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258話

雪が降って寒い

春よ早く来いと思う今日この頃である

SIDE飛空艇:艦内


「ではこれより今回の作戦の最終確認を行う!!」


 飛空艇の内部にある一室にて、今回のピュターラ攻略作戦の最終チェックが行われていた。



 彼らの国で、何年も前に計画されていた物であり、最後まで気を抜かないようにという暗黙の了解が軍内にきちんと浸透しているのである。


 そのあたりを徹底しているあたり、軍の統率力はかなりの物であった。




 チェックを終えた後、今回の総大将であるゲルマニック大尉が全飛空艇に聞こえるように、艦内放送を流し始めた。


「『天空都市ピュターラ』・・・遺跡による古文書から判明し、そこにははるか過去からゴーレムが大量に保存、もしくは現在も稼働を続けているであろう幻の空に浮かぶ天空の都市だ」


「そして、そのゴーレムたちをもしわが軍で利用ができるとすれば、大幅な戦力の強化となるだろう。本来そのようなゴーレムを一台を作製するにも予算もかなりかかるのだが、それを一気に大量に入手できるのである」


「そして、戦闘に向いていないとしてもゴーレムはゴーレム。改造を施せば予算もまあそこそこかかってしまうだろうが、どちらにせよ大量の戦力を確保できることにはかわりはない」



「しかし、問題があるとすればゴーレムが抵抗してきた時である。古文書によると、ゴーレムたちにはある程度の人工知能とやらが組み込まれており、それで作成者たちの指示を理解して、より細かな作業が出来たそうだ」


「そして、外敵に対するプログラムとやらもあるらしい。今回のわが作戦で恐れるとすれば、その外敵に対しての物だ」


「何せ相手はゴーレム。痛みも感じないだろうし、コアを破壊しなければ稼働し続ける」


「だが!!我々には万が一に備えての秘密兵器を用意してあるのだ!!」



「我が国に栄光と発展をもたらすために、気合を入れてなんとしてでも成功させろ!!」


「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」」」



 艦内の人々は鼓舞され、やる気に満ち溢れた。


 この天空都市を手に入れることができれば、国のためになると皆信じて疑わない。




 だが、その大尉の後ろの方にいたムースタカ大佐がにやりと不敵な笑みを浮かべたことに、誰も気がつく者はいなかった・・・・



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


SIDEジャック



「あー・・・星空の明かりと月明りで、うっすらだけど何か見えるな・・・」

「ふむ・・・どこかの国の空飛ぶ船団ね。ああいうのを開発している国があるっているのは聞いたことがあるのだけれども・・・」

「お、あれは『ゲトランティウス軍事国』の旗じゃな」


 ピュターラの大木の頂上にて、ジャックたちは空を飛んで向かってきた船団の姿を捕らえていた。


 全員すでに起床して、それぞれが念のために臨戦態勢を取った状態である。


 まだ睡魔はあるが、それでもこの船団に対して全員が警戒を取っていた。



 そして、その船団の一隻にある国旗を見て、ザバルが国を特定したようである。


「ゲトランティウス軍事国?」

「そうじゃ、儂らがおる大陸とは違う大陸にある一国でな、まあ簡単に言えば軍事国家、つまり軍が政治を行っておる国じゃよ」


 昔は王国とかだったそうだが、クーデターによって王族全員消され、軍が政治を仕切っているという国だとか。



「ギアス帝国とも確か犬猿の仲ですわね。お父様・・・皇帝宛の書簡で物凄く偉ぶった傲慢な手紙を出されたこともあったようですけど、国力は帝国の方がはるかに上なので、むしろちょこっと領土を削ったということがありますわ」


 ルナ曰く、軍事力としては帝国以下であり、弱い犬程よく吠えるみたいに思われているのだとか。


「一応軍事面での発展も最近しておるようじゃが、まさか空を飛ぶ船を開発してくるとはのぅ・・・」


 ザバルとしては、これは予想以上の事のようである。



「しかし、なぜピュターラめがけて飛んできているんだろうか。もうすぐ上陸してきそうだけど・・・」

「目的まではわからぬよ」

「・・・・そういえば、その国についての情報ですが、おかしいようなものがあったことを覚えています」


 と、ここでどうやらメゾンが対魔勇団時代に集めた情報を思い出したようである。


「なにやらどこかを目指すために、軍事予算の一部を特設予算として割り当てていたという話があり、なんでも古文書にあった国を目指すのだとかと言う絵空事のようなことを・・」

「いやそれ結構はっきりしているような」

「古文書にあった場所・・・・つまり、この天空都市を目指していたという事なのか?」



 ・・・その考えは、全員思い浮かんだ。


 そして、次に何があるかの予想も大体ついた。


「予測ですが、おそらく・・・・ゴーレムたちを狙っているのではないかと」

「多分あっているわね。この都市のゴーレムたちは気さくな感じでいい人・・・・人?まあそれはいいつぉいて、性格的には皆穏やかよ。でも、戦闘面に関しては適正者と同等ぐらいはあるわね」

「となると、軍事面にゴーレムたちを利用する気か?」



 だが、あのすでに意志を持っているようなゴーレムたちに対して、彼らはそのようなことができるだろうか。


 どう考えても追い返される未来しか見えなかった。


「・・・けれど、考えなしに突っ込んでくるほど馬鹿な国ではないはず。ある程度の対策はとっているだろうし・・・この大木の上で、しばらく様子を見ましょう」


 学園長の言葉により、ジャックたちは一旦身をこの大木の上で隠して経過観察を行うことにした。


 万が一があれば・・・・全員で襲撃をかける。


 軍事国と王国の争いになりかねないが、ここは空の上。


 誰も気がつかなければいい話である・・・・・・




身を隠して様子を見るジャックたち。

一方、軍事国の連中が上陸をし始める。

・・・そこに、隠れている悪意も一緒に・・・・


次回に続く!!

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