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244話

・・・前話からの続きです

SIDE女性陣


「「「「・・・・・・」」」」」

「あれ?どうかしたの?」

「ドウカシタノ?」


 学園の寮の食堂にて、ルナ、カレン、ミツ、ヨナの4人が何か届いた手紙を読んだ途端固まったのを見て、リンとスカーレットは声をかけた。



・・・その瞬間の彼女たちの雰囲気が凍てつくようなものを感じさせるのもあり、他の食堂にいた人たちが話しかけにくかったのもあって、一番親しいリンが話しかけたのである。


 なお、ロイスは先ほど校舎裏に埋められていたのでこの場にはいなかった。




「・・・学園長から魔法で素早く手紙が届きまして」


 ルナが話すことには、魔法で学園長からの手紙が瞬時に届いたのだが、その内容が問題であった。




「以前の夏の合宿場で今日は魔法を使うのを疲れたので、ジャックと宿泊すると」

「記述されているですですのんが・・・・」

「・・・・学園長も女ぜよ。年齢的にもそろそろ・・・・」


 其の4人の言葉に、食堂の空気が一気に重くなった。


 皆学園長がどういう人なのか理解をしているし・・・・・そして、今夜は剣を除けば2人きりの様なものである。


 そして、それが何を意味し、何が起きようとするのかは容易に想像がついた。


「・・・シロ、クロ、メゾンが何とか阻止してくれればいいですが」

「何かあれば、一応心構えは用意できている」

「ふふふふふふふふふふ・・・ですのん」

「武器を研いでおくぜよか・・・・」


 

 どことなく怖ろしい雰囲気を感じ取り、食堂からさっさと他の人達はとばっちりを受けないうちにその場を離れることにして、ジャックの命運をこの時は普段嫉妬している男子陣も祈るのであった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

SIDE男湯




「へくしょい!!」


 風呂場にて、ジャックはくしゃみが出た。


 どこかで噂されているのかと思いつつ、ゆっくり湯に浸かる。




 ここは学園から離れた海岸沿いにある民宿である。


 1年の時の夏の合宿の際に使用した合宿場であるが、そこはどうも満室だったらしく、そこで取れたのはこの宿であった。


・・・宿泊費は学園長が持つようだが、どことなくジャックの方には不安があった。



 あの(・・)学園長である。確実に何かろくでもないようなことを仕掛けてきそうで、精神面から肉体的な面までなんとなく恐ろしいようなものをジャックは勘で感じていた。


 いや、死に至るものではないのかもしれないが、自身の勘がよく的中しているのは自覚しており、その不安はかなりあった。


 なお、聖剣・魔剣・神剣・・・シロとクロとメゾンは女湯の方でアンド学園長と浸かっているはずであった。


 武器を外していていいのかと思ったが、これもある意味訓練のようなものかもしれないと思い、とりあえずジャックは極力考えるのをやめた・・・。



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SIDE女湯



「ふぅ・・・たまにはこういう民宿に泊まるのもありね」

「それは同意いたしますが・・・」

「ぬぅ・・・・・」

「・・・・」


 湯に浸かるアンド学園長に対し、シロとクロとメゾンは警戒していた。


 3人ともなんとなく学園長に対して警戒心が働き、ジャック同様に勘が働いていた。



 自分たちが仕えるマスター(ジャック)に対して、今晩確実によからぬことを仕掛けるだろうと思えたのである。


 剣として、これまでの戦闘を通しての経験からではなく、純粋に女としての勘が告げているのだ。



「ふふふふ・・・どうしたのかしら?」

「・・・いえ、何もないですね」


 学園長が微笑んで尋ねたが、メゾンはそっけなく返した。


 こういうふうに知らぬ存ぜぬのようなことで、相手側からの情報を引き出すほうが良いと判断したのである。


 だけど、これは逆効果であった。



「それにしても、こうして同じ湯に浸かって思ったのだけれどもあなた達って本当にスタイルがいいわよね」

「「「それをあなたが言いますか!!」」」


 ものの見事に声が重なった。


 キレイだとか言われても、学園長も年齢的の割にはハイエルフだからか見た目が若いので、その肉体も若く見えるのだ。


 引き締まった体でありながら、凹凸がはっきりと表れており、ハイエルフ独特の上品さとでもいうような雰囲気を醸し出している。


 濡れた金髪が輝き、風呂場の明かりで照らされているさまはどことなく妖艶さと清廉さを兼ね備えさせているように感じさせた。


 ・・・一応、他の3人も見た目は美しい容姿だ。


 シロとクロは勇者と魔王が使用していたころの剣の状態へと戻って、大人の体になってそのスタイルの良さもはっきりとしているし、メゾンはリンと同様な箇所があるとはいえ、凛とした感じの一種の美がそこに詰め込まれていた。


