24話
書いている現在、右肩がなぜか痛い・・・・
午後の授業が終わり、ジャックが学園長の訓練を受けていた。
今日の訓練はどうやら学園長は午後のジャックたちの訓練を見ていたらしく、剣を的確に投げて魔法で作った的に命中させるものであった。シロとクロを使用するのではなく、重量などが同じな模造刀でである。なお、外したら適当な魔法が一発飛んでくるのでよけなければいけない。
シロとクロの二人はそれぞれジャックを応援していた。
「頑張ってくださいマスター!もう少し力を抜いて!!」
「もう少し仰角20度上に投げたほうがいいと思うのじゃ!!」
シロとクロは聖剣と魔剣。勇者と魔王の最も近くにいた剣。
そのため戦闘経験は豊富であったので、ジャックにアドバイスする役としても最適であった。
実行する側のジャックとしては大変だったが。
・・・長剣を連続で投げるのはきつい。せめて槍とか・・・。
もともと投げるのを前提されていないからそれなりに重量あるんだよな・・・使わなきゃよかった。
「今日の訓練はここまでよ」
「か、肩がものすごく痛い・・・」
「肩だしてください、湿布ですよ」
「揉んであげるのじゃ」
投げ続けたので肩が痛くなりながらも、何とか寮の食堂の夕食に間に合った。
「あー・・・疲れた」
「学園長の訓練厳しいからなぁ」
「よく連日体がもつわよね・・・」
「ロイスほどではないけど、ジャックも頑丈」
いや、そこまで頑丈ではないとおもうが。
「学園長の訓練毎回違う上に、きついのが多いよ・・・」
「ジャック、その話、詳しく聞かせてもらえませんこと?」
「ん?」
「あ、ルナさん」
「ルナちゃん」
「ルナさん」
いつの間にかルナが夕食を持ってロイスの隣の席に座っていた。
ロイスの場合、大剣を背中に担いだまま食事をとるから危険なので、そこには誰も席に座らんかったのだが・・・。
「この国で3番目の強さを持つと言われている学園長の訓練、興味があるのですわよ」
学園長、この国で3番目に強いのかよ。って、1番2番は誰だろう・・・。
「いや、でも本当にきついんだけど・・・」
内容としては鬼畜だぞ。
「わたくしは皇女と言う立場ですけれども、王位継承権は低い方。ですが、そんなことよりも今自分がどれだけ強くなれるのかに興味を持っているのですわよ」
「要は、強くなりたいだけみたいな」
「そういう事ですわ」
自信あふれるかのように堂々と述べるルナ。そこまではっきり言えるのもなんかすごいな。
「ですので、学園長の訓練を受けていると聞くジャックに来てみようかと思ったのですわ」
「それなら学園長本人に聞けばいいんじゃ?」
それが手っ取り早いような。むしろ、訓練を俺の代わりに受けてくれた方が良いのだけど。
「・・・わたくしは帝国の皇女。少し警戒されている感じで聞こうにも聞きにくいのですわ」
どうやら、ギアス帝国に対して学園長は警戒をしているらしく、そこの皇女でもあるルナに対しても少し警戒をしているようである。
「わたくしとしては、純粋に強さを追い求めたいだけ。強くなって、帝国をしっかり守れるような、そういった適正者になりたいだけですわ」
「まあ、ギアス帝国と言うときな臭いうわさもあるからなぁ・・・」
「軍備に最近力を入れているとか」
「適正者を取り込もうとしているなんかもあるわねぇ」
「でも、皇女が単に留学しに来ただけなのはわかっているはず」
これが大人と子供の受け取り方の違いみたいなものか・・・・。
ジャックたちとしては、まあ、留学してきて一緒に学ぶ適正者。国の大人側としての事情は、内部を探ろうとしているのではないかという警戒があるみたいである。
「でも、あの学園長が警戒しているってなんか想像が・・・」
全員うーんとうなる。想像が全くつかないのである。
「ですので、今朝から皆さまを見ていて、聞きやすそうな人物がいないかと探したけっか、ジャック、あなたを選んでこうして聞いてみたというわけですわ」
「・・・基準は?」
「学園長の訓練を受けている言う情報がまず一つ。わたくしが教室にはいったときにそこまで驚いたような表情を見せなかったのが二つ。そして、午後の訓練で連携を組んだ時にその戦闘センスから三つ。以上が理由ですわ」
そこまで見ていたのかよ。
「で、追加で言うならば・・・・ジャック、あなたのその剣、聖剣・魔剣で間違いないですわよね?」
ルナはそういうと、ジャックのひざ元に剣の姿となっていたシロとクロをじっと見た。
「・・・そうらしいよ」
「・・・あっさり答えましたわね。帝国にも聖剣・魔剣の情報が入っていなかったのですから、てっきり秘密にしているのかと」
ルナが少し驚いたような表情をみせた。
「別に隠してはいないんだが・・・」
なお、シロとクロが剣の姿になっているのは、今日の訓練みているだけで疲れたから寝るという理由らしい。
「帝国の情報入手が遅いだけじゃないか?」
「その可能性はありますわね。最近、他国の情報が入りにくくなっていますのよ」
どうやら、帝国を警戒する国はほかにもあるようで、そのためこういった感じの情報が手にはいりにくくなっているのだとか。
「ま、そんな話はどうでもいいですわ。そういった政治的な話は今は関係ないですもの。とにかくジャック、あなたに学園長の訓練の話を聞きたいのですわよ」
政治的な話はどうやら国に丸投げのようであった。
話しても別に困るよう内容でもなかったので、とりあえず夕食後に部屋で話すことをジャックは約束したのであった。
きついよ~、相当学園長の訓練きついよ~
この皇女、どうやら強さを求めるような人らしい。
 




