!』
「あほか!!それは逆転とは言わん!!」
ツッコミを入れつつも、振動がどんどん大きくなっていく。
ピュターラの表面にひびが入り、徐々にくずれていく。
「飛空艇急速発艦せよ!!破片が飛んできてやばいぞ!!」
慌てて艦に戻るように全員に命令し、慌てて兵士たちは飛空艇へとそれぞれ戻る。
襲撃者たちもこの振動が始まってすぐにいなくなったようであり、退却するには今しかないと思えた。
・・・・・まだ何人か残しつつも、急いで飛空艇は飛び立ってピュターラから距離をとる。
生憎ゴーレムたちを捕獲していた飛空艇は襲撃者たちに奪われたらしく、その場にはいない。
「一体何をしたんだあのバカは・・・・・・」
表面がはがれていくかのように崩れるピュターラを見て、ゲルマニック大尉はそうつぶやく。
徐々に表面のすべて取り除かれ・・・・・ピュターラの内部の姿が浮かび上がった。
まるでさかさまにひっくり返ったツボような形をして、頂上には表面の硬質そうな壁に根を喰い込ませている大木がある。
そして、その側面には穴のようなものがいくつも開いていた。
「な・・・・なんだあれは・・・・・!?」
その様子に、艦内にいた全員が目を見張った。
古文書にあったことと言えば、ゴーレムが住まう天空都市。
だが、あのような形態があるとは知らなかったのである。
『・・・あー、聞こえているかね、飛空艇にいる諸君』
「なっつ!?」
いきなり艦内放送でムースカ大佐の声が流れ始めた。
まるで、あの不気味な飛行物体の中から直接放送に割り込んで流しているかのようである。
「ムースカ!!!貴様はいったいどういうつもりだ!!ピュターラはなぜあんなものになった!!」
『頭の回転が悪いですねぇ、大尉殿。このピュターラの王である私に向かってそんな口をきくとはねぇ』
「何を訳の分からないことを言っているんだ!!」
いきなり王と言い出したムースカ大佐に、ゲルマニック大尉は切れる。
『そんな君の頭の悪さには呆れたよ。冥土の土産にコレを味合わせたげるから・・・・一生目の前から消えてくれ』
と、いきなりピュターラだった謎の飛行物体の側面の穴の一つに光が宿り、大尉たちが乗っている飛空艇へと向けて光線が放たれ・・・・・次の瞬間、大尉たちは、その飛空艇に乗っていた者たちは何が起きたのかわからなかった。
知る間もなく、あっという間に意識はなくなった。
・・・・なぜなら、その光線が命中した直後に、大爆発を起こしてしまったのだから・・・・・・・。
突如としてあらわれたピュターラの真の姿とはいったいなんだろうか。
あっという間に軍事国の飛空艇が全滅した中、ジャックたちは何をしているのだろうか。
そして、ムースカ大佐の発言の意味とは!!
次回に続く!!
・・・・なお、ピュターラの真の姿とやらは某波○砲を出す奴の劇場場にあった要塞ゴ○バみたいな感じです。分かる人いるかな?ちょっと天空の城の話に混じった感じになったよ。