 まあ、メゾンとしては風呂は好きであるが、このメンツだと入りたくはなかった。


 特に、カレンがいたらそれこそ劣等感が・・・・・・・。モンスターであるスカーレットもそれなりの大きさは持つし、モンスターにまで負けていると思い、リンとの友情関係はそこでより一層深まったのであった。


 内心、もう少しリンとは早くからこの話題について分かち合えていればよかったのかもしれないとメゾンは思っていた。



・・・・だが、彼女たちは知らない。メゾンがその姿であるのはまだジャックの剣になって日が浅いからであり、徐々にジャックの魔力が流されることによって成長をしていることを。


 何処がとは言わないが、その個所について、しばらく後にリンが叫んで嘆くのは当然だったのか、それとも運命であったのだろうか・・・。




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SIDEジャック



 風呂から上がり、ジャックはこの民宿で用意されていた寝巻の方に着替えた。


 学園から着ていた服は、枕元の方にたたんでおいて明日すぐにできるようにきっちりとしておく。



 どうやらこの民宿はそこそこの宿泊料金だけあって、用意されていた敷布団もなかなか質がいい物のようである。


 ベッドではないのは別に良いのだが・・・・・


「・・・近いな」


 宿の人にどう勘違いされたのか、布団がそれぞれくっ付いた状態である。


 つまり、真横に如かれている状態で・・・・・


「精神的なところから攻める気かあの人は・・・」


 ジャックとて年頃の男の子。ルナたちとは清き健全な交際をしているのだが、そのことについての知識がないわけではない。


 

・・・学園長の年齢は3桁はいっているとはいえ、ハイエルフだからかその見た目は若く、まだ20代と言われても通じそうな外見である。


(・・・って、何を考えているんだ俺は!!)


 ジャックは慌てて想像しかけた自分の足をつねり、平常心を保とうとする。



 そこで思いついたのが、これまでの激戦の数々であった。


 それらを考えていれば邪念は吹き飛ぶだろうと考え、思い返してみた。




 デュラハンからは必死に逃亡し、クラーケンに追い詰められ、暗殺者が襲ってきて、旅では・・・・・・・・・





 思い出してしばらくたち、邪念はなくなったが今度はその今までの歳月の濃さにどっと精神的な疲労を覚えた。


「あら、もうあがっていたのね」


 と、学園長が風呂から上がって寝巻に着替えていた。


 両手にはもらってきたのか飲み水が入ったコップがある。



「はい、水分補給をしておくのよ。ふろ上がりのこれは大事だからね」


 学園長に自然に渡され、ジャックはつい何も警戒せずに飲んでしまった。



・・・すぐに警戒を取り戻したが、特に何も味がせずにただの水だと思えた。




「・・あれ?そういえばシロたちは?」

「ああ、のぼせたのよ。ほら」


 学園長から、剣の姿に戻っているシロたちをジャックは渡された。


「ふにゅ~・・・」

「くふっ・・・」

「・・・・・・」


 それぞれ聖剣、魔剣、神剣の姿であるが、人の姿となっているときには確実に真っ赤にゆで上がっているのではないのだろうかとジャックは思えた。


「のぼせるほど何で入浴しているんだよ・・・」

「すいません・・・・」

「いやな、ちょっと知識対決をしてみたのじゃが・・・」

「製造年齢的にはこちらが上なのに、あちらの方が強かった・・・・・」


(本当に何をしていたのだろうか)


 心の底からジャックはそう思った。



「あらら、もうそろそろ消灯して寝たほうが良いわね。明日きちんと魔法で送るけど、早く起きなければ・・・お仕置きが待っているわよ」

「寝ます!!」


 学園長がふふふと笑ってとんでもないことを言ったので、慌ててジャックは布団に入り、学園長ももう片方の布団に入ったことを確認して消灯して部屋を真っ暗にしてジャックは眠りについた・・・・はずだった。



 だが、ジャックはこの時気が付くべきだった。学園長が渡してきた水だが・・・。


 そして、知識として知っておくべきだったのかもしれない。薬の中には、無味無臭無色の物があるということを。学園長の計画性と、実行力も考慮しておくべきだったのだと・・・・・。


 だが、もはや後の祭りであった。



不安しか見えない。

というか、学園長の掌の上で踊らされているようにしかも思えない。

そしてジャックがどうなるかは・・・・ね。

次回に続く!!


・・・いつぞやか、ルナの姉をおとなしくさせることを生徒に依頼した時があって、その時に薬についての相談をしていた時があったような。

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