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閑話 甘き聖なる戦い:前編

バレンタインと言うこともあり、特別に作ってみました。

人物関係とか時間軸とかは結構微妙なところにあるので、そこのところは見逃してください。

 この世界にもバレンタインと言う文化はある。


 大昔に、とある適正者がチョコを好きな人に渡す行事を作ってみたらどうかと発案し、以来長い間各国ではその行事が制定されたのである。



 そのため、バレンタインの時期が近づくとチョコの在庫が激減し、値段が上昇していく。


 それでも、好きな人に渡すために買い求めたり、奪い合ったりするという物凄い戦いが繰り広げられるのであった。


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SIDE男性陣


バレンタインまで残り1週間ほどをきった。


 この時期になると、あからさまにクレクレコールをする男子が増え、女子達が見定めるかのような視線を向けていくのがよくわかる。



「こういうバレンタインなんて文化って何で続くのだろうか」

「そりゃだってもらえたらうれしいだろうが!!」


 ジャックがため息をつきながらつぶやいた言葉に、ロイスは答えた。


「チョコがあるからこそ、そこに男の尊厳がかかるってもんだ。というか、毎年多くもらえているお前が文句を言うなよ!!」


 血涙を流すほどまで力説するロイスの言葉に、周囲で聞き耳を立てていた他の男性たちがうんうんと深くうなずいていた。


・・・ジャックは実は隠れてモテている。


 けれども恥ずかしがったりして、表だって示す人がいないのである。


 そのため、バレンタインと言う日はその好意を伝える最善のチャンスでもあり、ジャックは毎年この日になるとチョコの山に埋もれていた。


「いやだってさ・・・チョコの中にはたまにものすごく怖いものがあるんだぞ」

「怖いもの?女子にもらえているだけで物凄くラッキーじゃないか!!」

「あのな、普通のチョコならまだいい。甘いものは別に嫌いではないからな。・・・ただ、チョコの中には食って大丈夫かと言うほどどろっどろのべたっべたになっているものとか、中に髪の毛と爪がぎっしりと詰め込まれていたり、血を固めたようなものを入れられていたり、ひどいものだと小指が入っていたりするものがあるからな」

「「「・・・・」」」



 ジャックの過去の体験談を聞き、周囲で聞いていた全員が黙り、気温が下がった。


 それはチョコではなく、軽いホラーだと全員の意見が一致したのである。



「なんというかその・・・」

「いや本当に・・・」

「それはそれで大変だよな・・・あははは」

「同情するならそれを食べてくれるか?」

「「「お断りいたします」」」


 ジャックの言葉に、男子全員がそう答えたのであった。



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SIDE女性陣


「いよいよバレンタインが近づいてきましたわ!!」


 男性陣が微妙な空気に陥っている一方、女性陣の方は盛り上がっていた。


 それぞれ好きな人宛のチョコを作製するのだが、どのようなものにするのか情報交換をしているのである。


 なお、学園の校則ではバレンタイン当日はチョコの持ち込みは禁止されていない。


 そのため、きちんと手渡しをできるチャンスが多いのであった。




「ルナはどうする?」


 ルナの期限がいいところで、カレンがそう尋ねた。


 その周りにはいつものメンバーのミツ、ヨナもいた。

 

「そうですわね・・・・ジャックにチョコを渡すのですが、味をどうしようかと悩んでいるのですわ」

「形は決めているですのん?」

「ハート形が王道ですわね」

「ふっふっふっふ、拙者は今年変化球をと思い、ジャックあてのチョコは刀風のものにするつもりぜよ」

「刀風って・・・・形がそう言うことで良いの?」

「うむ、ジポン風味にあんこをチョコの中に入れるというのもありかと思っているぜよが・・・」

「それ味は大丈夫なのだろうか・・・?」



 それぞれジャックに渡すということを決めており、後はどのようなチョコにするべきかだけの相談であった。


「ん?そういえば材料とかは大丈夫ですのん?お店とかだと確か買い占められていたような・・・?」

「ヨナ、わたくしが帝国の第3皇女と言う身分なのを忘れていませんかしら?一応すでに試作品用のものまでのチョコは買い占めていますの」

(正直忘れかけていた)

(そういえばそうでしたのんね)

(普段身分をひけらかす機会はないゆえ・・・)


「チョコ?ジャック、渡スト、喜ブ?」


 と、ここでスカーレットが会話に入ってきた。



 モンスターなのでこういった人の行事に疎いところはあるようだが、それでも女の子なのか、そう言う物に興味はあるようだった。


「ええ、バレンタインは好きな人にチョコを送る行事ですの」

「スカーレットもやってみる?」

「ウーン・・・甘イチョコ・・・・・、ジャック、喜ブナラ作ル!!」



 スカーレットは基本的に激辛好き。そのせいか甘いものがどうにも苦手なようである。


 だが、それでもなんとなく挑んでみようかなと思考が直結し、彼女もチョコづくりに関わることにしたのであった。


「激辛、ダメ?」

「いやそれは流石にダメですのん」

「激辛なチョコとはこれいかに」





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SIDE男性陣


「・・・ん?今何かやばい予感がしたような」


 ジャックはふと感じた寒気に体を震わせた。


 命の危機と言うか・・・・そういう感じである。



「やばいって、まさか毒物入りのチョコとかはないだろう」

「・・・そういえば、惚れ薬入りとかいうチョコを渡されたことがマジであったな」

「効果は?」

「ないぞ。試しにロイスに食わせたことがあっただろう?」

「アレかよ!!」

「ついでに、その薬の成分は・・・・・・」


 ロイスに以前食べさせたことがあるチョコで、ロイスがツッコミを入れる中、今このタイミングでジャックはその薬の成分についてロイスに耳打ちをした。


 聞いた瞬間、ロイスはトイレへと直行したという・・・・・・・



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SIDEアンド学園長



「ふふふふふ・・・・バレンタインの時期ね」


 学園内の様子を魔法で見て、アンド学園長はほほえましく思えた。


 今この時期に味わえる青春の甘い瞬間でもあり、一部の者たちにとっては絶望の瞬間でもあろう。



 長い間学園長として見てきたが、今年は特に浮ついていそうな雰囲気であった。



「それに、この時期はモンスターの方も影響されるのかしら?」



 実はこのバレンタインの時期にもモンスターは出てきたりするのだが、なぜかチョコのようなモンスターばかり出現するのである。


 一説では、失敗作として廃棄され続けてきたチョコの怨念と、もらえなかった男性たちの縁さが入り混じって生まれて来たのではないかと言われているほどである。



「・・・・それにしても、チョコを渡す・・・・ね」


 ふとアンド学園長が見たのは、教室内で男子たちと会話をしているジャックの姿である。



 学園長にとってジャックは教え子でもあり、惹かれる人でもある。


 しばらく見つめて、学園長は立ち上がり、チョコの確保へと向かうのであった・・・・・

・・・そういえば、今回シロとクロとメゾンが会話にはいっていなかったけど、何をやっているのでしょうか。

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